モウカの星をレバー刺し風に|毛鹿鮫のハツを即席ごまダレで食べてみた

モウカの星をレバー刺し風に盛り付けた一皿。毛鹿鮫のハツの刺身に即席ごまダレと海ぶどうを添えた料理写真 おつまみ・酒肴
モウカの星をレバー刺し風に。毛鹿鮫のハツを、即席ごまダレと海ぶどうで味わう家飲みの一皿。

近所のオオゼキで、モウカの星を見つけました。

モウカの星。

名前だけ聞くと、夜空に浮かぶ星座のようですが、正体は毛鹿鮫のハツ。つまり、サメの心臓です。

魚売り場で「毛鹿鮫のハツ」と書かれた赤い塊を見た瞬間、予定していた献立が静かに崩れました。

今日は何か普通に作ろうと思っていたのです。焼くとか、煮るとか、エペイオスに入れるとか、マイヤーでどうにかするとか。

でも、モウカの星がこちらを見ている。

こうなると、もう負けです。

今回は、モウカの星をレバー刺し風にして食べました。

調理らしい調理はしていません。薄く切って、皿に盛って、即席のごまダレと海ぶどうを添えただけ。

でも、これが美味しすぎました。

料理人として何かしたい気持ちはあります。

焼きたい。炙りたい。少しだけ香りを足したい。できれば「ここで一度、60度で……」などと言いたい。

でも、こういう食材は、手を加えすぎると負けることがあります。

素材がすでに大声で歌っているところへ、こちらが急にタンバリンを持って乱入するようなものです。

今回は、静かに聴くことにしました。

先にこれだけ|モウカの星は“即席ごまダレ”でレバー刺し風になる

モウカの星のような旨みの濃い刺身系の珍味は、しょうゆだけで食べるより、ごま油・酢・透明醤油・にんにく・からし・塩で作る即席ごまダレがよく合いました。

ごま油の香りでレバー刺し感を出し、お酢で後味を軽くする。

透明醤油で旨みを足して、にんにくで少しだけ背中を押す。

これだけで、家の食卓が急に「ちょっと飲む店」になります。

モウカの星とは?毛鹿鮫のハツです

モウカの星は、毛鹿鮫の心臓。つまりハツです。

宮城県の気仙沼などで知られる珍味で、鮮度のよいものは刺身で食べられることがあります。
こちらに詳細が書いてありました

見た目は、かなり鮮やかな赤。

牛レバーのようでもあり、ハツのようでもあり、でも魚介の透明感もある。

なかなか不思議な存在です。

「サメの心臓」と聞くと、食卓の会話としては強めです。

もし初対面の人に「今日はサメの心臓を食べました」と言われたら、少しだけ椅子を引くかもしれません。

でも食べてみると、怖さはありません。

むしろ、きれい。

鉄分を感じるような濃さがありながら、牛レバーほど重たくない。

血のニュアンスはあるのに、嫌な臭みがない。

これは、かなりいい食材です。

今回は近所のオオゼキで購入しました

今回のモウカの星は、近所のオオゼキで購入しました。

常に置いてある食材ではなく、見かけたら少しラッキーなタイプの珍味だと思います。

スーパーの鮮魚売り場は、たまにこういう出会いがあります。

「今日は豚肉で何か作ろうかな」と思っていたのに、鮮魚売り場で毛鹿鮫のハツと目が合う。

予定表というものは、魚売り場で簡単に破れます。

そして、こういう食材は、見つけた日に食べたい。

冷蔵庫の奥で「あとでね」と言っているうちに、食材のテンションが下がってしまう。

珍味は、出会った瞬間がいちばん元気です。

くんの即席ごまダレ|レバー刺し風に決めるタレ

モウカの星 毛鹿鮫のハツを薄切りにして海ぶどうと即席ごまダレで盛り付けた刺身風の一皿
モウカの星をレバー刺し風に。ごま油、お酢、透明醤油、にんにく、からし、塩で作る即席ごまダレと海ぶどうで味わう。

