スーパーで見つけた、煮付け用の真鯛の魚卵。
普通なら、甘辛く煮る。
生姜を入れて、白ごはんにのせる。
それはもう、王道です。
でも今回は、あえて西京味噌に漬けました。
減塩味噌と麦味噌、甜菜糖、紹興酒で作る、くんの定番西京味噌床。
そこに真鯛の魚卵をそっと寝かせ、エペイオス・ノンフライオーブンで焼く。
焼きたては、ホクホク、ほろほろ。
この時点で、すでに白ごはん泥棒です。
ところが今回は、ここで終わりません。
焼いたあとに、エペイオスの乾燥機能で50℃・1時間。
さらに冷蔵庫でしっかり冷やして、チーズグレーターで削る。
すると、ふわっと削れる、まるでカラスミのような珍味に。
本物のカラスミほど塩気やクセは強くありません。
でも、魚卵のコク、味噌の甘み、紹興酒の香りがふわっと広がる。
これは、真鯛魚卵の西京カラスミ風。
煮付け用として売られていた魚卵が、まさかの珍味部門へ異動しました。
鮮魚売り場も、たぶん少し驚いています。
「煮付けって書いたんですけど……」と、小声で言っている気がします。

今日作るもの
- 真鯛魚卵の西京焼き
- 真鯛魚卵の西京カラスミ風
- 削って使える西京魚卵フレーク
- 薄切りで食べる西京カラスミ風スライス
煮付け用の魚卵が、カラスミ方向へ歩き出した日
スーパーの鮮魚売り場には、ときどき「これは呼ばれたな」という食材があります。
今回見つけたのは、真鯛の魚卵。
しかも、煮付け用。
ラベルには、堂々と「煮付け」。
ええ、わかります。
甘辛く煮る。
生姜を入れる。
白ごはんにのせる。
それは魚卵にとって、かなり正しい未来です。
ただ、ボクの頭の中では、別の会議が始まっていました。
「これ、西京味噌に漬けたらどうなるんだろう」
こうなると、もう止まりません。
煮付け課に配属予定だった真鯛の魚卵が、突然、西京焼き課へ異動です。
人事発令、やや強引です。
使うのは、くんの定番の西京味噌床。
減塩味噌と麦味噌。
甜菜糖のやさしい甘み。
そこに紹興酒を入れる。
この紹興酒が、いい仕事をします。
ただ甘いだけの味噌漬けではなく、香りに奥行きが出る。
魚卵の濃厚さに、ふわっと大人の丸みが出る。
魚卵はやわらかいので、ガーゼで挟んで漬けます。
味噌の中に直接沈めるのではなく、やさしく包む。
いわば、魚卵に味噌の布団をかける感じです。
そしてエペイオス・ノンフライオーブンで焼く。
200℃で10分ほど。
ここまでは、真鯛魚卵の西京焼き。
焼きたては、ホクホク、ほろほろ。
味噌の甘み、紹興酒の香り、魚卵の旨み。
これはこれで、白ごはんにとても合います。
茶碗が、静かに前へ出てきます。
ただ、今回はそこで終わりませんでした。
焼いた魚卵を、さらにエペイオスの乾燥機能で50℃・1時間。
低温でじっくり乾燥させると、表面がきゅっと締まり、色も少し深くなる。
そして冷蔵庫で冷やす。
冷やして締めた魚卵を、チーズグレーターで削る。
すると、ふわっとした魚卵フレークが出てくる。
見た目は、かなりカラスミ。
でも、本物のカラスミほど塩気は強くない。
味噌と紹興酒の甘みがあって、やさしい。
これは、真鯛魚卵の西京カラスミ風。
煮付け用として売られていた魚卵が、まさかここまで来るとは。
料理というのは、ときどき予定表を無視します。
今回の真鯛魚卵は、完全に無視しました。
そして、かなりいい方向に進みました。
真鯛魚卵の西京カラスミ風とは?
真鯛の魚卵を西京味噌床に漬け、エペイオスで焼いたあと、低温乾燥して冷やし、削ったり薄く切ったりして楽しむ珍味風の料理です。
本物のカラスミは、魚卵を塩漬けして脱水し、時間をかけて乾燥・熟成させるもの。
今回の西京カラスミ風は、そこまで本格的な長期熟成ではありません。
あくまで、家庭で作る“カラスミ風”です。
でも、方向性はかなり近いです。
- 魚卵のコク
- 低温乾燥による旨みの凝縮
- 西京味噌の甘み
- 紹興酒の香り
- 焼いた香ばしさ
この組み合わせで、カラスミのような珍味感が出ます。
しかも、本物のカラスミより塩気がやさしく、食べやすい。
白ごはんにも、豆腐にも、とろろにも、長芋にも、パスタにも合わせやすい。
