麻婆豆腐に合うワインは?花椒と辛さからソムリエが本気で選ぶ

おつまみ・酒肴

麻婆豆腐にワイン。

「いやいや、麻婆豆腐にはビールでしょう」

はい。

分かります。

白いごはんも強い。

ビールも強い。

紹興酒も当然強い。

麻婆豆腐界は、すでにレギュラー陣が充実しています。

そこへ突然、

「本日からワインも入ります」

と言っても、

少し転校生感があります。

でも。

麻婆豆腐とワイン、ちゃんと合います。

しかも面白いことに、

「麻婆豆腐には赤ワイン」

という単純な話ではありません。

唐辛子の辛さ。

花椒のしびれと柑橘系の香り。

豆板醤のコク。

豆豉の発酵した旨味。

挽肉の脂。

豆腐のやわらかな甘味。

これだけの味が一皿の中にいます。

もう味覚の満員電車です。

ここへワインを一人乗せるなら、

空いている席を探すのではなく、

全員とうまく付き合える人を連れてこなければいけません。

今回は、料理とワインの現場で長く付き合ってきたボクが、

麻婆豆腐にはどんなワインが合うのか。

そして、

なぜ合うのか。

料理の味を分解しながら、本気で考えてみます。


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結論|麻婆豆腐なら、まずリースリングを試してほしい

先に結論です。

ボクが麻婆豆腐に一本だけ選ぶなら、

やや辛口〜ほんのり甘みを残したリースリング。

まずここから試します。

理由は、

  • 唐辛子の辛味を受け止める果実味
  • 辣油の脂を流す酸
  • 花椒と重なる柑橘系の香り
  • 豆腐を邪魔しない軽さ

この4つ。

特に四川風の、

「辛い」

だけではなく、

麻=しびれ

までしっかり効いた麻婆豆腐には非常に面白い。

ただし。

麻婆豆腐は一種類ではありません。

家庭の甘め麻婆豆腐。

挽肉たっぷり。

豆豉たっぷり。

花椒どっさり。

辣油で真っ赤。

店によって、

もはや別の料理です。

ですから後半では、

麻婆豆腐のタイプ別にワインを選びます。


そもそも麻婆豆腐は、なぜワイン合わせが難しい?

