赤紫蘇麹で作る茄子とトマトのサレルノ風|煮込まず冷やして味を染み込ませる夏の前菜

おつまみ・酒肴

赤紫蘇麹を作りました。

鮮やかな桃色で、赤紫蘇の爽やかな香りと、麹のやわらかな甘旨味を持った発酵調味料です。

鶏胸肉のソースにしてもおいしい。

豚しゃぶにも合う。

冷奴にのせても、冷製パスタに使ってもいい。

なかなか仕事のできる調味料です。

冷蔵庫に入っている姿は少しかわいらしいのですが、担当業務はかなり広め。見た目は新人、業務内容は課長代理です。

今回はその赤紫蘇麹を使って、茄子とトマトのサレルノ風を作りました。

茄子とピーマンは先に香ばしく焼き、アメーラトマト、ケッパー、にんにく、唐辛子のソースへ最後に戻して、さっと絡めるだけ。

ぐつぐつ煮込みません。

出来上がったら、熱いうちにバットへ移し、ラップをぴったり密着させて冷蔵庫へ。

冷えていく間に、野菜がソースをゆっくり吸い込みます。

火を止めたのに、料理はまだ働いている。

人間なら残業申請が必要ですが、茄子は黙って味を吸ってくれます。

赤紫蘇の爽やかでやさしい酸味、トマトの甘味、ケッパーの塩気。それを吸った茄子とピーマンが、暑い日にうれしい冷たい前菜になりました。

赤紫蘇麹で作るサレルノ風の特徴

今回の料理は、トマトと茄子を長時間煮込む料理ではありません。

茄子とピーマンを先に焼き、ソースは短時間で乳化させ、最後に野菜を戻して絡めます。

大切なのは、次の3つです。

  • 茄子とピーマンを先に焼いて、香ばしさを作る
  • ソースへ戻したら、煮込まずにさっと絡める
  • 熱いうちにバットへ移し、冷えながら味を染み込ませる

煮込まないので、茄子は形が残り、ピーマンにも食感があります。

そこへ赤紫蘇麹を加えることで、トマトの甘味に爽やかな香りと発酵の旨味が重なります。

濃厚なのに重たくない。

しっかり味なのに、あと口は涼しい。

夏の前菜は、このくらい少し矛盾している方がおいしいのです。

材料|2〜3人分

赤紫蘇麹とケッパーには塩気があります。

そのため、最初から塩分を決めすぎず、最後に味を見て調整するのがおすすめです。

料理は足し算できますが、塩分だけは引き算が難しい。

塩分を入れすぎたあとに鍋の前で反省しても、だいたい誰も慰めてくれません。

赤紫蘇麹の詳しい作り方はこちら

赤紫蘇麹の作り方|ヨーグルトメーカー60℃8時間で作る夏の発酵調味料

今回の料理に使いやすい調味料と道具

香りの土台になるエキストラバージンオリーブオイル、酸味と塩気を加えるケッパー、冷やしながら味をなじませるステンレスバットがあると作りやすいです。

作り方

1.茄子は繊維に沿って縦に切る

茄子はヘタを落とし、繊維に沿って縦長に切ります。

今回は、細長いくし形にしました。

茄子を縦に切ると、焼いたあとも形が残りやすく、ソースをまとわせても崩れにくくなります。

さらに、長い断面に焼き色がつくので、香ばしさも出やすいです。

ピーマンも、茄子と同じように縦方向へ切ります。

野菜の繊維に沿って切る。

包丁の向きを少し変えただけですが、完成後の食感はちゃんと変わります。

2.茄子とピーマンを先に焼く

フライパンにオリーブオイルを入れ、茄子を並べて焼きます。

茄子は油を吸いやすいですが、最初から大量の油を入れすぎる必要はありません。

焼き色をつけながら、必要に応じて少しずつ足します。

両面にきれいな焼き色がついたら、いったん取り出します。

ピーマンも同様に焼き、取り出しておきます。

この料理では、野菜をソースで煮込んで火を入れるのではなく、先に焼いて火入れを完成させます。

