ジェノベーゼというと、バジル、松の実、にんにく、オリーブオイル。
イタリア・リグーリアからやってきた、緑の香りの王道ソースです。
ただ今回は、少しだけ台所の進路を変更します。
オリーブオイルではなく、太白ごま油。
松の実ではなく、くるみ。
塩だけではなく、透明醤油。
そして仕上げに、花椒。
バジルなのに、少し中華へ寄る。
でも、ちゃんとイタリアンにも戻ってこられる。
いわば、ジェノベーゼが軽くパスポートを持って、東アジア方面へ出張したソースです。
今日のひと皿
今回作ったのは、太白ごま油と花椒の和中ジェノベーゼです。
香りの主役はバジル。
コクはくるみ。
油は太白ごま油。
旨みは透明醤油。
最後に花椒の余韻。
一般的なジェノベーゼよりも、オリーブオイルの香りや重さが控えめで、魚介や青菜に合わせやすい仕上がりです。
今回はこのソースを使って、サーモンのカルパッチョと、カブ菜と干しエビのフェデリーニに仕上げました。
| 料理 | 合わせ方 |
|---|---|
| サーモンのカルパッチョ | チョバンサラダと一緒に、ソースとして少量ずつのせる |
| カブ菜と干しエビのフェデリーニ | パスタソースとして絡め、花椒風味に仕上げる |
どちらも、バジルの香りだけで終わらず、透明醤油と花椒のおかげで少し和中寄りになります。
サーモンには香りのアクセント。
パスタには旨みの土台。
これはかなり使いやすいソースです。
材料
| 材料 | 分量の目安 |
|---|---|
| バジルの葉 | 適量 |
| くるみ | 適量 |
| にんにく | 少量 |
| 太白ごま油 | バジルが回るくらい |
| 塩 | 少々 |
| 透明醤油 | 少々 |
| 花椒 | 少々 |
今回は松の実ではなく、くるみを使いました。
くるみは手に入りやすく、コクも出るので、家庭用のジェノベーゼにはかなり使いやすいです。
作り方
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1 | バジルの葉を洗い、水分をしっかりふき取る。 |
| 2 | くるみ、にんにく、太白ごま油を用意する。 |
| 3 | ミキサー、またはブレンダーにバジル、くるみ、にんにく、太白ごま油を入れる。 |
| 4 | なめらかになるまで回す。回しすぎると熱で香りが飛びやすいので、短めに回す。 |
| 5 | 塩、透明醤油、花椒を加えて味を整える。 |
| 6 | 清潔な容器に移し、表面に太白ごま油を少し張って保存する。 |
美味しく作るポイント
太白ごま油を使う
今回のポイントは、オリーブオイルではなく太白ごま油を使うことです。
太白ごま油は香りが穏やかなので、バジルの青い香りを邪魔しにくいです。
オリーブオイルの香りを前に出したい時はオリーブオイルでいいですが、今回は花椒や透明醤油も使うので、太白ごま油の方が全体がまとまりやすくなります。
バジルが主役。
太白ごま油は名脇役。
主役の横で無駄に目立たない。
こういう人、職場にもひとり欲しいです。
太白ごま油は、香りが強すぎないので、バジルや花椒の香りを活かしたいソース作りに使いやすい油です。
松の実ではなく、くるみで作る
松の実は美味しい。
でも、なかなか普段の台所に常備していないこともあります。
そこで今回は、くるみ。
くるみは香ばしさとコクがあり、太白ごま油とも相性がいいです。松の実より少し素朴で、味に丸みが出ます。
透明醤油や花椒と合わせると、イタリアンすぎない、少し東洋的なバジルソースになります。
透明醤油で旨みを足す
普通の醤油を入れると、ソースの色が少し濃くなり、バジルの緑が沈みやすくなります。
そこで今回は、透明醤油。
色は邪魔せず、旨みと塩味だけを足せるので、緑色のソースにとても使いやすいです。
バジルの色は残したい。
でも、旨みは欲しい。
そんなわがままな台所に、透明醤油は静かに現れます。
主張は控えめ。
仕事はきっちり。
透明なのに、存在感があります。
透明醤油は、色を濃くせずに塩味と旨みを足せるので、ジェノベーゼや白いソース、カルパッチョにも使いやすい調味料です。
花椒は最後に香らせる
花椒は入れすぎると、一気に中華の方向へ走ります。
もちろんそれも美味しいですが、今回はバジルの香りを残したいので、花椒は少量で十分です。
目指すのは、しびれではなく余韻。
食べたあとに、
「あれ、今ちょっと花椒いた?」
くらいが上品です。
花椒が前に出すぎると、会議で急に大声を出す人みたいになります。
今回はあくまで、最後に一言だけ良いことを言って帰るタイプで。
使い方① サーモンのカルパッチョに