麻婆豆腐を構成している味を見てみます。

唐辛子の辛味

花椒のしびれと香り

豆板醤の塩味と発酵感

豆豉の旨味

挽肉の脂

辣油の油脂

豆腐のやさしい甘味

かなり複雑。

ワイン側から見ると、

辛い。

香る。

脂がある。

発酵している。

塩味もある。

そこへ豆腐。

みんな自由です。

遠足なら先生が大変なクラスです。

だから、

「肉料理だから赤」

では決まりません。

麻婆豆腐のワイン選びでは、

肉よりも“辛味・香り・脂”を見る。

ここがポイントです。


ポイント① 唐辛子の辛さには、アルコールが高すぎないワイン

辛い料理に、

アルコール14.5%。

タンニンどっしり。

樽もどーん。

そんな赤ワインを合わせると、

麻婆豆腐がさらに熱く、強く感じることがあります。

唐辛子に、

「もう少し頑張れるよね?」

と声援を送ってしまう。

こちらは頑張ってほしくありません。

辛味の強い麻婆豆腐なら、

アルコールは比較的穏やかで、果実味のあるワイン。

さらに少し甘みがあると、

唐辛子の刺激とのコントラストが作りやすくなります。

だからリースリングが強い。


ポイント② 花椒には「香り」を合わせる

麻婆豆腐の魅力は、

唐辛子だけではありません。

ボクはむしろ、

花椒がかなり重要

だと思っています。

花椒を噛んだときの、

柑橘。

山椒。

花。

スパイス。

そして、

舌が、

「ただいま少々混み合っております」

という状態になる、あのしびれ。

ここに香りのない重たいワインを置くより、

ワイン側にも、

柑橘や花、スパイスの香り

がある方が料理とつながります。

だから、

リースリング。

ゲヴュルツトラミネール。

このあたりが面白い。

花椒の香りとワインが、

口の中でちゃんと会話します。


ポイント③ 辣油と挽肉の脂には「酸」が必要

麻婆豆腐を食べて、

次のひと口。

また次。

気づいたら、

「あれ、ごはんどこ行った?」

という経験があります。

麻婆豆腐は油が多い料理です。

辣油。

挽肉。

炒め油。

ここへワインを合わせるなら、

酸があること。

これが大切。

酸のあるワインを飲むと、

口の中の油脂感が軽くなり、

次のひと口がまた美味しくなる。

ワインは料理に寄り添うだけでなく、

次のひと口の準備係

でもあります。

なかなか働き者です。


麻婆豆腐に合うワイン① リースリング

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一番おすすめ

まずこれです。

リースリング。

特に、

完全な辛口より、

辛口〜ややオフドライ

くらい。

ドイツならカビネットなども面白いです。

リースリングには、

レモン。

ライム。

青リンゴ。

白桃。

熟すと少し蜜っぽい果実。

そんな香りがあります。

そしてしっかりした酸。

これが、

花椒。

唐辛子。

辣油。

豆腐。

この全部をかなり上手につないでくれます。

特に、

花椒と唐辛子をしっかり効かせた四川風麻婆豆腐。

これならボクはまずリースリングを開けます。

こんな麻婆豆腐に

  • 花椒強め
  • 唐辛子強め
  • 辣油多め
  • 四川風
  • 辛さをしっかり楽しむタイプ

飲む温度

8〜10℃くらい。

冷たすぎると香りが閉じますが、

ぬるくなると辛味が強く感じやすくなるので、

少し冷た目からスタートするのがおすすめです。

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麻婆豆腐に合うワイン② ゲヴュルツトラミネール

花椒好きなら、

かなり楽しいです。

ゲヴュルツトラミネール。

名前は長い。

注文するとき、

途中で一度息継ぎしたくなります。

でも香りは非常に分かりやすい。

ライチ。

バラ。

白い花。

スパイス。

この華やかな香りが、

花椒の香りと非常によく合います。

特に、

辛さそのものより、

花椒をバリッと効かせた麻婆豆腐。

そんなときはこちら。

少し果実の甘みを感じるタイプなら、

唐辛子にも合わせやすい。

こんな麻婆豆腐に

  • 花椒たっぷり
  • 辛さは中程度
  • 香り重視
  • 豆豉や発酵調味料が効いたタイプ

リースリングが、

「辛味までまとめる優等生」

なら、

ゲヴュルツトラミネールは、

「花椒と一緒に香りで遊ぶ人」

です。


麻婆豆腐に合うワイン③ 辛口ロゼ

実はかなり使いやすいのが、

ロゼワイン。

白では少し弱い。

赤では重い。

その中間。

麻婆豆腐も、

豆腐だけ見れば白。

挽肉と豆板醤を見れば赤。

だったら、

ロゼ。

