カツオを買いました。
刺身で食べてもおいしい。
薬味をのせて、ポン酢で食べても間違いない。
しかし今回、くんの台所ではカツオを45℃で30分、低温調理してみました。
すると、刺身ともカツオのたたきとも少し違う、むっちり、ねっとりとした食感に。
生と加熱の間に、カツオがひっそり新しい住所を構えたような仕上がりです。
半分は、自家製豆板醤とコチュジャンを使ったカツオのユッケに。
もう半分は、表面を強火でサッと焼き、豆板醤と豆豉醤で作った甘辛カツオステーキにしました。
そして合わせたのは、ワインではなくバドワイザー。
ソムリエにも、ワインを一度控室へ戻す夜があります。
カツオを低温調理すると、どんな食感になる?
今回の設定は、45℃で30分。
高い温度で火を入れたカツオのように身が締まりすぎず、生の刺身よりも少し弾力が増します。
口に入れると、むっちり。
噛んでいくと、ねっとり。
カツオの赤身らしい濃い旨みは残しながら、舌触りが滑らかになる印象です。
この食感が、コチュジャンや豆板醤のような発酵調味料、卵黄、胡麻油、そして海苔によく合います。
ただし、45℃30分は完全に火を通す加熱ではありません。
低温調理するカツオについての注意
今回の料理は、加熱用のカツオを安全な状態まで加熱するレシピではなく、生食用として販売されているカツオの食感を変える調理です。
必ず「刺身用」「生食用」と表示された鮮度の良いカツオを使用し、調理器具や手を清潔に保ち、低温調理後はすぐに食べてください。
45℃30分では、アニサキス対策として十分な加熱にはなりません。生ものを控える必要がある方には提供しないようにしてください。
カツオの低温調理|基本の作り方




材料
- 刺身用カツオ……1柵・約300〜400g
- 耐熱性のある食品用袋……1枚
作り方
- カツオの表面に水分があれば、キッチンペーパーで丁寧に拭き取ります。
- カツオを耐熱性のある食品用袋へ入れ、できるだけ空気を抜いて密封します。
- 低温調理器を45℃に設定し、カツオを30分加熱します。
- 冷たい料理に使う分は、袋ごと氷水へ入れて速やかに冷やします。
- 袋から取り出し、表面の水分をしっかり拭き取ります。
水分をきちんと拭くことが大切です。
ユッケはタレが薄まりにくくなり、ステーキは表面に焼き色がつきやすくなります。
低温調理を安定させる道具
低温調理は火加減を見張り続けなくても、設定した温度を一定に保ってくれるのが便利です。
静かに働いて、料理だけきっちり仕上げる。台所における、理想的な中間管理職です。
低温調理カツオの海苔巻きユッケ

まずは、低温調理したカツオをユッケにします。
味の軸は、自家製豆板醤とコチュジャン。
そこへ、ニンニク、生姜、太白胡麻油、胡麻、ニラを加えました。
仕上げに卵黄をのせ、薄くスライスしたきゅうりの上へ盛り付けます。
見た目は少し上品です。
ところが海苔で巻いた瞬間、急にビールとの距離が縮まります。
材料|2人分
- 低温調理したカツオ……約150〜200g
- 自家製豆板醤……小さじ1/2〜1
- コチュジャン……小さじ1
- おろしニンニク……少々
- おろし生姜……小さじ1/2
- 太白胡麻油……小さじ2
- 白胡麻……小さじ1
- ニラ……2〜3本
- 卵黄……1個
- きゅうり……1/2本
- 焼き海苔……適量
自家製豆板醤は、塩分や辛さがそれぞれ違います。
最初から全量を入れず、少しずつ加えて味を調整してください。
作り方
- 低温調理したカツオを、食べやすい大きさに切ります。
- ニラを細かく刻みます。
- ボウルへ豆板醤、コチュジャン、ニンニク、生姜、太白胡麻油、白胡麻を入れて混ぜます。
- カツオとニラを加え、身を崩さないように優しく和えます。
- きゅうりをピーラーで薄くスライスし、器へ円を描くように盛り付けます。
- 中央へカツオのユッケを盛り、卵黄をのせます。
海苔で巻くと、カツオのねっとり感が生きる
このユッケは、そのまま食べてもおいしいのですが、ぜひ海苔で巻いて食べてください。
低温調理したカツオのねっとりした食感。
卵黄の濃厚なコク。
豆板醤とコチュジャンの発酵した辛み。
ニラ、胡麻、ニンニク、生姜の香り。
そこへ海苔の磯の香りが加わると、全体がひとつにまとまります。
これは海苔が脇役なのではありません。
最後に話をまとめる、かなり仕事のできる司会者です。
海苔巻きユッケに使いたい食材
海苔は香りの良い焼き海苔がおすすめ。太白胡麻油は胡麻特有の強い香りが控えめなので、カツオの風味を邪魔せず、タレを滑らかにまとめてくれます。
低温調理カツオの豆板醤&豆豉醤ステーキ