つまり後半は、野菜を煮るのではなく、ソースを着せるだけ。

茄子も長湯は苦手です。

茄子を縦切りにして焼く
茄子は繊維に沿って縦切りにすると、煮崩れしにくく味も染み込みやすくなります。

3.にんにくと唐辛子を弱火で加熱する

フライパンにオリーブオイル、潰したにんにく、唐辛子を入れます。

火をつけたら弱火。

にんにくを焦がさないように、じっくり香りを油へ移します。

にんにくがシュワシュワと静かに泡立ち、やわらかな香りが出てきたら十分です。

ここで強火にすると、にんにくはあっという間に色づきます。

色づくまではゆっくりなのに、焦げるときだけ突然です。

少し目を離した隙に話が変わるところは、世間とよく似ています。

オリーブオイルでにんにくと唐辛子を炒める
弱火でじっくり。焦がさず香りだけをオイルへ移します。

4.ケッパーとアメーラトマトを加える

にんにくの香りが油へ移ったら、ケッパーを加えます。

続いて、食べやすく切ったアメーラトマトを加え、軽く炒めます。

トマトは完全に崩す必要はありません。

表面が温まり、果汁が少し出てくる程度で大丈夫です。

アメーラトマトの甘味に、ケッパーの塩気と酸味が入ることで、味の輪郭がはっきりします。

アメーラトマトとケッパーを炒める
ケッパーの酸味とトマトの甘味が夏らしいベースになります。

5.赤紫蘇麹を加える

トマトの果汁が出てきたら、赤紫蘇麹を加えます。

赤紫蘇麹は焦げやすいので、強く炒めすぎず、油とトマトの果汁へなじませるように混ぜます。

ここで赤紫蘇の香りがふわっと立ちます。

見た目の桃色はソースへ溶け込み、トマトの赤と混ざって、やわらかなオレンジ色へ。

姿は見えなくなっても、香りと旨味はちゃんと残ります。

少し控えめに見えて、実は全体をまとめている。

赤紫蘇麹は、会議であまり発言しないのに、最後の資料を全部まとめている人です。

赤紫蘇麹を加える
ここで赤紫蘇麹を加えることで、爽やかな香りと旨味が全体に広がります。

6.鶏ガラスープを加えて乳化させる

鶏ガラスープを加え、フライパンを揺すりながら、オリーブオイルと水分をなじませます。

ここはパスタソースを作るときと同じ感覚です。

油とスープが分離したままではなく、少しとろみのある一体化したソースになるまで混ぜます。

赤紫蘇麹にもとろみがあるため、ソースは自然にまとまりやすくなります。

ただし、長く煮詰める必要はありません。

ソースが乳化し、トマトの甘味と赤紫蘇麹の旨味がなじめば十分です。

鶏ガラスープで乳化させたソース
煮込まずに軽く乳化させることで、軽やかなソースに仕上がります。

7.焼いた茄子とピーマンを戻す

焼いておいた茄子とピーマンをフライパンへ戻します。

パスタをソースに絡めるように、フライパンを揺すりながら、野菜全体へソースをまとわせます。

ここで大切なのは、煮込まないこと

茄子はすでに焼けています。

ピーマンにも火が入っています。

必要なのは、ソースを吸わせるための長時間加熱ではなく、全体を均一に絡める短い時間だけです。

煮込みたくなる気持ちは分かります。

料理をしていると、つい「もう少し火を入れた方が安心では」と思います。

ただ、この一皿に関しては、その親切心が少し余計です。

煮込まない勇気を持ちましょう。

焼いた茄子とピーマンをソースに合わせる
野菜は最後に合わせるだけ。焼き色と食感を残します。
赤紫蘇麹で作る茄子とトマトのサレルノ風
煮込まずサッと絡めるのが、サレルノ風らしい軽やかさのポイントです。