ここが、今回の大きな発見でした。
本物のカラスミとの違い
本物のカラスミは、魚卵を塩漬けして、水分を抜き、時間をかけて乾燥・熟成させる珍味です。
味は濃厚で、塩気も強く、熟成香があります。
少量でお酒が進む、いわゆる大人の珍味です。
一方、今回の西京カラスミ風は、長期熟成ではありません。
- 西京味噌床に漬ける
- 焼く
- 低温で乾燥させる
- 冷やして削る
この流れで作る、家庭向けのカラスミ風。
本物のカラスミほど塩気やクセは強くありません。
その代わり、味噌の甘みと紹興酒の香りがあり、かなり食べやすいです。
薄く切ると珍味感があり、削るとふわっとした魚卵フレークになります。
言うならば、
もはやカラスミ。
でも、朝ごはんにもいけるカラスミ風。
この立ち位置が、とてもいいのです。
今回のポイント
煮付け用の真鯛の魚卵を使う
スーパーで売っている「煮付け用」の真鯛の魚卵で作れます。
煮付け用と書いてあると、つい甘辛く煮たくなります。
もちろん、それも正解です。
でも、西京味噌に漬けて焼き、さらに乾燥させると、まったく違う楽しみ方ができます。
いわば、煮付け用魚卵の別ルート。
進学先がひとつではないタイプです。
味噌床に紹興酒を使う
今回の味噌床は、減塩味噌、麦味噌、甜菜糖、紹興酒、白胡椒。
紹興酒を入れることで、甘みだけではなく香りとコクが出ます。
魚卵の濃厚さと相性がよく、カラスミ風にしたときにも余韻が残ります。
日本酒やみりんとは違う、少し中華寄りのふくよかな香り。
ここが、くんの西京味噌床らしいところです。
ガーゼで挟んで漬ける
魚卵はやわらかいので、味噌床に直接埋めると、取り出すときに崩れやすくなります。
ガーゼを使うと、取り出しやすく、味噌も落としやすい。
さらに、味が入りすぎるのも防ぎやすいです。
魚卵には、やさしさが必要です。
強引にいくと崩れます。
人間関係とだいたい同じです。
焼いたあとに50℃で乾燥させる
今回の最大のポイントです。
焼くだけでもおいしい。
でも、カラスミ風にするなら、焼いたあとに50℃で1時間乾燥させます。
低温で水分を抜くことで、表面が締まり、旨みが少し凝縮します。
さらに、冷やすと削りやすくなります。
焼き魚から、珍味へ。
ここで魚卵が一歩、別の世界へ進みます。
冷やしてから削る
乾燥後、冷蔵庫でしっかり冷やすと、チーズグレーターで削りやすくなります。
常温だとやわらかく、削るというより崩れやすい。
冷やして締めることで、ふわっと細かい魚卵フレークになります。
この「乾燥して、冷やして、削る」が大事です。
焦らずにいきます。
珍味には、珍味の段取りがあります。
材料
真鯛魚卵の西京カラスミ風
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 真鯛の魚卵 | 1パック |
| くんの西京漬け用味噌 | 適量 |
| ガーゼ | 適量 |
くんの西京漬け用味噌
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 減塩味噌 | 70g |
| 麦味噌 | 30g |
| 紹興酒 | 大さじ1.5 |
| 甜菜糖 | 小さじ1.5 |
| 白胡椒 | ひとつまみ |
※味噌床は、魚卵の量に合わせて増減してください。
※魚卵全体をやさしく包める量があれば大丈夫です。
くんの西京漬け用味噌について詳しくはこちら。
作り方
1. 西京漬け用の味噌を作る
ボウルに、減塩味噌、麦味噌、紹興酒、甜菜糖、白胡椒を入れてよく混ぜます。
味噌がかたい場合は、紹興酒で少しのばします。
ただし、ゆるくしすぎると魚卵にまとわりすぎるので、少しもったりするくらいがちょうどいいです。
2. 真鯛の魚卵をガーゼで挟む
容器に味噌を薄く敷きます。
その上にガーゼを置き、真鯛の魚卵を並べます。
さらに上からガーゼをかぶせ、味噌をのせます。
魚卵を直接味噌の中に沈めるより、ガーゼを使う方が取り出しやすいです。
ここで魚卵が、静かに味噌の布団に入ります。
煮付け用として売られていたとは思えない、落ち着いた寝姿です。

