低温調理でしっとりロゼ|蝦夷鹿ロースのステーキ トリュフ醤油ソース

蝦夷鹿ロースの低温調理ステーキ トリュフ醤油ソース 低温調理レシピ
低温調理でしっとりロゼに仕上げた蝦夷鹿ロース。トリュフ醤油ソースで。

鹿肉

それは、スーパーのお肉売り場で「今日は鹿にしよう」と、焼きそば用の豚こま肉くらいの軽さで手に取る食材ではありません。

牛、豚、鶏。
その並びの中に鹿が入ってくると、食卓に少しだけ緊張感が走ります。

「今夜は、山からお客様が来ています」

そんな空気です。

今回は、蝦夷鹿ロースを低温調理してからステーキにしました。

厚みは約4cm。
鹿肉の中でも上品でやわらかいロースを、低温でじっくり火入れして、最後にフライパンで香ばしく焼きます。

ソースは、くんの定番になりつつあるトリュフ醤油ソース。

鹿肉の赤身、鉄分、ほんのりレバーのような香り。
そこに、醤油の旨み、オイスターソースの厚み、紹興酒の香り、トリュフの土っぽい香りを合わせます。

森から来た鹿が、急に銀座のカウンターに座ったような味になります。

今回作った料理

今回は、低温調理した蝦夷鹿ロースをステーキにして、トリュフ醤油ソースで食べました。

鹿ロースは低温調理で中をしっとりロゼに。
そのあとフライパンで表面だけ香ばしく焼きます。

低温調理で中の火入れを決めて、フライパンで表情をつける。

料理も人も、最後は表情が大事です。

鹿肉ロースともも肉の味の違い

鹿肉にはいろいろな部位がありますが、今回使ったのはロースです。

ロースは背中側の肉で、鹿肉の中でもかなり上品な部位。
きめが細かく、火入れが決まるとしっとりやわらかく仕上がります。

一方、もも肉はよく動く部位なので、味が濃く、鹿肉らしい鉄分や野性味が出やすいです。

ロースが「上品な赤身」なら、もも肉は「鹿らしさをしっかり味わう赤身」。

部位味わい食感おすすめ料理
ロース上品で澄んだ赤身の旨みやわらかいステーキ、ロースト、低温調理
もも肉鉄分と鹿らしい旨みが強いやや締まりやすいタタキ、煮込み、ラグー、漬け焼き

今回は、鹿肉のきれいな赤身を楽しみたかったのでロースを選びました。

鹿肉がレバーっぽく感じる理由

鹿肉を食べた時に、少しレバーのような香りを感じることがあります。

これは悪い意味だけではありません。

鹿肉は赤身が強く、鉄分を感じやすい肉なので、牛肉よりも野性味や血の香りが出やすいです。

ただし、ドリップが残っていると、そのレバーっぽさが強く出ることがあります。

なので、鹿肉をおいしく食べるには、低温調理前にしっかり水分を拭き取ることが大事です。

キッチンペーパーで表面のドリップをしっかり取る。
これだけで、仕上がりの香りがかなり変わります。

料理は、派手な炎より地味なペーパー。
ここで鹿肉の第一印象が決まります。

低温調理の時に味をつけても大丈夫?

