黒毛和牛のランボソを、57℃で2時間低温調理。
そのあと、しっかり熱したマイヤーのフライパンで表面だけを強火・短時間で焼き上げました。
そして仕上げは、くんの定番になってきた
トリュフ醤油ソース。
低温調理というと、どうしても温度と時間ばかりに目が行きます。
57℃なのか。
58℃なのか。
2時間なのか。
3時間なのか。
料理をしているのに、途中から研究室の会議みたいになってきます。
でも今回あらためて思ったのは、
低温調理した肉は、最後の数十秒がものすごく大事。
中身は低温調理器。
表情はフライパン。
料理も人間も、最後は表情です。
今回は、黒毛和牛ランボソをしっとりロゼに仕上げる低温調理と、香ばしい焼き目をつける仕上げ焼きを紹介します。
今回作ったもの
黒毛和牛ランボソの低温調理ステーキ
トリュフ醤油ソース
今回の流れはとてもシンプルです。
- 黒毛和牛ランボソを袋に入れる
- 57℃で2時間低温調理
- 袋から取り出して表面の水分を拭く
- マイヤーフライパンをしっかり熱する
- 強火・短時間で表面を焼く
- 少し休ませてカット
- トリュフ醤油ソースを合わせる
やることだけを見るとシンプル。
ただし肉料理というのは、工程が少ないほど逃げ場がありません。
肉と火とフライパン。
会議の出席者が3人しかいないので、誰が失敗したかすぐ分かります。
ランボソとは?どこの部位?
ランボソは、牛のお尻から腰にかけてのランプを細かく分けた部位のひとつ。
別名「ラムシン」と呼ばれることもあり、ランプの中でも比較的やわらかく、赤身の旨味をしっかり味わえる部位です。
サーロインのように脂を前面に押し出すタイプではなく、
肉そのものの旨味を食べるステーキ向き。
今回のような厚切りステーキとの相性はかなり良いと思います。
脂が主役ではないので、火を入れすぎてしまうと、せっかくのしっとり感が少しずつ逃げていきます。
そこで低温調理です。
黒毛和牛ランボソを57℃で2時間低温調理
今回は低温調理器を57℃・2時間に設定しました。

[写真:低温調理器57℃・2時間の設定画面]
鍋にお湯を張って低温調理器をセット。
ランボソは低温調理用耐熱袋に入れ、できるだけ空気を抜いて沈めます。

[写真:57℃のお湯にランボソを入れているところ]
あとは基本的に機械にお願いするだけ。
57℃です。
こちらが慌てても57℃。
コーヒーを飲んでも57℃。
途中で心配になって覗きに行っても、やっぱり57℃。
機械というのは精神的に安定しています。
人間も見習いたいところです。
低温調理後はこんな感じ
2時間後、袋から取り出します。

[写真:低温調理後のランボソ]
見た目はまだ少し地味です。
「これがステーキになるの?」
くらいの表情をしています。
大丈夫です。
ここからです。
低温調理が終わった段階では、肉の中心の火入れを整えただけ。
ステーキらしい香ばしさは、このあとフライパンで作ります。
以前作った蝦夷鹿ロースでも、57℃で低温調理してから表面を短時間で焼きました。
▶︎ 低温調理でしっとりロゼ|蝦夷鹿ロースのステーキ トリュフ醤油ソース
鹿と牛。
同じ57℃でも当然ながら味はまったく違います。
同じ住所に住んでいるけれど、職業が違う。
そんな感じです。
既存の蝦夷鹿の記事でも、低温調理後は表面の水分を拭き、フライパンで短時間だけ焼く方法を使っています。
ここが大事。低温調理後の水分をしっかり拭く
袋から出した肉の表面には水分がついています。
このままフライパンに入れてしまうと、焼くというより蒸す方向へ進みます。
なのでキッチンペーパーで、
しっかり水分を拭き取ります。
遠慮はいりません。
ここで欲しいのは水分ではなく焼き色です。
ステーキ本人としては、
「2時間お湯に入っていたのに、今度はそんなに拭くんですか」
と言いたいでしょう。
拭きます。
マイヤーフライパンをしっかり熱する

