余ったケンタッキーが絶品中華に大変身!万願寺とうがらしと焼きニンジンのピリ辛黒酢酢鶏

おつまみ・酒肴

ケンタッキーフライドチキンを買った翌日。

冷蔵庫を開けると、昨日まで宴の中心にいたフライドチキンが、少しばかり所在なさそうに座っています。

温め直して、そのまま食べてもおいしい。

しかし、こちらも料理を作る人間です。
昨日と同じ顔で再登場させるのも、少々申し訳ない。

そこで今回は、ケンタッキーフライドチキンを骨から外して豪快にほぐし、万願寺とうがらしと縦に薄く切ったニンジンを合わせて、ピリ辛の黒酢酢鶏に仕立てました。

酢豚のように見えますが、豚肉は一切入っておりません。

アメリカ生まれのフライドチキンが、黒酢と豆板醤をまとい、中華料理へ転職しました。

なかなか思い切った転職ですが、これが驚くほどよく馴染みます。

ケンタッキーのスパイス衣は黒酢あんと相性がよい

今回の主役は、もちろんケンタッキーフライドチキンです。

骨から肉を外し、包丁できれいに切り揃えるのではなく、手で大小不揃いにほぐしました。

大きな肉にはジューシーさが残り、小さな衣のかけらには黒酢あんがたっぷり絡みます。

この衣が実に優秀です。

もともとスパイスと塩気を含んでいるため、黒酢の甘酸っぱさをまとわせるだけで、料理に複雑な香りとコクが加わります。

つまり今回、調味料の仕事をしているのは黒酢や豆板醤だけではありません。

あの衣も、しっかり会議に参加しています。

万願寺とうがらしは丸ごと焼いて、ふっくら香ばしく

万願寺とうがらしは細かく切らず、ほぼ丸ごとの状態で焼きました。

破裂を防ぐため、包丁の先で小さく切り込みを入れておきます。

少量の油を入れたフライパンで表面を焼き、途中から蓋をして蒸し焼きにすると、皮には香ばしい焼き目が付き、中はふっくら。

万願寺とうがらしの甘みと、わずかなほろ苦さが、黒酢あんの甘酸っぱさを引き締めてくれます。

ピーマンで作ってもおいしいのですが、丸ごと焼いた万願寺とうがらしには、主役を張れるだけの存在感があります。

今回はケンタッキーと同じ皿におりますが、決して付き添いではありません。

ニンジンは縦に薄く切る

ニンジンは、酢豚でよく見る乱切りではなく、縦方向に薄くスライスしました。

厚さは4〜5mmほどが目安です。

繊維に沿って長く切ることで、焼いたあとも適度な歯応えが残ります。

さらに、表面積が広いため、黒酢あんをしっかり受け止めてくれます。

フライパンに並べ、あまり動かさずに両面をじっくり焼くと、ニンジンの甘みが引き出され、縁には香ばしい焼き色が付きます。

黒酢の酸味、豆板醤の辛み、ニンジンの甘み。

料理というものは、ときどきニンジンが誰よりも話をまとめます。

万願寺とうがらしとケンタッキーのピリ辛黒酢酢鶏

材料(2〜3人分)