3. 冷蔵庫で半日〜1日漬ける
冷蔵庫で半日〜1日漬けます。
魚卵は魚の切り身より味が入りやすいので、最初は短めがおすすめです。
長く漬けすぎると、味噌の味が強くなりすぎることがあります。
まずは半日〜1日。
気に入ったら、次回から好みで調整するのがいいです。
4. 味噌をやさしく落とす
漬け終わったら、ガーゼごと取り出します。
魚卵の表面についた味噌を、やさしくぬぐいます。
無理にこすると崩れやすいので、そっと。
味噌は焦げやすいので、表面にべったり残さないのがポイントです。
味噌を落とすのは、味をなくすためではありません。
焦げを防ぐためです。
味はもう魚卵に入っています。
安心してぬぐって大丈夫です。
5. エペイオスで焼く
エペイオス・ノンフライオーブンの網に、魚卵を並べます。
200℃で10分ほど。
魚卵の大きさによって火入りが変わるので、8分あたりで焼き色を確認します。
表面が香ばしくなり、全体にふっくら火が入ればOKです。
焦げそうな場合は、途中で温度を少し下げるか、早めに取り出してください。
焼きたては、ホクホク、ほろほろ。
このまま白ごはんにのせても、とてもおいしいです。
焦げにくい西京焼きの焼き方についてはこちらにもまとめています。

6. 50℃で1時間乾燥させる
焼き上がった魚卵を、エペイオスの乾燥機能で乾燥させます。
50℃で1時間。
この工程で、表面の水分が抜け、旨みが少し凝縮します。
冷やしたあとに削りやすくなるので、カラスミ風にしたい場合は大事な工程です。
ここで魚卵が、焼き魚から珍味へ一歩踏み出します。
履歴書の特技欄に「削れます」と書ける段階です。

7. 冷蔵庫でしっかり冷やす
乾燥後は粗熱を取り、清潔な保存容器に入れて冷蔵庫で冷やします。
冷やすことで身が締まり、チーズグレーターで削りやすくなります。
すぐ削るより、しっかり冷やした方が扱いやすいです。
8. チーズグレーターで削る
冷やした真鯛の魚卵を、チーズグレーターで削ります。
ふわっと軽い魚卵フレークになります。
見た目は、カラスミパウダーのよう。
でも味はカラスミよりやさしく、食べやすい。
西京味噌の甘み。
紹興酒の香り。
魚卵のコク。
そこに、焼いた香ばしさが重なります。
これで、真鯛魚卵の西京カラスミ風の完成です。

9. 薄くスライスしてもおいしい
乾燥して冷やした西京カラスミ風は、削るだけでなく、薄くスライスしてそのまま食べてもおいしいです。
見た目も食感も、かなりカラスミに近い。
でも、本物のカラスミほど塩気は強くありません。
味噌と紹興酒の甘みがあるので、朝ごはんにも合わせやすいです。
これは、かなりいい発見でした。
焼きたての味わい
焼きたては、ホクホク、ほろほろ。
魚卵特有のねっとり感もありつつ、焼くことで軽さが出ます。
煮付けのようなしっとりした濃さとは違い、口の中でほどける感じがあります。
味噌の甘み。
紹興酒の香り。
魚卵の旨み。
この3つが重なると、白ごはんにものすごく合います。
ひと口食べて、ごはん。
もうひと口食べて、ごはん。
確認のためにもうひと口食べて、やっぱりごはん。
これは、白ごはん泥棒です。
しかも、かなり礼儀正しい泥棒。
玄関で靴をそろえてから、ごはんだけ持っていくタイプです。
乾燥後の味わい
50℃で1時間乾燥させると、焼きたてとはまた違う表情になります。
表面が締まり、色が少し深くなる。
冷やすとさらに身が締まり、削りやすくなります。
チーズグレーターで削ると、ふわっとした魚卵フレークに。
味は、本物のカラスミよりやさしいです。
カラスミのような強い塩気や熟成香は控えめ。
その代わり、西京味噌の甘み、紹興酒の香り、魚卵のコクが広がります。
- ごはんにかける
- 豆腐にのせる
- とろろにふる
- 長芋に合わせる
- パスタに削る
いろいろ使える、やさしい珍味です。