[写真:低温調理後のランボソをマイヤーフライパンへ]
今回使ったのは、
低温調理後のステーキには、かなり使いやすいフライパンです。
ここで重要なのは、
フライパンをしっかり熱してから肉を入れること。
低温調理ですでに中の火入れを作っているので、ここから長時間焼く必要はありません。
欲しいのは、
焼き色。
香ばしさ。
そして香り。
つまりここからは「火を通す時間」というより、
ステーキに化粧をする時間です。
長居は禁物。
\今回使ったフライパン/
マイヤー マキシム SS ALL ONEパン 24cm
ステーキはもちろん、炒め物、オムレツ、チャーハンなど普段使いにも。
既存のトリュフ醤油ソース記事でも、低温調理した和牛の仕上げ焼きに同じマイヤー24cmを使っています。
強火・短時間で焼き色をつける

[写真:片面に焼き色がついたランボソ]
フライパンがしっかり熱くなったら、油を少量。
ランボソを入れて、表面を一気に焼きます。
今回の目的は中までさらに火を通すことではありません。
外側だけを香ばしくすること。
なので、
強火・短時間。
表面。
裏面。
そして側面も転がしながら軽く焼きます。

[写真:全面を香ばしく焼き上げたランボソ]
この焼き色。
これです。
低温調理だけでは出せない香りがここで加わります。
低温調理器が「中身担当」なら、
フライパンは「広報担当」。
最後に見た目と香りを全部持っていきます。
切ってみると、このロゼ色

[写真:黒毛和牛ランボソステーキの断面]
少し休ませてからカット。
中はきれいなロゼ色。
外側にはしっかり焼き色が入り、中心はしっとり。
この断面を見ると、
57℃で火入れして、最後だけ強火で焼く
という考え方が分かりやすいです。
低温調理だけで完成させるのではなく、
低温調理で中心を作り、フライパンで外側を作る。
この2段階がポイントです。
ソースは「くんのトリュフ醤油ソース」
そして今回のソースはこちら。
オイスター紹興酒トリュフ醤油ソース。
醤油だけではありません。
オイスターソース。
紹興酒。
みりん。
太白胡麻油。
そしてトリュフゼスト。
詳しいレシピはこちらにまとめています。
▶︎ トリュフゼストで作る濃厚トリュフ醤油ソース|和牛ステーキとハンバーグに合う
基本配合はこちらです。
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 太白胡麻油 | 大さじ1 |
| 醤油 | 大さじ1 |
| オイスターソース | 大さじ1 |
| 紹興酒 | 大さじ1 |
| みりん | 小さじ1 |
| トリュフゼスト | 小さじ1 |
| 胡椒 | 少々 |
| 水 | 適量 |
醤油の旨味。
オイスターソースの厚み。
紹興酒の少し熟成した香り。
そこへトリュフ。
和牛に合わせると、かなり強いです。
普通のステーキソースがネクタイを締めて、
「本日はよろしくお願いいたします」
と入ってきた感じになります。
既存レシピでも、このソースは和牛ステーキやハンバーグに合わせています。
\トリュフの香りはこれ/
SABATINO TARTUFI トリュフゼスト
肉料理だけでなく、卵、ポテト、パスタ、リゾットにも使いやすい調味料。
トリュフは入れれば入れるほど偉いわけではありません。
多すぎると全員トリュフの話しかしなくなります。
仕上げにふわっと。
このくらいがちょうどいいです。
\ソースの旨味を支える一本/
石渡商店 気仙沼完熟牡蠣のオイスターソース
醤油だけだと少し細い。
トリュフだけだと少し気取る。
そこをオイスターソースが、ちゃんと料理に戻してくれます。
地味に重要なまとめ役です。
完成|黒毛和牛ランボソのステーキ トリュフ醤油ソース