鹿肉が少しレバーっぽく感じる場合は、低温調理の時に軽く味を入れても大丈夫です。

ただし、漬け込みすぎはおすすめしません。

鹿ロースは繊細な肉なので、味を入れすぎると鹿肉らしい上品さが消えてしまいます。

おすすめは、あくまで軽い下味。

塩、黒胡椒、少量の油。
香りづけに、にんにくやハーブを少し。

中華寄りにするなら、紹興酒を少し、醤油を少し、花椒をほんの少し。

鹿肉の鉄分に、紹興酒と花椒はよく合います。

山の香りに、少しだけ中国料理の空気をまとわせる感じです。

材料

材料分量
蝦夷鹿ロース約300g
肉の重量の0.8〜1%
黒胡椒少々
太白胡麻油小さじ1〜2
にんにく薄切り1枚程度
花椒お好みで少々

トリュフ醤油ソースの材料

材料分量
太白胡麻油大さじ1
醤油大さじ1
オイスターソース大さじ1
紹興酒大さじ1
みりん小さじ1
トリュフゼスト小さじ1
胡椒少々
適量

トリュフ醤油ソースは、牛肉にも合いますが、鹿肉に合わせるとかなり面白いです。

鹿肉の鉄分。
醤油の旨み。
オイスターソースの厚み。
紹興酒の香り。
トリュフの土っぽさ。

これはもう、森と中華と洋食が同じテーブルで名刺交換しています。

今回使ったおすすめ調味料

今回のソースの決め手は、トリュフゼストとオイスターソースです。

鹿肉は脂が少なく、赤身と鉄分の旨みが主役の肉です。

そこに醤油だけを合わせると少し細くなりますが、オイスターソースを入れることでソースに厚みが出ます。

さらにトリュフゼストを加えることで、鹿肉の野性味や土っぽい香りと自然につながります。

森から来た鹿に、森の香りをもう一度かける。
なかなか筋の通った話です。

トリュフゼスト

石渡商店オイスターソース

必要なら、太白胡麻油もここに入れても良いです。
ただし、この記事は高級感があるので、ポチップは貼りすぎない方がきれいです。

作り方

1. 鹿ロースの水分をしっかり拭く

鹿ロースの表面についているドリップを、キッチンペーパーでしっかり拭き取ります。

ここが大事です。

鹿肉のレバーっぽさや鉄っぽさは、ドリップが原因で強く感じることがあります。

最初にしっかり拭いておくと、仕上がりの香りがきれいになります。

「肉を拭く」なんて地味な作業ですが、ここを雑にすると、あとで味に出ます。

2. 下味をつける

鹿ロースに塩、黒胡椒、太白胡麻油をなじませます。

お好みで、にんにくの薄切りや花椒を少し入れてもおいしいです。

味を強く入れすぎる必要はありません。

鹿ロースは上品な部位なので、まずは肉の味を活かします。

3. 低温調理する

保存袋に鹿ロースを入れ、空気を抜いて低温調理します。

今回は、厚さ約4cmの鹿ロースを使いました。

温度時間仕上がり
57℃1時間30分〜2時間しっとりロゼ。美味しさ重視。
60℃1時間30分〜2時間やや安心寄り。ピンク感も残る。
63℃1時間30分〜2時間さらに火入れ強め。少し締まりやすい。