  • ケンタッキーフライドチキン……2〜3ピース
  • 万願寺とうがらし……4〜5本
  • ニンジン……1本
  • 米油または太白胡麻油……適量

ピリ辛黒酢あん

黒酢は商品によって酸味や甘みが異なるため、砂糖の量は味を見ながら調整してください。

今回使用した黒酢はコチラ
こだわりの製法で職人が丁寧に造り上げた臨醐山黒酢。その香りは美しく、酸味はおだやかに。甘みと旨みは、類い稀なる深い味わいに。

作り方

1.ケンタッキーフライドチキンをほぐす

フライドチキンから骨を外し、肉と衣を大きめにほぐします。

細かくしすぎると黒酢あんの中で存在感がなくなるため、一口で食べられる程度の大きさを残します。

衣が剥がれても捨てません。

この衣のかけらこそ、黒酢あんを最も熱心に吸い込む優秀な部員です。

2.ニンジンを縦に切って焼く

ニンジンは皮をむき、縦方向に4〜5mmの厚さに切ります。

フライパンに少量の油を入れ、中火で両面を焼きます。

表面に焼き色が付き、中心に少し歯応えが残る程度で一度取り出します。

3.万願寺とうがらしを蒸し焼きにする

万願寺とうがらしに小さな切り込みを入れ、同じフライパンで焼きます。

表面に焼き目が付いたら蓋をして、途中で向きを変えながら蒸し焼きにします。

皮が香ばしく焼け、中までふっくら火が通ったら取り出します。

焼き野菜は、蓋を使って短時間蒸し焼きにすると、中まで火が入りやすくなります。

透明な蓋なら焼け具合が見えるため、「少し様子を見よう」と蓋を開け、せっかくの蒸気を全て逃がす事件も減ります。

4.黒酢あんを作る

フライパンの余分な油を拭き、黒酢、醤油、オイスターソース、紹興酒、砂糖、水、豆板醤を加えます。

中火にかけ、豆板醤を溶かしながらひと煮立ちさせます。

味を確認し、水溶き片栗粉を少しずつ加えて、とろみを付けます。

5.具材を黒酢あんに絡める

黒酢あんにケンタッキーフライドチキン、焼いたニンジン、万願寺とうがらしを戻します。

強く混ぜるとチキンや野菜が崩れるため、フライパンをあおるか、ヘラで下から大きく返すように絡めます。

最後に辣油を加え、全体に艶が出たら完成です。

豆板醤と辣油で、優しい黒酢あんがご飯泥棒に

黒酢あんだけでも、まろやかな甘酸っぱさのあるおいしい酢鶏になります。

しかし今回は、そこへ豆板醤と辣油を加えました。

豆板醤には唐辛子の辛みだけでなく、発酵由来の塩気、旨味、深いコクがあります。

さらに辣油を加えることで、香ばしい油の風味と、後から追いかけてくる辛みが加わります。

最初に感じるのは黒酢の甘酸っぱさ。

続いて、ケンタッキーフライドチキンの衣に含まれたスパイス。

最後に豆板醤と辣油の辛みが、静かに白いご飯を呼びに行きます。

そして白いご飯は、呼ばれてもいないのに大盛りでやって来ます。

まことに連携の取れた犯行です。

自家製辣油があると、辛みだけでなく、ネギ、生姜、唐辛子、花椒などの香りも加わります。

くんの自家製辣油の作り方はこちらです。

香味野菜と花椒で作る、くんの自家製辣油

衣をカリッと残したい場合は、先に温め直す

冷蔵庫に入れていたフライドチキンを使う場合は、そのまま黒酢あんに加えても作れます。

ただし、衣の香ばしさを少し残したい場合は、先にノンフライオーブンやトースターで温め直すのがおすすめです。

ノンフライオーブンなら180℃で3〜5分ほど温め、衣の表面をカリッとさせてから、最後に黒酢あんへ加えます。

黒酢あんと絡める時間を短くすると、衣の香ばしさとあんの艶を両方楽しめます。

食べてみると

黒酢あんは、甘酸っぱくてまろやか。

そこへ豆板醤の発酵した旨味と、辣油のコクのある辛みが加わり、優しい味わいの奥に、しっかりとした刺激があります。

ケンタッキーフライドチキンは、肉のジューシーさを残しながら、スパイス衣が黒酢あんを吸い込み、想像以上に中華料理へ馴染んでいました。

縦に焼いたニンジンは甘く、ほどよく歯応えがあり、黒酢あんとの絡みも抜群。

丸ごと焼いた万願寺とうがらしは、ふっくらと柔らかく、青い香りとほろ苦さが料理全体を引き締めます。

余ったフライドチキンを使った料理ではありますが、食べた印象は「残り物の再利用」ではありません。

昨日のケンタッキーを温め直したのではなく、翌日の主役として再び舞台に上げた料理です。

ソムリエのひとこと|合わせたいのはランブルスコ

このピリ辛黒酢酢鶏に合わせたいのは、イタリア・エミリア=ロマーニャ州の赤いスパークリングワイン、ランブルスコです。

おすすめは、しっかり甘いタイプではなく、ほどよく辛口のセッコまたはアマービレ

ランブルスコの赤い果実を思わせる香りと穏やかな甘みが、黒酢あんの甘酸っぱさに自然と寄り添います。

さらに、細かな泡がケンタッキーフライドチキンの衣と脂をさっぱりと流し、豆板醤と辣油の辛みを心地よく整えてくれます。

黒酢、豆板醤、辣油、そしてケンタッキーのスパイス。

かなり発言者の多い料理ですが、ランブルスコは誰かを黙らせるのではなく、全員の話を上手にまとめてくれます。

こういう方が会議に一人いると助かります。

白ワインを合わせるなら、ほんのり甘みを残したリースリングもおすすめです。

爽やかな酸味が黒酢とつながり、果実の甘みが豆板醤と辣油の辛さをやわらげます。

反対に、渋みの強い重たい赤ワインは、黒酢の酸味や唐辛子の辛みとぶつかり、渋さが強く感じられることがあります。

この料理には、力で押し切るワインよりも、泡と果実味で軽やかに受け止めるワインがよく似合います。

くんのペアリングポイント
黒酢の甘酸っぱさには果実味、揚げ衣には泡、豆板醤と辣油の辛みには少しの甘み。ランブルスコなら、この三つを一度に引き受けてくれます。

まとめ

ケンタッキーフライドチキンは、そのまま食べるだけでなく、黒酢あんを絡めることで、立派な中華料理に生まれ変わります。

ポイントは、チキンを細かくしすぎず、衣も一緒に使うこと。

ニンジンは縦に薄く切って香ばしく焼き、万願寺とうがらしは丸ごと蒸し焼きにすると、野菜の甘みと食感をしっかり楽しめます。

そして、黒酢あんに豆板醤と辣油を加えること。

まろやかな甘酸っぱさに、発酵の旨味と香ばしい辛みが加わり、箸が止まらないご飯泥棒になります。

ケンタッキーが余った翌日は、温め直す前に少しだけお待ちください。

黒酢、豆板醤、辣油が揃っていれば、そのチキンにはまだ別の人生が残っています。

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