[写真:完成した黒毛和牛ランボソステーキ]
今回はフライドポテトと葉野菜を添えて。
厚切りにしたランボソに、トリュフ醤油ソース。
切った瞬間に見えるロゼ色。
噛むと、やわらかい赤身から肉の旨味がじわっと広がります。
サーロインのように脂が押し寄せてくるタイプではありません。
でも、そのぶん、
黒毛和牛の赤身そのものをしっかり味わえる。
そこへトリュフ醤油ソース。
醤油とオイスターソースの旨味が赤身に乗り、紹興酒の香りが少し奥行きを作り、最後にトリュフが抜けていきます。
これはいい。
白ごはんでもいけます。
ただ、この皿を目の前にすると、
ワインの方が先に冷蔵庫から出てきます。
ソムリエのひとこと|このステーキに合わせたいワイン
今回のランボソは赤身中心。
しかもトリュフ醤油ソースには、醤油、オイスターソース、紹興酒という旨味の強い調味料が入っています。
僕なら、
熟成したバルベーラ。
かなり合わせたいです。
バルベーラの酸が和牛の脂を切りながら、熟成による少し土っぽいニュアンスがトリュフとつながります。
もう少し格調高くいくなら、
ネッビオーロ。
トリュフとネッビオーロというだけで、ピエモンテ方面から拍手が聞こえてきそうです。
ただし醤油ソースなので、タンニンが強すぎる若いワインより、少しこなれたタイプがおすすめ。
肉だけでなく、
ソースまで含めてワインを選ぶ。
ここがペアリングのおもしろいところです。
以前作った「蝦夷鹿ロース57℃」との違いも面白い
今回と同じ57℃で、以前は蝦夷鹿ロースも低温調理しています。
▶︎ 低温調理でしっとりロゼ|蝦夷鹿ロースのステーキ トリュフ醤油ソース
鹿は鉄分を感じる澄んだ赤身。
黒毛和牛ランボソは、やわらかさと牛肉らしい旨味。
同じ57℃。
同じフライパン。
同じトリュフ醤油。
なのに料理の印象はかなり違います。
低温調理のおもしろさは、
同じ温度でいろいろな肉を料理すると、素材そのものの違いがよく分かること。
57℃という共通言語で、牛と鹿を比べる。
少々マニアックですが、こういう話を始めると私は長いです。
低温調理の安全面について
今回紹介している57℃・2時間は、僕が今回の黒毛和牛ランボソで実際に行った調理条件です。
ただし、低温調理では肉の厚さ、肉を入れた時の温度、低温調理器の性能などによって、中心部が設定温度に達するまでの時間が変わります。
そのため、
「57℃で2時間なら、どんな大きさの肉でも同じ」ではありません。
厚生労働省が示す食肉の一般的な加熱条件では、中心温度75℃1分と同等の例として65℃15分などが示されています。57℃はこの一般的な早見条件には含まれていません。低温調理をする際は、使用する機器の取扱説明書や信頼できる加熱時間表を確認し、特に子ども、高齢者、妊婦、免疫機能が低下している方へ提供する場合は安全側の火入れをおすすめします。
おいしさは大事。
でも食卓は、翌日まで平和に終わってこそ成功です。
低温調理好きならこちらもどうぞ
鶏むね肉、牛肉、鹿肉、レバーなど、これまで作ってきた低温調理はこちらの記事にまとめています。
▶︎ 低温調理器で作れる肉料理まとめ|温度と時間・失敗しない活用レシピ
肉は種類が変われば、
温度も時間も、食感も変わります。
そして何度やっても、
最後にフライパンを持つと少し緊張します。
2時間待って、失敗するとしたら最後の60秒。
なかなか料理というものは油断させてくれません。
まとめ|低温調理ステーキは「最後の焼き」が大事
今回は黒毛和牛ランボソを、
57℃で2時間低温調理 → マイヤーフライパンで強火・短時間
でステーキにしました。
ポイントは、
- ランボソの赤身を低温調理でしっとり仕上げる
- 低温調理後は表面の水分をしっかり拭く
- フライパンを十分熱してから焼く
- 仕上げ焼きは強火・短時間
- 中までさらに火を入れようとしない
- トリュフ醤油ソースで旨味と香りを重ねる
低温調理というと「何℃で何時間?」に注目しがちです。
もちろん大事です。
でも今回のステーキで改めて感じたのは、
おいしさを完成させるのは最後のフライパン。
57℃で2時間。
そして最後は数十秒。
長い準備のあとに、一瞬だけ本番が来ます。
なんだかオリンピック選手のようですが、
こちらはステーキです。
ぜひ、赤身の黒毛和牛が手に入ったら試してみてください。

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