今回は、鹿ロースのしっとり感を大事にして、ロゼに仕上げました。

※ジビエは衛生管理された信頼できるものを使い、加熱不足には注意してください。人に出す場合や不安がある場合は、安全側の火入れをおすすめします。

低温調理が好きな方はこちらもどうぞ

鹿ロースのような赤身肉は、火入れがとても大事です。

低温調理を使うと、肉の中心まで均一に火が入り、しっとり仕上げやすくなります。

鶏むね肉、豚レバー、鴨、牛肉など、低温調理を使った料理はこちらにまとめています。

低温調理レシピまとめはこちら

4. 取り出して、しっかり水分を拭く

低温調理が終わったら、袋から取り出します。

この時、肉の表面に水分がついています。

そのまま焼くと、焼き色がつきにくくなります。

キッチンペーパーで、かなりしっかり拭きます。

ここで遠慮はいりません。

鹿肉も「そんなに拭く?」という顔をしますが、拭きます。

5. フライパンで表面を焼く

フライパンに太白胡麻油を少量入れて、しっかり熱します。

鹿ロースを入れて、表面だけ短時間で焼きます。

中は低温調理で火が入っているので、ここで長く焼く必要はありません。

焼く場所目安
表面30〜45秒
裏面30〜45秒
側面転がしながら軽く焼く

目的は、火を通すことではなく、香ばしさをつけること。

低温調理で中身を決めて、フライパンで表面を仕上げる。

これが鹿ロースをおいしく食べるコツです。

6. トリュフ醤油ソースを作る

鹿肉を取り出したフライパンに、ソースの材料を入れて軽く煮詰めます。

太白胡麻油、醤油、オイスターソース、紹興酒、みりん、トリュフゼスト、胡椒。

水で濃度を調整しながら、鹿肉に合う濃さに仕上げます。

鹿肉は脂が少ないので、ソースに少し厚みがあると全体がまとまります。

醤油だけでは細い。
オイスターソースだけでは中華に寄りすぎる。
トリュフだけでは気取ってしまう。

そこに紹興酒が入ると、急に話がまとまります。

会議で言うと、最後に来た人が全部まとめて帰っていくタイプです。

7. 盛り付ける

蝦夷鹿ロースの低温調理ステーキ トリュフ醤油ソース
低温調理でしっとりロゼに仕上げた蝦夷鹿ロース。トリュフ醤油ソースで。

焼いた鹿ロースを少し休ませてからカットします。

中はしっとりロゼ色。

鹿肉の赤身のきれいな色が出ています。

皿に鹿ロースを盛り、トリュフ醤油ソースを添えます。

今回は、にんじんも添えました。

鹿肉の鉄分と赤身の旨みに、にんじんの甘みがよく合います。

食べてみた感想

鹿ロースは、やはり火入れが大事です。

中はしっとり。

噛むと、赤身の旨みと鉄分がじわっと広がります。

牛肉のような脂の甘みではなく、もっと澄んだ赤身の味。

でも、そこにトリュフ醤油ソースを合わせることで、味に厚みが出ます。

醤油とオイスターソースの旨み。
紹興酒の香り。
トリュフの土っぽい香り。

鹿肉の少しレバーっぽいニュアンスが、嫌な方向ではなく、深みとしてまとまります。

これはかなり良いです。

鹿肉が苦手な人にも、

「これなら食べやすい」

と思ってもらえる味だと思います。

赤身肉・低温調理の記事はこちらもおすすめ

鹿肉のような赤身肉は、火入れでおいしさが大きく変わります。

低温調理を使うと、パサつきやすい肉もしっとり仕上げやすくなります。

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豚レバーのように、火を入れすぎるとパサつきやすい食材も、低温調理を使うとしっとり仕上がります。

鹿肉のレバーっぽさが気になる方にも、火入れの考え方として参考になる記事です。

豚レバーの低温調理ステーキはこちら

ソムリエのひとこと

鹿肉に合わせるなら、ワインは赤。

ただし、脂の強い牛肉とは違い、鹿肉は赤身がきれいなので、重すぎるワインよりも、酸と香りのある赤が合います。

おすすめは、ピノ・ノワール、ネッビオーロ、シラー、熟成したサンジョヴェーゼ。

ワイン相性
ピノ・ノワール鹿肉の上品な赤身に合う。ベリーの香りがきれい。
ネッビオーロ鉄分、土、香りの複雑さが鹿肉と合う。
シラースパイス感がトリュフ醤油ソースと好相性。
熟成サンジョヴェーゼ酸と旨みが鹿肉の赤身を引き締める。

今回のトリュフ醤油ソースなら、個人的には熟成感のあるサンジョヴェーゼがかなり良さそうです。

醤油、紹興酒、トリュフ、鹿肉。

そこに酸のある赤ワインが来ると、口の中で話が早い。

初対面なのに、もう昔からの知り合い。

そんな相性です。

まとめ

蝦夷鹿ロースは、低温調理との相性がとても良い食材です。

厚みのあるロースでも、低温調理なら中まで均一に火を入れやすく、しっとりとしたロゼに仕上がります。

鹿肉のレバーっぽさや鉄分が気になる場合は、まず表面のドリップをしっかり拭くこと。

そして、下味は軽めに。

仕上げはフライパンで短時間。

焼き色と香ばしさをつけて、トリュフ醤油ソースでまとめる。

これは、家庭料理でありながら、かなりレストラン寄りの一皿になります。

鹿肉は少し特別な食材ですが、難しく考えすぎなくても大丈夫。

大事なのは、肉の水分を拭くこと、火を入れすぎないこと、そしてソースで受け止めること。

山の恵みを、家庭のフライパンで。

蝦夷鹿ロースの低温調理ステーキ。

かなりおすすめです。

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