自家製辣油と辣カスで作る食べる辣油|白い醤油麹で旨辛に仕上げる台所メモ

焦げる・固くなる・べちゃつくを減らす

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自家製辣油と辣カスを瓶に分けた完成写真 おつまみ・酒肴
澄んだ自家製辣油と、旨味を抱えた辣カス。ここから食べる辣油に展開します

ひとくちメッセージ

辣油を作りました。

と言うと、赤い油を瓶に詰めて終わりのように聞こえます。
でも、今回の主役はそこだけではありません。

ねぎ、にんにく、唐辛子、花椒の香りを油に移す。
その油を唐辛子に注ぎ、赤く香りを立ち上げる。
そして最後に残る、香ばしい唐辛子のかたまり。

そうです。
辣カスです。

普通なら「残りもの」扱いされがちなこの辣カス。
でも、くんの台所ではここからが本番です。

くんの白い醤油麹、白ごま、フライドガーリック、自家製辣油を合わせると、辛味の副産物が一気に食べる調味料になります。

餃子にのせる。
冷奴にのせる。
蒸し鶏にのせる。
クラゲに少し合わせる。
牛ハツに添える。

すると、台所が少しだけ中華料理店の香りになります。
ただし、換気扇は現実を知っています。


今日のエッセイ|辣油を作ると、台所が少しだけ本気を出す

辣油を作るとき、最初に鍋へ入れるのは唐辛子ではありません。

ねぎです。
にんにくです。
花椒です。
乾いた唐辛子です。

それを油に沈めて、弱火でじわじわと香りを移していく。

この時間がいいのです。
炒め物のように、こちらが慌てる必要はありません。
油の中でねぎが少しずつしんなりして、にんにくの香りが立ち、唐辛子が赤から深い赤へと変わっていく。

台所に立っているこちらとしては、
「ボクはいま調味料を作っている」
という気持ちになります。

料理というより、仕込み。
仕込みというより、儀式。
赤い油の前で、なぜか少し背筋が伸びる。

ただ、背筋が伸びたところで、鍋の横には洗い物があります。
現実という名のボウルです。

でも、自家製辣油にはそれを超える楽しさがあります。

市販の辣油は便利です。
もちろん便利。
瓶を開ければ、すぐ辛い。
そのスピード感は、忙しい日の味方です。

けれど、自分で作る辣油には、油の中に移した香りの記憶があります。

ねぎの甘み。
にんにくの香ばしさ。
花椒のしびれ。
唐辛子の辛味。
そして、鍋底に残る辣カスの存在感。

この辣カスを捨てるのは、映画をエンドロール前に帰るようなものです。
スタッフロールにこそ、いい名前が並んでいることがあります。

今回は、その辣カスをくんの白い醤油麹で味付けしました。

味噌を入れれば、甘辛くて濃厚な食べる辣油になります。
コチュジャンを入れれば、韓国甘辛の方向へ寄ります。

でも、今回は白い醤油麹。

辛いのに、重たくない。
香ばしいのに、料理を邪魔しない。
餃子、冷奴、蒸し鶏、クラゲ、牛ハツ。
いろいろな料理に、すっと乗ってくれる。

これはもう、調味料というより、台所の赤い助っ人です。
小瓶に入っていますが、態度はなかなか大きいです。


今日作るもの

今回は、2段階で作ります。

まずは、
ねぎ・にんにく・唐辛子・花椒で香りを移した自家製辣油。

そして、残った辣カスに、
くんの白い醤油麹、白ごま、フライドガーリック、フライドオニオンを合わせた食べる辣油。

ポイントは、最初から辣カスに味を入れすぎないこと。

辣カスは、いわば香りの素です。
使う料理に合わせて、あとから味付けした方が自由度が上がります。

今回は、ブログ用に一瓶だけ「食べる辣油」として仕上げています。


材料

自家製辣油の材料

作りやすい分量です。

  • 太白胡麻油、または米油 200ml
  • 長ねぎの青い部分 1〜2本分
  • にんにく 1〜2片
  • 乾燥唐辛子 10〜15本
  • 花椒 小さじ1〜2
  • 粗挽き唐辛子、または韓国唐辛子 大さじ3〜4

油は、太白胡麻油がおすすめです。
香りが強すぎず、ねぎや花椒、唐辛子の香りをきれいに受け止めてくれます。

ごま油の香りを強く出したい場合は、太白胡麻油に少しだけ濃口のごま油を混ぜてもおいしいです。
ただし、最初から全部を濃いごま油にすると、香味野菜の香りが少し隠れます。