おいしく作るコツ
漬け時間は長すぎない
魚卵は味が入りやすいので、まずは半日〜1日がおすすめです。
2日以上漬けると、味噌の塩気や甘みが強く出すぎることがあります。
味噌は焼く前に落とす
味噌が残りすぎていると焦げます。
特にエペイオスやオーブンで焼く場合、表面の糖分が先に焦げやすいので、味噌はやさしくぬぐってから焼きます。
焼きすぎない
魚卵は火を入れすぎると、パサつきやすいです。
ホクホクほろほろを狙うなら、焼きすぎないこと。
今回の目安は200℃10分ですが、魚卵の大きさによって調整してください。
乾燥は低温でじっくり
削って使うなら、焼いたあとに50℃で1時間乾燥させるのがおすすめです。
高温で乾燥させると、表面が硬くなりすぎたり、焦げっぽくなる可能性があります。
低温でじっくり。
魚卵に急かさない。
珍味にも準備時間があります。
削る前に冷やす
乾燥後、冷蔵庫で冷やすと削りやすくなります。
常温のままだとやわらかく、削るというより崩れる感じになりやすいです。
冷やして締める。
それから削る。
ここが、ふわっと仕上げるポイントです。
エペイオスで作る理由
西京焼きは、味噌が焦げやすい料理です。
魚焼きグリルでも焼けますが、火が近いと表面だけ焦げて、中の火入りが追いつかないことがあります。
エペイオス・ノンフライオーブンなら、熱風で全体に火が入りやすく、直火ではないので焦げ方もコントロールしやすいです。
今回の真鯛魚卵も、200℃10分ほどで表面は香ばしく、中はホクホクほろほろに仕上がりました。
さらに、乾燥機能で50℃1時間。
焼くだけでなく、珍味化までできるのが便利です。
西京焼きとエペイオス。
これは、かなり相性がいいです。
エペイオスを使った料理はこちらにもまとめています。
チーズグレーターで削る理由
冷やして締めた真鯛魚卵の西京焼きは、チーズグレーターで削るとふわっと仕上がります。
マイクロプレインのような細かい刃のおろし器を使うと、カラスミパウダーのように細かく削れるだけでなく、空気を含んだ軽い魚卵フレークになります。
この削れ方が、ごはんにも、豆腐にも、長芋にも、パスタにも合います。
パウダーというより、ふわふわの西京魚卵フレーク。
味が重たくなりすぎず、素材にやさしくのります。
チーズ、柚子皮、にんにく、生姜にも使えるので、料理の仕上げ用に1本あると便利です。
保存について
乾燥させたとはいえ、本物のカラスミのように長期熟成・長期乾燥させたものではありません。
保存は短めにします。
冷蔵なら、清潔な保存容器に入れて1〜2日以内が目安です。
削ったものは表面積が増えて傷みやすいので、食べる直前に削るのがおすすめです。
長く置きたい場合は、小分けして冷凍。
使う分だけ出して、半解凍くらいで削ると扱いやすいです。
西京カラスミ風の食べ方
作った西京カラスミ風は、いろいろな料理に使えます。
- 白ごはんにかける
- 豆腐にのせる
- とろろにふる
- 長芋スライスに削る
- 長芋ステーキにかける
- パスタにたっぷり削る
- 薄くスライスしてそのまま食べる
詳しい食べ方は、別記事でまとめます。
西京カラスミ風の食べ方|ごはん・豆腐・とろろ・長芋に合う活用レシピ
パスタ活用はこちら。
西京カラスミ風パスタ
ぶーちゃんのひとこと
ぶーちゃん
「白ごはんが減る音、聞こえました」
ボク
「それは気のせいです」
ぶーちゃん
「いや、炊飯器が緊張してます」
ボク
「西京カラスミ風、なかなかの圧です」
ぶーちゃん
「魚卵、削られてました」
ボク
「チーズグレーターでふわっとね」
ぶーちゃん
「煮付け用だったのに、出世しましたね」
ボク
「煮付け課から珍味部長へ昇進です」
まとめ
煮付け用の真鯛の魚卵を、西京味噌に漬けて焼き、さらに乾燥させて西京カラスミ風にしてみました。
使ったのは、くんの定番の西京味噌床。
減塩味噌、麦味噌、甜菜糖、紹興酒、白胡椒。
この味噌床に真鯛の魚卵をガーゼで挟んで、半日〜1日漬けます。
焼く前に味噌をやさしく落とし、エペイオスで200℃10分ほど。
焼きたては、ホクホク、ほろほろ。
このまま白ごはんにのせてもおいしいです。
さらに、焼いたあとに50℃で1時間乾燥。
冷蔵庫でしっかり冷やしてから、チーズグレーターで削る。
すると、カラスミよりも食べやすい、甘みとコクのある西京カラスミ風になります。
本物のカラスミほど塩気は強くありません。
でも、魚卵の旨み、味噌の甘み、紹興酒の香りがあり、しっかり珍味感があります。
削ってもいい。
薄く切ってもいい。
ごはんにも、豆腐にも、とろろにも、長芋にも、パスタにも合う。
煮付けももちろんおいしい。
でも、西京味噌に漬けて、焼いて、乾燥させて、削ると、まったく別の楽しみ方ができます。
スーパーで真鯛の魚卵を見つけたら、ぜひ一度試してみてください。
白ごはんの準備だけは、少し多めに。

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