料理との色合わせとしても、なかなか理にかなっています。

特に、

果実味があり、

酸もちゃんとある辛口ロゼ。

これなら、

挽肉。

辣油。

豆板醤。

唐辛子。

全部に少しずつ手を伸ばしてくれます。

突出して何かに合わせるというより、

全体の交通整理がうまい。

麻婆豆腐界の交差点に立ってもらいましょう。

こんな麻婆豆腐に

  • 辛さ中程度
  • 挽肉多め
  • 辣油多め
  • 家庭の麻婆豆腐
  • ワイン初心者と一緒に飲む場合

迷ったらロゼ。

これ、かなり使えます。


麻婆豆腐に合うワイン④ ガメイ

「いや、麻婆豆腐には赤ワインを飲みたい」

分かります。

それなら、

いきなりカベルネ・ソーヴィニヨンへ行く前に、

ガメイ。

ボージョレで有名な品種です。

赤い果実。

軽やかな酸。

タンニンは比較的穏やか。

少し冷やしても美味しい。

これが麻婆豆腐には使いやすい。

特に、

日本でよく食べる、

少し甘め。

辛さ控えめ。

挽肉の旨味しっかり。

そんな麻婆豆腐。

これならガメイがよく合います。

ポイント

12〜14℃くらいに少し冷やす。

赤ワインだからと20℃近くまで上げず、

少し冷た目。

これだけで麻婆豆腐との距離がぐっと縮まります。


麻婆豆腐に合うワイン⑤ ピノ・ノワール

ガメイより、

もう少し料理にコクがあるなら、

ピノ・ノワール。

ただし、

樽どーん。

アルコールどーん。

ではなく、

果実味と酸をきれいに感じるタイプ。

赤い果実。

少しスパイス。

穏やかなタンニン。

このあたりが、

挽肉と豆豉に合います。

こんな麻婆豆腐に

  • 唐辛子控えめ
  • 挽肉多め
  • 豆豉多め
  • 醤油系の旨味が強い
  • 日本風の麻婆豆腐

白いごはんに合うタイプの麻婆豆腐は、

ピノ・ノワールにも比較的合わせやすい。

ごはんはワインを飲みませんが、

基準としてはなかなか優秀です。


麻婆豆腐に合うワイン⑥ シラー

ここは少し上級編。

花椒。

黒胡椒。

豆豉。

挽肉。

このスパイス感を見ると、

シラー

も候補になります。

ただし、

条件があります。

辛すぎないこと。

そして、

アルコールとタンニンが強すぎないこと。

濃厚なシラーを激辛麻婆豆腐に合わせると、

口の中が、

唐辛子。

花椒。

アルコール。

タンニン。

全員センターを希望します。

アイドルグループなら少し揉めます。

おすすめは、

比較的涼しい産地の、

酸があり、

果実味が重すぎないシラー。

こんな麻婆豆腐に

  • 挽肉たっぷり
  • 豆豉しっかり
  • 黒胡椒や花椒の香り強め
  • 辛さは中程度まで

「辛さ」ではなく、

肉とスパイス

を見るとシラーが面白くなります。


実際にリースリングに合わせる麻婆豆腐を作ってみた

ここまで、

「麻婆豆腐にはリースリングが合います」

と散々言ってきました。

では本当に、

リースリングに合わせることを前提に麻婆豆腐を作ったら、どうなるのか。

実際に作ってみます。

普通なら、

「完成した麻婆豆腐に何のワインを合わせよう?」

と考えます。

今回は逆。

「リースリングを美味しく飲むためには、麻婆豆腐をどう作る?」

からスタートします。

料理人とソムリエを長くやっていると、たまに主従関係がおかしくなります。

今日はワインが先です。


今回の狙いは「激辛」ではなく、花椒の香り

リースリングに合わせる今回の麻婆豆腐。

狙ったのは、

辛さよりも「花椒の香り」と「豆豉の旨味」。

もちろん麻婆豆腐なので、ちゃんと辛い。

でも、

唐辛子で、

「辛い!辛い!辛い!」

と全部を持っていくタイプにはしません。

辛味を少し抑える代わりに、

  • 花椒の爽やかな香り
  • 豆豉の発酵した旨味
  • 豚ひき肉のコク
  • 豆板醤の辛味
  • 長ネギの甘味と香り

をしっかり感じられるように組み立てます。

これなら、

リースリングの持つ、

レモンやライムのような柑橘香、白桃を思わせる果実味、そしてきれいな酸

と料理がつながります。


リースリングに合わせる麻婆豆腐の材料

2〜3人分

  • 絹ごし豆腐……350〜400g
  • 豚ひき肉……120g
  • 長ネギ……1/2本
  • にんにく……1片
  • 生姜……10g
  • 豆板醤……大さじ1
  • 豆豉……小さじ2
  • 甜麺醤……小さじ1
  • 醤油……小さじ1
  • 紹興酒……大さじ1
  • 鶏ガラスープ……180ml
  • 辣油……大さじ1〜1.5
  • 太白胡麻油……適量
  • 水溶き片栗粉……適量
  • 四川花椒……小さじ1程度
  • 仕上げ用花椒……適量