8.熱いうちにバットへ移す

全体にソースが絡んだら、火を止めます。

出来立ての熱い状態で、すぐにバットへ移します。

仕上げに刻んだ大葉を散らします。

大葉は加熱しすぎると香りが弱くなるため、火を止めてから加えるのがおすすめです。

冷やして味をなじませるサレルノ風
粗熱を取って冷蔵庫へ。冷える間に野菜へ旨味がゆっくり染み込みます。

9.ラップを密着させて冷やす

料理の表面へ、ラップをぴったり密着させます。

まず粗熱を取り、そのあと冷蔵庫でしっかり冷やします。

この料理は、冷えていく時間も調理の一部です。

熱いソースの中で野菜の組織がゆるみ、冷めていくときに、赤紫蘇麹とトマトの旨味をゆっくり吸い込みます。

密着ラップにすると表面が乾きにくく、ソースと野菜がしっかり触れた状態を保てます。

すぐに食べるより、冷蔵庫で落ち着かせた方が、味が一体になります。

人も料理も、少し頭を冷やした方が話がまとまります。

赤紫蘇香る茄子とトマトのサレルノ風、完成

赤紫蘇麹の茄子とトマトのサレルノ風
赤紫蘇の爽やかな香り、トマトの甘味、焼き茄子の旨味が一体になった夏の前菜です。

しっかり冷えたら、器へ盛りつけます。

赤紫蘇の爽やかでやさしい酸味。

アメーラトマトの濃い甘味。

ケッパーの塩気。

にんにくと唐辛子の香り。

そこへ、香ばしく焼いた茄子とピーマン。

茄子はとろりとしているのに形は残り、ピーマンにもほどよい歯ごたえがあります。

トマトのソースを吸っているのに重たくなく、赤紫蘇の香りがあと口を軽くしてくれます。

暑い日に冷蔵庫から取り出し、そのまま前菜として食べたい味です。

パンを添えてソースを拭ってもいい。

冷製パスタへ合わせてもいい。

白身魚や鶏肉の付け合わせにも使えます。

作り置きの野菜料理なのに、応用範囲はかなり広めです。

おいしく作るポイント

茄子とピーマンは先に焼く

野菜をソースの中で煮込むのではなく、先に香ばしく焼きます。

焼き色が旨味になり、煮崩れも防げます。

赤紫蘇麹を入れたら加熱しすぎない

赤紫蘇の香りを残すため、赤紫蘇麹を加えてからは短時間で仕上げます。

長く煮込むより、ソースへなじませる程度で十分です。

鶏ガラスープとオイルを乳化させる

油が表面へ浮いたままでは、野菜にソースが均一に絡みません。

フライパンを揺すり、少しとろみが出るまで乳化させます。

熱いうちに密着ラップをする

熱いうちにバットへ移し、ラップを密着させることで、乾燥を防ぎながら味をなじませます。

冷める時間を使って、野菜へソースを染み込ませます。

塩分は最後に調整する

赤紫蘇麹とケッパーには塩気があります。

鶏ガラスープの塩分もあるため、最後に味を見てから必要な分だけ加えます。

保存方法

清潔な保存容器に入れ、冷蔵庫で保存します。

保存の目安は2〜3日です。

食べるときは、清潔な箸やスプーンで取り分けます。

冷蔵庫から出した直後でもおいしいですが、香りを少し立たせたい場合は、食べる10分ほど前に出しておくのもおすすめです。

冷たい前菜の作り置きにはバットが便利

出来立てを平らに広げると、粗熱が取れやすく、味も均一になじみます。蓋付きのステンレスバットやガラス保存容器があると、そのまま冷蔵保存できて便利です。

合わせたいワイン

この料理には、爽やかな酸味を持つ白ワインや、辛口のロゼがよく合います。

特に合わせやすいのは、次のようなタイプです。

  • 柑橘やハーブの香りを持つ辛口白ワイン
  • ミネラル感のある南イタリアの白ワイン
  • 果実味が軽やかな辛口ロゼ
  • さっぱりしたスパークリングワイン

トマトとケッパーの酸味があるので、樽香の強い重たい白よりも、軽快で酸のあるタイプがおすすめです。

赤紫蘇の香りには、ハーブや柑橘を思わせる白ワインがよく寄り添います。

赤紫蘇麹はソースとして使うと面白い

赤紫蘇麹は、肉や魚を漬けるだけの調味料ではありません。

オイル、スープ、酢、トマトなどと合わせると、ソースのベースとして使えます。

麹の自然なとろみが乳化を助け、塩味と旨味も同時に加えてくれます。

今回のサレルノ風では、トマトの甘味とケッパーの酸味をまとめ、赤紫蘇の爽やかな香りを足してくれました。

赤紫蘇麹を作ったら、冷奴にのせるだけで終わらせず、ぜひ温かいソースにも使ってみてください。

冷たい調味料が、フライパンの中で急にイタリア語を話し始めます。

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まとめ|冷める時間までがおいしさです

赤紫蘇麹で作る、茄子とトマトのサレルノ風。

茄子とピーマンは先に焼く。

にんにくと唐辛子は弱火で香りを出す。

ケッパー、アメーラトマト、赤紫蘇麹を加え、鶏ガラスープで乳化させる。

そして、焼いた野菜を戻したら、煮込まずにさっと絡める。

熱いうちにバットへ移し、ラップを密着させて冷蔵庫へ。

この冷えていく時間に、茄子とピーマンがソースを吸い込み、味がひとつになります。

赤紫蘇麹の爽やかでやさしい酸味と、トマトの甘味。

夏野菜のおいしさを重たくせず、冷たい前菜にまとめてくれます。

火を止めたら完成、ではありません。

冷蔵庫に入れて、少し待つ。

その時間まで含めて、この料理です。

何でもすぐに結果が欲しくなる時代ですが、茄子くらいはゆっくり待ってみてもいいのかもしれません。

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