くんの即席ごまダレ|からしで締めるレバー刺し風のタレ

今回の決め手は、モウカの星そのものと、もうひとつ。

からし入りの即席ごまダレです。

材料は、ごま油、お酢、透明醤油、にんにく、からし、塩。

ごま油でレバー刺しらしい香りを出し、お酢で後味を軽くする。透明醤油で旨みを足して、にんにくで少しだけ背中を押す。

そして最後に、からし。

このからしが、モウカの星の濃い旨みをきゅっと締めてくれます。

わさびではなく、からし。ここが少しレバー刺し寄りです。

材料

  • ごま油:大さじ1
  • お酢:小さじ1
  • 透明醤油:小さじ1
  • にんにくすりおろし:少々
  • からし:少々
  • 塩:ひとつまみ

作り方

  1. 小皿にごま油、お酢、透明醤油を入れる。
  2. にんにくすりおろし、からし、塩を加える。
  3. よく混ぜる。
  4. 薄く切ったモウカの星に、少しつけて食べる。

からしは入れすぎない方が良いです。

主役はモウカの星。からしは、主役を押しのける人ではなく、最後に一言だけ場を締める司会者くらいがちょうどいい。

食べ方はレバー刺し風。海ぶどうのプチプチもよく合う

今回は、モウカの星を薄く切り、即席ごまダレで食べました。

添えたのはこちらもオオゼキで購入した海ぶどう。

この海ぶどうがまた良かったです。

モウカの星のなめらかな食感に、海ぶどうのプチプチが入る。

濃い赤に、緑の粒。

皿の上で、ちょっとした海の宝石商が営業を始めます。

食べると、最初にごま油の香り。

次に、お酢のキレ。

そのあとに、透明醤油の旨みと、にんにくの余韻。

最後に、モウカの星の濃い旨みがゆっくり来ます。

レバー刺しに似た満足感があります。

でも、牛レバーより軽い。

ハツらしい歯切れもあり、ねっとりしすぎない。

濃いのに、後味はすっと消える。

これはお酒が欲しくなります。

そして困ったことに、白ワインでも日本酒でも紹興酒でもいけそうです。

こういう食材は、飲み手を甘やかします。

きれいに薄く切るだけで、かなり料理になる

今回は大きな調理はしていません。

でも、薄く切ること。

皿に並べること。

タレを作ること。

それだけで、ちゃんと一皿になります。

刺身系の珍味は、火を入れないぶん、切り方と器で印象がかなり変わります。

厚すぎると野暮ったくなり、薄すぎると食感が消える。

このあたりは、料理というより、ちょっとした間合いです。

相手の話にかぶせすぎない。

黙りすぎない。

いいタイミングでうなずく。

刺身も人間関係も、だいたいそこです。

モウカの星に合わせたいお酒

ソムリエ的に考えると、モウカの星はなかなか面白い食材です。

レバー刺しのような鉄っぽさ、ハツのような歯切れ、ごま油の香り、お酢のキレ、透明醤油の旨み。

ここに何を合わせるか。

焼酎を合わせるなら、DAIYAMEロックがちょうどいい

今回、モウカの星に合わせて飲んだのは、芋焼酎のDAIYAME(だいやめ)25度

芋焼酎というと、どっしり、ほっこり、湯気の向こうに演歌が流れるようなイメージがありますが、DAIYAMEは少し違います。

グラスに注ぐと、ふわっと立つのはライチのような華やかな香り。ロックにすると、最初はきりっと冷たく、氷が少し溶けるにつれて香りがほどけていきます。

モウカの星は、食感と香りの料理です。レバー刺しのようなねっとり感、ハツらしい歯切れ、そこに胡麻油・お酢・透明醤油・にんにく・塩で作った胡麻ダレが入る。

このとき、DAIYAMEの華やかな香りが、生の魚介の余韻をふわっと持ち上げてくれます。ごま油のコクには寄り添い、にんにくの香りには負けず、お酢の酸味にはすっと並ぶ。