今回使った豆腐は、

国産大豆100%の絹豆腐。

そして麻婆豆腐の味の芯になるのが、

豆豉、豆板醤、甜麺醤。

豆豉は少ししっかりめに入れています。

ここが今回かなり重要。

リースリングに合わせるからといって、

料理を軽くしすぎる必要はありません。

むしろ豆豉と豚肉でしっかり旨味を作っておき、

そこをリースリングの酸で切っていく。

この方が、

一口食べて、

一口飲んで、

また一口食べたくなります。

ワインペアリングというのは、

仲良く手をつないで終わりではありません。

次のひと口を呼んでくれるか。

ここが大事です。


作り方① 豚ひき肉はしっかり炒める

フライパンに太白胡麻油を入れ、

豚ひき肉を炒めます。

ここは、

「色が変わったからOK」

ではなく、

豚肉から脂が出て、少し香ばしくなるくらいまで。

しっかり炒めます。

豚ひき肉の旨味と香ばしさが、

麻婆豆腐の土台になります。

そこへ、

にんにく、生姜、豆板醤、豆豉を加えます。

豆板醤は焦がさないように、

弱めの中火でじっくり。

油が少し赤くなり、

香りが立ってきたらOK。

そして長ネギの白い部分を加えます。

長ネギは全部ここで入れません。

白い部分は炒めて甘味を出し、青い部分は最後に。

同じ長ネギですが、

今日は二交代制です。


作り方② 紹興酒とスープを加える

香味野菜と調味料の香りが立ったら、

紹興酒を加えます。

アルコールを飛ばし、

鶏ガラスープ、

醤油、

甜麺醤を加えます。

今回、

甜麺醤はあえて控えめ。

甘くしすぎると、

リースリングの果実味と料理の甘味が重なりすぎます。

料理側の甘味は、

長ネギ、豆腐、豚肉から自然に出る程度。

甜麺醤は、

「私もいますよ」

くらいで十分です。

前に出てきてもらう必要はありません。


作り方③ 豆腐を入れて煮込む

絹豆腐は大きめに切って加えます。

今回の完成写真を見ても分かる通り、

豆腐は少し大きめ。

これには理由があります。

麻婆豆腐の中で豆腐をしっかり感じることで、

辛味や塩味の途中に、

豆腐のやさしい甘味

が入ります。

そしてこれが、

リースリングの果実味ともよく合います。

豆腐を入れたら、

あまり激しく混ぜません。

フライパンを軽く揺すりながら、

3〜4分ほど煮込みます。


作り方④ とろみは一度で決めない

水溶き片栗粉を、

2〜3回に分けて入れます。

一気に入れると、

気づいたときには、

麻婆豆腐ではなく、

「豆腐入りあんかけ」

になっていることがあります。

片栗粉というのは、

控えめに見えて意外と仕事が早い。

少しずつ。

しっかり沸かす。

また少し。

最後は少し火を強め、

餡と油を一体化させます。


作り方⑤ 花椒は最後に香らせる

ここが、

今回のリースリングペアリングで最も重要なポイント。

花椒は最後。

煮込みすぎません。

火を止める直前に花椒を加え、

さらに器に盛ってから、

もう一度、挽きたての花椒を。

この最後の花椒が、

ワイングラスへ橋を架けます。

口に入れた瞬間、

まず豚肉と豆豉の旨味。

そのあと辣油の辛味。

そして最後に、

花椒の爽やかな香り。

そこへリースリングを飲む。

すると、

ワインの柑橘系の香りと酸が入ってきて、

口の中が一度リセットされます。

そして、

また麻婆豆腐が食べたくなる。

非常に困ります。

食事が終わりません。


この麻婆豆腐にリースリングが合う理由

今回の料理を、

ワインペアリングの視点で分解するとこうなります。

花椒

→ リースリングの柑橘系の香り

辣油・豚ひき肉

→ リースリングの高い酸

豆豉・豆板醤

→ ワインの果実味とミネラル感

豆腐

→ リースリングの繊細な果実味

唐辛子

→ 少し残糖のあるタイプなら刺激を和らげる

つまり、

今回の麻婆豆腐は、

辛味だけにワインを合わせているわけではありません。

香り。

脂。

旨味。

甘味。

全部を少しずつ拾っていく。

だからリースリングが面白いんです。


辛口と少し甘みのあるリースリング、どちらがいい?