辣カスで作る食べる辣油の材料

  • 辣カス 大さじ4
  • 自家製辣油 大さじ2〜3
  • くんの白い醤油麹 大さじ1
  • 白いりごま 大さじ1
  • フライドガーリック 大さじ1
  • フライドオニオン 大さじ1
  • 酢 小さじ1/2
  • 砂糖 ひとつまみ
  • 塩 必要なら少々

好みで、

  • コチュジャン 小さじ1/4〜1/2
  • 花椒粉 少々
  • 五香粉 ほんの少し

コチュジャンは入れてもおいしいです。
ただし、入れすぎると一気に韓国甘辛味になります。

白い醤油麹を主役にするなら、コチュジャンは隠し味くらいがちょうどいいです。
コチュジャンは、味の会議で声が大きいタイプです。
おいしいけれど、すぐ議長席に座ります。

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作り方

1. 油に香味野菜とスパイスを入れる

フライパン、または小鍋に油を入れます。
そこへ長ねぎ、にんにく、乾燥唐辛子、花椒を加えます。

まだ火は強くしません。
最初は弱火です。

ここで大切なのは、揚げるというより、香りを油に移すこと。

油の中で、ねぎとにんにくがゆっくり温まり、唐辛子と花椒の香りが少しずつ出てきます。

フライパンに長ねぎ、唐辛子、花椒、にんにくを入れて自家製辣油の香味油を作っている写真
ねぎ、唐辛子、花椒、にんにくを油に入れて、香味油を作り始めるところ。

2. 弱火でじっくり香りを移す

火加減は弱火から中弱火。
油の中で、ふつふつと小さな泡が出るくらいです。

強火にすると、唐辛子やにんにくが焦げやすくなります。
焦げた香りは、香ばしさを通り越して苦味になります。

ねぎが少しずつしんなりして、にんにくの香りが立ち、唐辛子の赤が濃くなってきたらいい感じです。

フライパンに長ねぎ、唐辛子、花椒、にんにくを入れて自家製辣油の香味油を作っている写真
弱火でじっくり。油の中でねぎと唐辛子の香りを移していきます。

3. ねぎが色づいたら、焦げる前に火を止める

ねぎに焼き色がつき、香りがしっかり出てきたら火を止めます。

ここで欲張りすぎないこと。
もう少し、もう少し、と思っていると、唐辛子が焦げます。
唐辛子は、こちらの未練を見逃しません。

ねぎがくたっとして、少し黄金色になっていれば十分です。

長ねぎが色づいた香味油と唐辛子で自家製辣油を仕込んでいる写真
ねぎが色づき、香味油に香りが移った状態。焦がす前に止めるのがポイント。

4. 唐辛子粉を用意する

別の耐熱ボウル、または小鍋に、粗挽き唐辛子や韓国唐辛子を入れておきます。

唐辛子に水を少し含ませると焦げにくいです。

ここに熱い香味油を注ぎます。

唐辛子粉は、細かすぎるものだけだと焦げやすく、辛味が強く出やすいです。
粗挽きや韓国唐辛子を使うと、赤い色と香りがきれいに出ます。

ボクはキムチ用のヘテ唐辛子の粗挽きを使ってます

唐辛子粉を入れた鍋と香味油を用意して自家製辣油を作る準備写真
香味油と唐辛子粉を準備。ここから赤い辣油に仕上げていきます

5. 熱い香味油を唐辛子に注ぐ

香味油を、唐辛子粉に注ぎます。

一気に全部入れず、何回かに分けると安全です。
油を入れた瞬間、唐辛子が泡立ち、香りが一気に立ちます。

ここが自家製辣油のいちばん楽しいところです。
同時に、いちばん緊張するところでもあります。

熱い油を扱うので、必ず耐熱の容器を使います。
水気があると油が跳ねるので、容器や道具の水分はしっかり拭いておきます。

熱い香味油を唐辛子粉に注いで自家製辣油を作っている写真
熱い香味油を唐辛子粉へ。泡とともに、赤い香りが立ち上がります

6. 泡が落ち着くまで待つ

油を注ぐと、唐辛子がふわっと泡立ちます。
そのまま、しばらく置いて落ち着かせます。

泡が落ち着くと、油が鮮やかな赤に変わっていきます。

この時点で、すでに辣油です。
でも、ここで終わらないのが今回の記事です。

底に沈んだ唐辛子。
香味野菜や花椒の香りを抱え込んだ辣カス。

ここが、もうひとつの主役です。

唐辛子粉と香味油が泡立って赤く染まる自家製辣油の写真
唐辛子に熱い油が入り、赤く泡立つ瞬間。自家製辣油の香りが決まります。
唐辛子粉と香味油が泡立って赤く染まる自家製辣油の写真
きれいな赤