残り半分のカツオは、ステーキにしました。
すでに低温調理してあるので、フライパンでは中まで火を通そうとしません。
目的は、表面に香ばしさをつけることだけ。
強火でサッと焼き、自家製豆板醤、豆豉、ニンニク、鶏ガラスープで作った甘辛ソースを絡めます。
焼きすぎると、せっかくのしっとり感が一斉退社します。
ここは短時間でお願いします。
材料|2人分
- 低温調理したカツオ……約150〜200g
- 自家製豆板醤……小さじ1/2〜1
- 豆豉……小さじ1
- ニンニク……1片
- 鶏ガラスープの素……小さじ1/3
- 水……50〜60ml
- 炒め油……小さじ1
- 砂糖……ひとつまみ・お好みで
- 青海苔または刻みネギ……適量
自家製豆板醤に甘みがある場合、砂糖は入れなくても大丈夫です。
作り方
- 低温調理したカツオの水分を拭き、厚めに切ります。
- 豆豉とニンニクを細かく刻みます。
- フライパンを強火でしっかり熱し、少量の油を入れます。
- カツオを入れ、各面を数秒ずつサッと焼いて、一度取り出します。
- 火を少し弱め、ニンニクと豆豉を炒めます。
- 香りが立ったら豆板醤を加え、焦がさないように炒めます。
- 水と鶏ガラスープの素を加え、好みで砂糖をひとつまみ入れます。
- ソースを軽く煮詰め、カツオを戻して手早く絡めます。
- 器へ盛り、青海苔や刻みネギを散らします。
豆豉のコクが、カツオの赤身によく合う
カツオには、赤身魚らしい濃い旨みと、わずかに鉄を思わせる風味があります。
そこへ豆豉の深い発酵香を重ねると、魚料理なのに肉料理のような満足感が出ます。
豆板醤の辛みだけでは一直線になりやすいところを、豆豉のコクが横から支えてくれます。
鶏ガラスープを加えた甘辛ソースがカツオにまとわり、白いごはんにも、ビールにもよく合う味になりました。
中華料理に少量入れると味が決まりやすい豆豉
豆豉は、炒め物や麻婆豆腐、魚の蒸し物にも使えます。刻んでニンニクと炒めるだけで、家庭のフライパンに急に中華料理店の気配が現れます。
合わせたのは、よく冷やしたバドワイザー
今回、この2品にとてもよく合ったのがバドワイザーでした。
海苔巻きユッケは、卵黄、胡麻油、コチュジャン、豆板醤が重なり、味わいはかなり濃厚です。
その後にバドワイザーを飲むと、軽快な炭酸が口の中をすっきり整えてくれます。
すると、また海苔を一枚取りたくなります。
海苔を巻く。
食べる。
ビールを飲む。
この繰り返しは単純ですが、単純なものほど終了時刻が見えません。
豆板醤と豆豉の甘辛ステーキにも、バドワイザーの軽やかさがよく合います。
ソースの辛みと発酵のコクを受け止めながら、後味は重くしすぎない。
濃厚な料理に濃厚なお酒を重ねるのではなく、料理をビールの爽快感で軽くする組み合わせです。
ワインを合わせるならロゼや軽めの赤も考えられます。
ただし、この日はバドワイザー。
ソムリエとしての判断というより、ひと口飲んだ時点で会議は可決されました。
※お酒は20歳になってから。飲酒運転は絶対にやめましょう。
おいしく作るためのポイント
刺身用のカツオを使う
45℃30分は完全加熱ではありません。必ず生食用として販売されているカツオを使います。
低温調理後の水分を拭く
ユッケは味がぼやけにくくなり、ステーキは表面が香ばしく焼けます。
ステーキは強火で短時間
カツオの中心まで再加熱する必要はありません。表面に焼き色と香りを加えるだけにします。
豆板醤の量は味を見ながら
特に自家製豆板醤は、塩分や辛さ、甘みが仕込みごとに異なります。少量から加えて調整してください。
ユッケは海苔を忘れない
今回の料理において、海苔は飾りではありません。
忘れると、出演者をひとり楽屋に置いてきたような状態になります。
まとめ|カツオは刺身とたたきだけではなかった
カツオを45℃で30分低温調理すると、刺身とは違う、むっちり、ねっとりとした食感になりました。
その食感を生かしたのが、自家製豆板醤とコチュジャンで作る海苔巻きユッケ。
表面を強火で焼き、豆板醤と豆豉醤の甘辛ソースを絡めたステーキは、カツオの赤身の旨みをしっかり味わえる一皿です。
そして、どちらにもよく合ったのが、よく冷やしたバドワイザー。
刺身で食べる予定だったカツオが、ユッケになり、ステーキになり、ビールまで連れてきました。
魚の柵ひとつで、食卓は意外と遠くまで行けます。
刺身やたたきとは少し違うカツオ料理を作りたい日に、ぜひ試してみてください。
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