今回の麻婆豆腐なら、

ボクならまず、

酸がしっかりしていて、ほんの少し果実の甘みを感じるリースリング

を選びます。

例えば、

辛さをしっかり残した場合は、

少し残糖のあるタイプ。

逆に、

唐辛子を控えて花椒の香りを主役にするなら、

アルザスなどの辛口リースリング

もかなり面白い。

つまり、

辛さが上がるほど少し甘みを。
香りを重視するほど辛口へ。

この考え方です。


実際に作って分かった|リースリング用麻婆豆腐は「辛さを弱くする料理」ではない

今回作ってみて、

改めて思いました。

リースリングに合わせる麻婆豆腐だからといって、

辛味をなくす必要はありません。

大切なのは、

辛味だけを突出させないこと。

豆豉。

豚肉。

長ネギ。

豆腐。

花椒。

この全部がきちんと見える辛さにする。

そうすると、

リースリングが料理の味を薄めるのではなく、

それぞれの味を一度整理してくれます。

今回目指したのは、

「ワインに合わせておとなしくした麻婆豆腐」

ではありません。

ちゃんと麻婆豆腐。
でも、ワイングラスが隣にいても居心地がいい麻婆豆腐。

です。

完成した皿には、

大きめの絹豆腐。

しっかり炒めた豚ひき肉。

豆豉。

長ネギ。

そして仕上げの花椒。

見た目からして、

白ワインに遠慮している感じはありません。

むしろ、

「リースリングさん、こちらへどうぞ」

くらいの顔をしています。

麻婆豆腐とワイン。

こうして料理側から少し歩み寄ってあげると、

思っていた以上に、

仲良くなれます。


タイプ別|麻婆豆腐とワイン早見表

麻婆豆腐のタイプおすすめワイン合わせる理由
🌶️ 四川風・辛口ややオフドライのリースリング果実味とわずかな甘みが唐辛子の刺激を受け止め、酸が辣油の脂を流す
🌿 花椒たっぷりゲヴュルツトラミネールライチや花、スパイスの華やかな香りが花椒の爽やかな香りと重なる
🌹 辣油・挽肉多め辛口ロゼ白の酸と赤の果実味を併せ持ち、肉・油・辛味をバランスよくまとめる
🍓 家庭的な甘め麻婆ガメイ赤い果実味と軽やかな酸、穏やかなタンニンが甘辛い味付けに馴染む
🍷 豆豉・肉の旨味強めピノ・ノワール豆豉の発酵旨味や豚肉のコクに、赤い果実と繊細なタンニンが寄り添う
🌶️ 肉・スパイス重視軽やかなシラー黒胡椒やスパイスのニュアンスが花椒や挽肉とつながる。辛すぎない麻婆向き

逆に、麻婆豆腐に合わせにくいワインは?

もちろん、

「絶対ダメ」

ではありません。

ワインに絶対はあまりありません。

飲みたいものを飲む。

最終的にはこれが一番強い。

ただ、

ペアリングとして積極的には選びにくいものがあります。


アルコールの高い重厚な赤

例えば、

かなり濃厚なカベルネ・ソーヴィニヨン。

アルコールの高い赤。

タンニンの非常に強いタイプ。

激辛麻婆豆腐と合わせると、

辛味と渋味が両方強調されやすい。

今日は口の中で会議ではなく、

討論番組が始まります。

辛さが控えめなら成立することもありますが、

四川風麻婆豆腐なら、

もっと軽やかなワインから試した方が安全です。


樽香の強い白ワイン

バター。

バニラ。

トースト。

そんな樽熟成の強いシャルドネ。

料理によっては最高です。

でも、

花椒たっぷりの麻婆豆腐では、

せっかくの香り同士が別々の方向へ行くことがあります。

麻婆豆腐には、

樽より、

果実・酸・花・スパイス。

こちらを優先したい。


辛い麻婆豆腐ほど「甘いワイン」でいいの?

ここは誤解されやすいところ。

「辛い料理には甘口ワイン」

と聞くと、

デザートワインくらい甘いものを想像するかもしれません。

そこまで甘くなくて大丈夫です。

おすすめは、

ほんのり残糖を感じる程度。

完全な辛口より、

「少し果実が甘く感じる」

くらい。

麻婆豆腐自体に塩味と辛味が強くあるので、

その少しの甘みが、

料理の刺激との間にクッションを入れてくれます。

ソファまではいりません。

座布団一枚くらいです。


辣油を変えると、ワインも変わる

麻婆豆腐で意外に重要なのが、

辣油。

ただ辛いだけの辣油と、

香味野菜。

花椒。

にんにく。

発酵調味料。

ナッツ。

などが入った食べる辣油では、

ワインの合わせ方が変わります。

くんのごはんでも、

自家製の食べる辣油を作っています。

辛味だけでなく、

花椒、にんにく、香ばしさ、白い醤油麹の旨味まであるので、

リースリングやゲヴュルツトラミネールとの相性が非常に面白いです。

自家製辣油と辣カスで作る食べる辣油の記事はこちら

自家製辣油と辣カスで作る食べる辣油|白い醤油麹で旨辛に仕上げる台所メモ
自家製辣油を作ったら、残った辣カスこそ主役でした。白い醤油麹と合わせて、餃子、冷奴、蒸し鶏に使える食べる辣油に仕上げます。