このソースは、サーモンのカルパッチョによく合います。
サーモンの脂に、バジルの青い香り。
チョバンサラダのきゅうりやトマト、玉ねぎのさっぱり感。
そこに太白ごま油の丸みと、花椒の香り。
普通のカルパッチョよりも、少し中華寄り。
でも、白ワインにも合う。
仕上げは、ソースを全体にべったり塗るより、写真のように少量ずつ点々とのせるのがおすすめです。サーモンの色もきれいに見えます。
| 材料 | 使い方 |
|---|---|
| サーモン | 薄切りにして器に並べる |
| チョバンサラダ | 中央にのせる |
| 花椒ジェノベーゼ | 少量ずつ点々とのせる |
| 塩、胡椒、オイル | 仕上げに少々 |
使い方② カブ菜と干しエビのフェデリーニに

もうひとつの使い方は、パスタです。
今回は、カブ菜と干しエビのフェデリーニにしました。
カブ菜の青い香りと、干しエビの旨み。
そこに花椒ジェノベーゼを合わせると、かなり面白い味になります。
バジルの香りだけだとイタリアン。
干しエビが入ると中華。
透明醤油と花椒が入ると、着地点が一気にくんの台所になります。
パスタというより、イタリアンが中華鍋の前で少し考え込んだ味です。
カブ菜と干しエビのフェデリーニの材料
| 材料 | 分量の目安 |
|---|---|
| フェデリーニ | 1人分 |
| カブ菜 | 適量 |
| 干しエビ | 適量 |
| 花椒ジェノベーゼ | 大さじ1〜2 |
| パスタの茹で汁 | 適量 |
| 太白ごま油、またはオリーブオイル | 少々 |
| 塩、胡椒 | 少々 |
カブ菜と干しエビのフェデリーニの作り方
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1 | フェデリーニを表示時間より少し短めに茹でる。 |
| 2 | フライパンに太白ごま油を入れ、干しエビを軽く炒めて香りを出す。 |
| 3 | カブ菜を加えて、さっと炒める。 |
| 4 | パスタの茹で汁を少し加え、火を止める。 |
| 5 | 花椒ジェノベーゼを加え、茹でたフェデリーニを絡める。 |
| 6 | 塩、胡椒で味を整え、器に盛る。 |
ポイントは、ジェノベーゼを入れてから強火で煮詰めすぎないことです。
バジルの香りが飛びやすいので、最後に絡めるくらいがちょうどいいです。
既存の「くんのジェノベーゼ」との違い
くんの基本のジェノベーゼはこちらです。
▶︎ くんのジェノベーゼ
基本のジェノベーゼは、イタリアンの王道に近いソース。
今回の花椒ジェノベーゼは、そこから少し和中に寄せた応用編です。
| 項目 | くんの基本ジェノベーゼ | 今回の花椒ジェノベーゼ |
|---|---|---|
| 油 | オリーブオイル系 | 太白ごま油 |
| ナッツ | 松の実など | くるみ |
| 味付け | 塩、チーズなど | 塩、透明醤油 |
| 香り | バジル、にんにく | バジル、にんにく、花椒 |
| 合う料理 | パスタ、肉、魚 | 魚介、青菜、エビ、カルパッチョ |
基本のジェノベーゼが本店なら、今回の花椒ジェノベーゼは、少し攻めた支店です。
看板は緑。
でも、厨房の奥からほんのり花椒が香ります。
参考にした太白ごま油のジェノベーゼ
今回の発想のきっかけは、FOODIEで紹介されていた太白ごま油で作るジェノベーゼソースです。
一般的なジェノベーゼではオリーブオイルを使うことが多いですが、太白ごま油を使うことで、バジルの香りを邪魔しにくく、軽やかに仕上げやすくなります。
今回はその考え方をもとに、松の実をくるみに替え、さらに透明醤油と花椒を加えて、くんの台所らしい和中ジェノベーゼにしました。