7. 澄んだ辣油と辣カスに分ける

冷めたら、必要に応じて濾します。

上澄みの赤い油は、澄んだ自家製辣油。
餃子のたれ、スープ、炒め物の仕上げに使えます。

残った唐辛子の部分は、辣カス。
ここには辛味だけでなく、香味野菜、花椒、にんにくの香りが詰まっています。

つまり、捨てる場所ではありません。
むしろ、ここから食べる辣油になります。

自家製辣油と辣カスを瓶に分けた完成写真
澄んだ自家製辣油と、旨味を抱えた辣カス。ここから食べる辣油に展開します

辣カスで作る、くんの食べる辣油

1. 辣カスに白い醤油麹を合わせる

辣カスに、くんの白い醤油麹を加えます。

味噌ではなく、白い醤油麹にするのが今回のポイントです。

味噌を入れると、甘辛くて濃厚な食べる辣油になります。
それもおいしいです。

でも、白い醤油麹にすると、辛さの中に麹の旨味がすっと入ります。
重たくなりすぎず、料理にのせたときに味が濁りにくい。

餃子にも、冷奴にも、クラゲにも、蒸し鶏にも合わせやすいです。


2. 白ごま、フライドガーリック、フライドオニオンを加える

白ごまを加えると、香ばしさと食感が出ます。
フライドガーリックは、食べる辣油らしいパンチ。
フライドオニオンは、甘みとザクザク感。

ここで一気に「油」から「食べる調味料」に変わります。


3. 自家製辣油でしっとりまとめる

自家製辣油を加えて、全体をしっとりまとめます。

スプーンですくったときに、具と油が一緒に乗るくらいが理想です。

具が多すぎてボソボソしていたら、辣油を追加。
油が多すぎて具が沈んでしまうなら、辣カスや白ごまを少し足します。


4. 酢と砂糖で味を整える

酢を少し入れると、味が締まります。
砂糖はほんのひとつまみで十分です。

コチュジャンを入れる場合は、砂糖は入れなくてもいいくらいです。
コチュジャン自体に甘味とコクがあります。

ただし、コチュジャンは少量で。
白い醤油麹の透明感を残したいので、最初は小さじ1/4くらいからがおすすめです。


5. 10〜30分置く

混ぜたら、少し置きます。

作りたてでも食べられますが、少し置くと白い醤油麹、辣カス、フライドガーリック、油がなじみます。

辛味が落ち着いて、香ばしさがまとまります。


完成|赤い油と、食べる辣カス

瓶に詰めたら完成です。

見た目は赤く、香りはしっかり。
でも、白い醤油麹のおかげで、ただ辛いだけではありません。

辛い。
香ばしい。
旨い。
少し甘い。
あとから花椒がふわっと来る。

これは、餃子のためだけに置いておくには惜しい調味料です。

白い醤油麹と辣カスで作った自家製食べる辣油の瓶詰め写真
白い醤油麹と辣カスで仕上げた、くんの食べる辣油。辛味、香ばしさ、旨味が一瓶に。
スプーンですくった自家製食べる辣油と辣カスのアップ写真
スプーンですくうと、辣カス、白ごま、フライドガーリック、赤い辣油が一緒に立ち上がります。

味の調整メモ

もっと旨味を出したいとき

白い醤油麹を小さじ1追加します。

ただし、水分が入るので、保存期間は短くなります。
たくさん入れすぎるより、食べる分だけ小皿で追加する方が使いやすいです。


もっと酸味を出したいとき

酢を数滴から小さじ1/2足します。

クラゲ、蒸し鶏、冷奴に使うなら、少し酸味がある方が合います。


もっと甘辛にしたいとき

コチュジャンを小さじ1/4〜1/2加えます。

餃子、焼肉、牛ハツ、粉蒸肉にはかなり合います。
ただし、入れすぎると全体がコチュジャン味になります。


もっとしびれを出したいとき

花椒粉を少し足します。

入れすぎると、口の中が四川省に短期留学します。
最初は少しで大丈夫です。


保存について

白い醤油麹やコチュジャンを入れた食べる辣油は、冷蔵保存がおすすめです。

清潔な瓶に入れ、清潔なスプーンで取り出します。
できれば、3〜5日くらいで使い切ると安心です。

長く使いたい場合は、

辣カスは味付けせずに保存
食べる分だけ白い醤油麹で和える

この方法がいちばん使いやすいです。

油だけの辣油は比較的保存しやすいですが、白い醤油麹や酢、コチュジャンを入れると水分が入ります。
そのぶん保存性は落ちます。

自家製調味料は、香りがいいぶん、管理も少しだけ丁寧に。
台所の赤い助っ人には、冷蔵庫という控室を用意してあげます。


何に使う?

