こんにちは、くんです。
冬瓜といえば、出汁を含ませて、とろりと煮る。
もちろん、それはそれで大変おいしい。
ただし今回は、冬瓜には煮物部門をいったん離れていただき、フライパンの焼き物部門へ異動してもらいました。
人事異動としては少々大胆ですが、結果は大成功。
表面を香ばしく焼いた冬瓜を、赤紫蘇麹でマリネしました。
焼き冬瓜は、やわらかくなりすぎず、噛むと心地よいシャクシャクとした食感。
そこへ赤紫蘇の爽やかな酸味と香り、麹のまろやかな甘味と旨味が重なります。
見た目は淡いピンク色。食べれば涼やか。そして、ガラスの器に盛り付けると、急に夏のレストラン前菜のような顔をし始めます。
冬瓜は煮るだけではありません。
焼くと、ごちそうになります。
冬瓜は夏野菜なのに、なぜ「冬」なのか
冬瓜という名前を見ると、どうしても冬の野菜だと思ってしまいます。
しかし、冬瓜の旬は夏。
丸ごとの状態なら冬まで保存できることから、「冬瓜」と呼ばれるようになったといわれています。
名前だけ見ると季節感が少々迷子ですが、みずみずしく、さっぱりと食べられる立派な夏野菜です。
一般的には煮物やスープに使われますが、冬瓜そのものの味はとても穏やか。
だからこそ、焼き目の香ばしさや赤紫蘇麹の風味を素直に受け止めてくれます。
焼き冬瓜がおいしい理由
冬瓜を焼く一番の魅力は、煮物とはまったく違う食感を楽しめることです。
フライパンで表面を焼くと、余分な水分が飛び、香ばしい焼き色が付きます。
そのあと蓋をして短時間蒸し焼きにすることで、中には火を通しながらも、冬瓜らしいみずみずしさを残せます。
目指すのは、とろとろになる一歩手前。
噛んだときに、わずかな抵抗を感じるくらいのシャクシャク感が理想です。
完全にやわらかくなるまで火を入れると、いつもの煮物方面へ戻っていきます。
今回は焼き物部門への異動ですので、そこは少し踏ん張っていただきましょう。
焼き冬瓜と赤紫蘇麹のマリネ
材料|2〜3人分
赤紫蘇麹には塩味があるので、冬瓜に振る塩は控えめにします。
赤紫蘇麹の塩分が強い場合は、下味の塩を使わなくても構いません。
赤紫蘇麹の作り方はこちらの記事で紹介しています。
麹調味料を安定した温度で作るなら、温度と時間を設定できるヨーグルトメーカーが便利です。
赤紫蘇麹だけでなく、透明醤油麹、梅酢麹、甘酒などにも使えるので、自家製発酵調味料を作る人にとっては、かなり働き者の一台です。
作り方
1.冬瓜の皮と種を取り除く

冬瓜の種とワタを取り、皮を少し厚めにむきます。
皮に近い部分は硬いため、緑色が残らない程度までむくのがポイントです。
食感を残すため、2〜3cmほどの大きめのひと口大に切ります。
2.フライパンで冬瓜を焼く
熱伝導の均一なマイヤーフライパンにオリーブオイルを入れ、中火で熱します。
冬瓜の広い面を下にして並べ、あまり動かさずに焼きます。
料理をしていると、つい様子が気になって触りたくなります。
しかし、焼き色はそっとしておいた人のところへやって来ます。
ここは静かに待ちましょう。
3.こんがりと焼き色を付ける

冬瓜の表面に、こんがりとした焼き色が付いたら返します。
全面を焼く必要はありません。
2〜3面に香ばしい焼き色が付けば、十分に風味が生まれます。
白くておとなしかった冬瓜が、このあたりから急に料理らしい表情を見せ始めます。
冬瓜や茄子のように水分の多い野菜を焼くときは、熱が均一に伝わり、焦げ付きにくいフライパンが使いやすいです。
焼き色を付けたいからといって強火にしすぎると、外側だけが先に焦げます。中火でじっくり焼けるものがおすすめです。
4.蓋をして蒸し焼きにする

焼き色が付いたら蓋をし、弱めの中火で5〜7分ほど蒸し焼きにします。
冬瓜の大きさやフライパンによって時間は変わるので、竹串などを刺して確認してください。
すっと通りきる直前、中心にほんの少し抵抗が残る程度で火を止めます。
余熱でも火が入るため、この段階で完全にやわらかくしないことが大切です。
5.赤紫蘇麹とオリーブオイルを合わせる

ボウルに赤紫蘇麹とオリーブオイルを入れ、混ぜ合わせます。
赤紫蘇麹は、赤紫蘇の爽やかな酸味と香りに、米麹の甘味とまろやかさが加わった発酵調味料です。
赤紫蘇だけでは輪郭が鋭くなりやすいところを、麹がやさしく包み込んでくれます。
酸味担当と、なだめ役。
役割分担が大変よくできています。
6.温かい冬瓜をマリネする

焼き上がった冬瓜を、温かいうちに赤紫蘇麹のボウルへ入れます。
冬瓜を崩さないよう、下から大きく返しながら全体を和えます。
温かいうちに合わせることで、冬瓜の表面に赤紫蘇麹がなじみやすくなります。
冬瓜から出る水分とオリーブオイル、赤紫蘇麹が混ざり、自然にとろりとしたマリネ液になります。
7.冷蔵庫で冷やす
粗熱が取れたら、冷蔵庫で30分以上冷やします。
作りたてもおいしいですが、しっかり冷やすと赤紫蘇の酸味が落ち着き、麹の甘味と旨味が冬瓜になじみます。
翌日はさらに味が入りますが、冬瓜のシャクシャク感を楽しむなら、当日から翌日までに食べるのがおすすめです。
ガラスの器に盛ると、夏の前菜になる