ワインで合わせるなら、香りのある白ワインという選択もあります。でも、この日はDAIYAMEのロックがちょうどよかった。

なんというか、食卓に置いた瞬間、ただの晩酌ではなくなります。
「今日はちょっと、海のレバ刺しで一杯やっております」みたいな顔になる。

ぶーちゃんが見たら、たぶんこう言います。
「それ、お水じゃない顔してるね。」

モウカの星を見つけたら、まずはシンプルに胡麻ダレで。そして飲みものは、DAIYAMEをロックで。
これはなかなか、家の食卓にしては事件性のあるおいしさです。

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日本酒なら、純米酒

まず間違いないのは、純米酒です。

冷やしすぎず、少し温度を上げても良い。

米の旨みが、モウカの星の濃さを受け止めてくれます。

ごま油の香りにも負けず、酢のキレにも寄り添う。

これは安心感があります。

白ワインなら、甲州やミュスカデ

白ワインなら、甲州やミュスカデが良いと思います。

ごま油の香りがあるので、あまり樽の強い白より、酸とミネラルで流してくれるタイプ。

甲州なら、刺身の空気感を壊さずに寄り添ってくれます。

ミュスカデなら、海ぶどうの塩気とも相性が良いです。

透明醤油の旨みともぶつかりにくく、後味をきれいにしてくれます。

紹興酒もかなり合う

そして、紹興酒。

これはかなり合います。

モウカの星の鉄っぽさと、ごま油の香ばしさに、紹興酒の熟成感が寄っていく。

中華前菜のような雰囲気になって、急に食卓が大人になります。

冷蔵庫の前で立って食べるには、少しもったいない味です。

生食についての注意

※生食について
今回は、刺身用として販売されていたものを購入し、当日中に食べました。生の魚介類には食中毒のリスクがあるため、購入時は表示・鮮度・保存状態を確認し、信頼できる鮮魚店やスーパーで購入してください。

体調に不安がある方、小さなお子さま、妊娠中の方、高齢の方は、無理に生食しないことをおすすめします。

また、魚介類の生食ではアニサキスなどへの注意も必要です。厚生労働省では、アニサキス対策として、目視確認、-20℃で24時間以上の冷凍、70℃以上または60℃で1分以上の加熱が有効と案内されています。一般的な料理で使う程度のお酢、塩、しょうゆ、わさびではアニサキス幼虫は死滅しないとされています。

美味しいものほど、安心して食べる準備が大事です。

まとめ|モウカの星は、何もしない勇気がいちばん旨い

モウカの星は、焼いたり煮たりする前に、まず刺身で食べてみたい食材でした。

ごま油、お酢、透明醤油、にんにく、塩。

この即席ごまダレを少し。

海ぶどうを添えて、あとは一口。

レバー刺しのような濃さがありながら、後味はすっと軽い。

これは珍味というより、鮮度で食べるごちそうです。

調理していないから記事にならない、と思うかもしれません。

でも、こういう一皿こそ、食材の力がよくわかります。

切って、盛って、タレを作って、食べる。

そのくらい潔い方が、モウカの星には似合っていました。

台所で何かをしたい気持ちをぐっとこらえる。

料理人にとって、それがいちばん難しい調理かもしれません。

家で刺身を楽しむなら、まず揃えたいもの

今回のような一皿は、特別な調理器具よりも、ごま油・お酢・透明醤油・切れる包丁・小さな器があると一気に雰囲気が出ます。

スーパーで珍味を見つけた日に、すぐ一皿にできる準備。

これがあると、家飲みはかなり楽しくなります。

ぶーちゃんのひとこと

「焼かない、煮ない、圧もかけない。でもタレでちゃんと料理になってる。モウカの星、台所界の素通り優勝だね。」

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