麻婆豆腐を作るなら、

市販の辣油だけでなく、

自家製辣油で香りから組み立ててみるのもおすすめです。


花椒好きなら、こんな料理とワインも

花椒とワインの組み合わせは、

麻婆豆腐だけではありません。

くんのごはんでは、

花椒と辣油を効かせた麻辣湯を、

魚介のブイヤベースと合わせた料理も作っています。

魚介。

蟹味噌。

トマト。

辣油。

花椒。

かなり要素が多い料理ですが、

ここでも、

リースリング。

ロゼ。

香りと酸のある白。

が活躍しました。

つまり、

辛い料理=赤ワイン

ではありません。

辛味、香り、脂、旨味を見れば、

白やロゼがかなり強い。

麻辣湯ブイヤベースの記事はこちら

麻辣湯ブイヤベースの作り方|蟹味噌出汁と白い醤油麹の魚介スープ
蟹殻と魚アラ、蟹味噌で取った濃厚魚介出汁に、くんのトマトソース、白い醤油麹、食べる辣油、花椒、サフランを重ねる。魚介の旨味が爆発する、くん流・麻辣湯ブイヤベースです。

ワインがお好きなら、この順番で試してみてください

麻婆豆腐にワイン。

初めてなら、

いきなり6本並べる必要はありません。

平日の食卓で6本開けたら、

ペアリング以前に翌日の予定が心配です。

まず、

1本目

リースリング

2本目

辛口ロゼ

3本目

ガメイ

この3タイプを試す。

白。

ロゼ。

赤。

これだけでも、

「麻婆豆腐には何色のワインが合うのか?」

ではなく、

麻婆豆腐のどの味にワインを合わせるのか

が見えてきます。

これがペアリングの面白いところです。


ワインをもっと知ると、料理がさらに面白くなる

料理に合うワインを考えるとき、

産地名やブドウ品種を全部暗記する必要はありません。

まず見るのは、

酸。

甘味。

タンニン。

アルコール。

果実味。

香り。

そこへ、

料理側の、

脂。

塩味。

辛味。

甘味。

酸味。

香り。

を重ねていく。

これが分かってくると、

「この料理にはこのワイン」

という丸暗記ではなく、

冷蔵庫にある料理を見て、

自分でワインを選べるようになります。

ワインをもっと体系的に勉強してみたい方には、

ワインスクールという選択肢もあります。

ボク自身、料理とワインは別々に覚えるより、

一緒に考えた方がずっと面白いと思っています。


ソムリエの結論|麻婆豆腐は「赤か白か」ではなく、辛味と花椒を見る

麻婆豆腐に合うワイン。

今回の結論です。

四川風で辛いなら

リースリング

花椒が主役なら

ゲヴュルツトラミネール

全体をバランスよく合わせるなら

辛口ロゼ

家庭的な甘め麻婆なら

ガメイ

挽肉と豆豉の旨味が強いなら

ピノ・ノワール

肉とスパイスを前に出すなら

軽やかなシラー

です。

そして大事なのは、

麻婆豆腐=中華料理=このワイン

と決めつけないこと。

同じ麻婆豆腐でも、

花椒を倍にすればワインは変わります。

辣油を増やせば変わる。

豆板醤を減らして甘めにすれば、また変わる。

料理が変われば、

ワインも変わります。

それでいいんです。

むしろ、

そこが面白い。

今夜の麻婆豆腐が、

花椒どっさりならリースリング。

家庭的な甘辛味ならガメイ。

肉々しいならピノ・ノワール。

そんなふうに、

冷蔵庫とワインセラーを行ったり来たりしながら考える。

これも料理です。

麻婆豆腐に白いごはん。

もちろん最高。

ビールも最高。

紹興酒も最高。

でもたまには、

そこへワイングラスを一脚。

麻婆豆腐の隣に置いてみてください。

転校生だったワインが、

意外とすぐクラスに馴染みます。

そして一度馴染むと、

なかなか面白いやつです。


「ソムリエが本気で答える、料理とワイン」シリーズ

このシリーズでは、

「魚だから白」

「肉だから赤」

だけでは終わらない、

料理の味から考えるワインペアリングを紹介していきます。

次回は、

「餃子に合うワイン」

焼き餃子。

水餃子。

酢醤油。

黒酢。

辣油。

酢胡椒。

同じ餃子でも、

タレひとつでワインは変わります。

さて。

餃子界も、なかなか忙しくなりそうです。

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