焼き冬瓜の赤紫蘇麹マリネは、ガラスの器との相性が抜群です。
マリネ液を吸った冬瓜には、少しだけ透明感があります。
そこへ赤紫蘇麹の淡いピンク色と、刻んだ赤紫蘇の深い色が重なります。
白い陶器に盛ってもきれいですが、透明な器に盛ると涼しさが一段増します。
器を替えただけなのに、家庭の常備菜からレストランの冷前菜へ。
料理の世界では、器にもかなりの発言権があります。
冷菜、果物、そうめんの薬味、デザートにも使えるガラスの小鉢は、夏の食卓で特に重宝します。
料理そのものを変えなくても、器を替えるだけで涼しさを演出できるので、費用対効果の高い夏支度です。
食べてみると、シャクシャク、爽やか、まろやか
焼き冬瓜を口に入れると、最初に感じるのは表面の香ばしさ。
噛むと、冬瓜ならではのシャクシャクとしたみずみずしい食感が残っています。
そのあとに赤紫蘇の爽やかな酸味と香りが広がり、最後は麹のまろやかな甘味と旨味が全体をまとめます。
酸っぱいだけではなく、甘いだけでもない。
焼き目の香ばしさ、冬瓜のみずみずしさ、赤紫蘇の清涼感、麹の丸み。
それぞれが順番に現れるので、さっぱりしているのに味が単調になりません。
夏の副菜としてはもちろん、白ワインやロゼワインのおつまみにもぴったりです。
焼き冬瓜のマリネに合わせたいワイン
この料理には、香りが爽やかで酸のきれいなワインがよく合います。
ヴェルメンティーノ
柑橘やハーブを思わせる香りが、赤紫蘇の爽やかさに寄り添います。
オリーブオイルとの相性もよく、今回のマリネには特に合わせやすい白ワインです。
アルバリーニョ
みずみずしい果実味と塩味を感じるタイプなら、冬瓜の水分感と麹の旨味をきれいにつないでくれます。
辛口のロゼワイン
赤紫蘇麹の淡いピンク色と、辛口ロゼの色合いは見た目にも好相性。
果実味が強すぎず、酸のあるタイプがおすすめです。
赤紫蘇の色に合わせてロゼを選ぶ。
ソムリエとしては理屈も大切ですが、夏の食卓では色から入る日があってもよいのです。
おいしく作るポイント
冬瓜を小さく切りすぎない
小さく切ると火が入りすぎやすく、シャクシャクした食感が失われます。
2〜3cmほどの大きめがおすすめです。
焼き色が付くまで動かさない
冬瓜を何度も動かすと、表面にきれいな焼き色が付きません。
フライパンへ置いたら、焼き色が付くまで待ちます。
蒸し焼きにしすぎない
竹串が完全に抵抗なく通るまで加熱すると、冷ましている間にも火が入り、やわらかくなりすぎます。
中心に少しだけ硬さが残るところで火を止めます。
温かいうちに赤紫蘇麹と和える
冷めてから和えるよりも、温かいうちに和えた方が赤紫蘇麹がなじみやすくなります。
ただし、強く混ぜると冬瓜が崩れるため、ボウルの底からやさしく返してください。
おすすめのアレンジ
焼き茄子を加える
冬瓜と同じように焼いた茄子を加えると、赤紫蘇麹を吸ったとろりとした茄子と、シャクシャクした冬瓜の食感の違いを楽しめます。
蒸し鶏と合わせる
低温調理した鶏胸肉や蒸し鶏を加えれば、たんぱく質も取れる夏の主菜になります。
帆立や白身魚を加える
焼いた帆立や、蒸した白身魚とも好相性。
赤紫蘇麹の酸味が魚介の甘味を引き立て、前菜らしい一皿になります。
赤紫蘇麹を作るなら、米麹選びも大切
赤紫蘇麹のまろやかな甘味や旨味は、米麹から生まれます。
初めて作る場合は、粒がほぐれやすく、扱いやすい乾燥米麹がおすすめです。
乾燥米麹は常温で保存しやすく、必要な分だけ使えるのが便利です。
赤紫蘇麹のほか、醤油麹、塩麹、味噌作りにも使えるので、発酵調味料をいろいろ試したい人にも向いています。



まとめ|冬瓜は、焼くとごちそうになる
冬瓜は煮物やスープにするだけでなく、焼いてもおいしい野菜です。
表面を香ばしく焼き、蓋をして短時間蒸すことで、やわらかさの中にシャクシャクした食感を残せます。
そこへ赤紫蘇麹を合わせれば、赤紫蘇の爽やかな酸味と香り、米麹のまろやかな甘味と旨味が重なった夏のマリネになります。
そして、仕上げはガラスの器へ。
淡いピンク色のマリネ液と、少し透き通った冬瓜が涼しげで、食卓にもよく映えます。
冬瓜を買ったものの、また煮物にするかとお悩みの皆さま。
今シーズンは一度、フライパンへ送り出してみてください。
シャクシャク、爽やか、そして麹でまろやか。
冬瓜の新しい一面に出会える、焼き冬瓜の赤紫蘇麹マリネです。

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