餃子

まずは餃子です。

酢、透明醤油、この食べる辣油。
これだけでかなり強いです。

羽根つき餃子にのせると、皮の香ばしさ、肉の旨味、辣カスの香りが重なります。


冷奴

冷奴にのせるだけで、かなりおいしいです。

豆腐のやさしさに、白い醤油麹の旨味と辣油の香りがよく合います。
ねぎを少しのせてもいいです。


キャノンボールクラゲ

クラゲに使うなら、少し酢を足すのがおすすめです。

クラゲのコリコリした食感に、辣カスの香ばしさがよく合います。
ただし、クラゲの前菜に使う場合は、コチュジャンは少なめ。
白い醤油麹の軽さを残した方が、食感がきれいに出ます。


蒸し鶏

蒸し鶏にのせると、よだれ鶏風になります。

鶏のしっとりした肉質に、辛味、油、白い醤油麹の旨味が合います。
きゅうりを添えると、さらに良いです。


牛ハツのウンパイロウ風

これはかなり合います。

牛ハツの鉄っぽい旨味に、辣カスの香ばしさと白い醤油麹の旨味。
脂の多い肉ではなく、ハツのような締まった肉に合わせると、食べる辣油の香りがよく立ちます。


粉蒸肉のたれ

粉蒸肉の仕上げにも合います。

蒸した肉の甘み、米粉の香り、五香粉のニュアンス。
そこに、この食べる辣油を少しのせると、味がぐっと締まります。


卵かけごはん

これは危険です。

ごはん、卵、少しの透明醤油。
そこに、この食べる辣油。

簡単すぎるのに、戻れなくなる味です。
朝に食べると、少し目が覚めます。
ただし、仕事前に花椒を入れすぎると、口の中だけ会議が四川になります。


この自家製辣油作りに使ったもの

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まとめ

自家製辣油は、赤い油を作って終わりではありません。

ねぎ、にんにく、唐辛子、花椒の香りを油に移す。
その香味油を唐辛子に注ぐ。
赤く染まった油を取り、残った辣カスを味付けする。

この流れで、ひとつの仕込みから、
澄んだ辣油と、
食べる辣油の両方ができます。

今回の食べる辣油は、味噌ではなく、くんの白い醤油麹で仕上げました。

辛いけれど重くない。
香ばしいけれど、料理を邪魔しない。
餃子、冷奴、蒸し鶏、クラゲ、牛ハツ、粉蒸肉。
いろいろな料理に少しのせるだけで、味の景色が変わります。

辣油を作ったら、辣カスを捨てない。

むしろ、そこからが本番です。

赤い油の底に残ったものが、
次の一皿をおいしくする。

台所という場所は、たまにこういうことをします。
主役だと思っていたものの横で、静かに本当の主役が待っている。

今回で言えば、辣カスです。
名前は少し雑ですが、仕事はかなり丁寧です。


ソムリエのひとこと

この食べる辣油は、辛味、香ばしさ、にんにく、花椒、白い醤油麹の旨味があるので、ワインを合わせるなら少し工夫が必要です。

辛味に対してアルコールが強すぎるワインを合わせると、辛さが立ちすぎることがあります。
おすすめは、果実味があり、冷やして飲めるタイプ。

合わせやすいワイン

やや甘みのあるリースリング

辛味と花椒にかなり合います。
少し甘みがあることで、唐辛子の辛さがやわらぎます。

ゲヴュルツトラミネール

ライチのような香り、スパイス感が、花椒や唐辛子と相性よし。
蒸し鶏やクラゲに使うときにおすすめです。

ランブルスコ・セッコ

餃子や牛ハツに合わせるなら、辛口のランブルスコもいいです。
軽い泡と赤い果実味が、辣油の油分を流してくれます。

ロゼワイン

冷奴、蒸し鶏、クラゲなど、軽めの料理に合わせるならロゼ。
辛味、酸味、旨味を受け止めやすいです。

ビールなら、かなり簡単です。
冷えたビールは正義。
食べる辣油の前では、理屈より泡が先に走ります。


ぶーちゃんのひとこと

「赤いのは、ボクは遠くから見守るタイプです」

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