参考:太白ごま油で作る、ジェノベーゼソースのレシピ|FOODIE
※参考記事のスクリーンショットは本文に貼らず、リンク紹介にするのがおすすめです。自分で撮った材料写真がある場合は、そちらを使うと安心です。
ソムリエのひとこと
この花椒ジェノベーゼには、白ワインがよく合います。
特におすすめは、ソーヴィニヨン・ブラン。
バジルやカブ菜の青い香りと、ワインのハーブ感がきれいに重なります。
サーモンのカルパッチョに合わせるなら、少し果実味のある白。
フェデリーニに合わせるなら、酸があって軽やかな白がおすすめです。
| ワイン | 合わせる理由 |
|---|---|
| ソーヴィニヨン・ブラン | バジルや青菜の香りに合う |
| ヴェルメンティーノ | 魚介とハーブ、オイルの香りに合う |
| アルバリーニョ | サーモンや干しエビの旨みに合う |
| グリューナー・ヴェルトリーナー | 花椒や胡椒のニュアンスに寄り添う |
花椒を効かせすぎた場合は、樽の強い白よりも、酸のある白が安心です。
しびれを受け止めるというより、香りを軽く流してくれるワインが合います。
この日のもう一皿
この日の食卓では、同じく魚介を使って、特大アジとズッキーニのソテーも作りました。
こちらは太白ごま油のジェノベーゼではなく、石渡商店のオイスターソースで仕上げた中華風ムニエルです。
緑の香りで攻めるジェノベーゼ。
牡蠣の旨みでまとめるオイスターソース。
どちらも魚に合うけれど、方向性はまったく違います。
▶︎ 特大アジとズッキーニのソテー|オイスターソースで作る中華風ムニエル
くんのひとこと
ジェノベーゼは、完成されたソースです。
だからこそ、少し触るのが楽しい。
オリーブオイルを太白ごま油に変える。
松の実をくるみに変える。
透明醤油を少し足す。
花椒を最後に香らせる。
すると、いつものバジルソースが、少し違う顔になります。
サーモンにのせれば、カルパッチョが香る。
カブ菜と干しエビのパスタに絡めれば、フェデリーニが中華方面に歩き出す。
ジェノベーゼなのに、白ごはんの気配すらある。
これは危険です。
イタリア人に見せる前に、まず自分で一皿食べて落ち着きましょう。

まとめ
太白ごま油で作る花椒ジェノベーゼは、通常のジェノベーゼとは少し違う、和中寄りの万能ソースです。
| ポイント | 理由 |
|---|---|
| 太白ごま油を使う | バジルの香りを邪魔しにくい |
| くるみを使う | コクが出て、家庭でも使いやすい |
| 透明醤油を加える | 色を邪魔せず、旨みを足せる |
| 花椒は少量 | しびれではなく、香りの余韻にする |
サーモンのカルパッチョにも、カブ菜と干しエビのフェデリーニにも使えます。
バジルの香りを残しながら、少し中華に寄せる。
そんなソースがあると、いつもの魚介料理やパスタが少し変わります。
ジェノベーゼは、まだまだ遊べる。
緑のソース、なかなか奥が深いです。
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まず王道のジェノベーゼを知りたい方は、こちらの基本レシピからどうぞ。
基本のジェノベーゼはこちら
バジル、ナッツ、オイルで作る、くんの基本の自家製ジェノベーゼです。

この日のもう一皿はこちら
同じ日の食卓では、特大アジとズッキーニをオイスターソースで仕上げた中華風ムニエルも作りました。

透明醤油を使った発酵調味料はこちら
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