そうしてできた、真鯛魚卵の西京カラスミ風。
作ったはいいけれど、問題はここです。
どう食べるのか。
白ごはんにかける。
豆腐にのせる。
とろろにふる。
長芋に合わせる。
薄くスライスしてそのまま食べる。
これが、思った以上にどれも合いました。
本物のカラスミほど塩気が強くなく、西京味噌と紹興酒の甘み、魚卵のコクがある。
だから、酒肴だけでなく、朝ごはんにも使いやすい。
いわば、カラスミよりやさしい、白ごはん寄りの珍味。
珍味なのに、台所の敷居をまたいでくる感じがあります。
靴をそろえて、静かに冷蔵庫から出てきます。
今日の献立
- 西京カラスミ風ごはん
- とうふ西京カラスミ
- とろろ西京カラスミ
- 長芋スライスの西京カラスミ風がけ
- 長芋ステーキの西京カラスミ風がけ
- 西京カラスミ風スライス
作った珍味を、冷蔵庫で眠らせないために
自家製の珍味というものは、作った瞬間がいちばん楽しい。
「できた」
「すごい」
「これはカラスミでは?」
「いや、カラスミ風です」
このあたりまでは、台所のテンションも高い。
ただ、問題はそのあとです。
冷蔵庫に入れて、満足してしまう。
保存容器の中で、静かに存在感だけを放ち続ける。
そして数日後、少し申し訳ない気持ちでフタを開ける。
それでは、もったいない。
今回作った真鯛魚卵の西京カラスミ風は、削るだけで一皿になる力があります。
白ごはんにふわっと。
豆腐にふわっと。
とろろにふわっと。
長芋にふわっと。
この「ふわっと」が大事です。
ふわっとしているのに、ちゃんと旨い。
軽い顔をして、なかなか仕事をする。
会社にひとりはいてほしいタイプです。
西京味噌と紹興酒の甘みがあるので、本物のカラスミよりも塩気がやさしい。
だから、強い珍味というより、日常のごはんに寄り添う珍味です。
一番驚いたのは、朝にも合うこと。
薄くスライスして食べても、削ってごはんにのせても、しょっぱすぎない。
これがいい。
カラスミは、少し背筋が伸びる珍味です。
日本酒を用意して、薄く切って、静かにいただく。
一方、この西京カラスミ風は、もう少し近い。
白ごはんの横にいても違和感がない。
豆腐の上でも落ち着いている。
とろろにのっても、妙に自然。
珍味なのに、親戚の家に来たような顔をしています。
そして長芋。
これがまた、よく合いました。
冷たい長芋スライスに削れば、みずみずしい小鉢。
焼いた長芋ステーキに削れば、香ばしい温菜。
長芋、受け止め力がすごい。
台所界の聞き上手です。
相手が西京カラスミ風でも、動じません。
というわけで今回は、真鯛魚卵の西京カラスミ風を作ったあと、どう食べるとおいしいかをまとめます。
作り方は別の記事へ。
この記事は、食べ方です。
珍味を冷蔵庫で眠らせないための、いわば活用編です。
西京カラスミ風とは?
西京カラスミ風は、真鯛の魚卵を西京味噌床に漬け、焼いてから低温乾燥し、冷やして削る自家製珍味です。
本物のカラスミのように、長期の塩漬け・乾燥・熟成をするわけではありません。
でも、乾燥させて冷やすことで魚卵が締まり、削るとカラスミパウダーのように使えます。
味は、本物のカラスミよりやさしいです。
- 塩気は控えめ
- 西京味噌の甘み
- 紹興酒の香り
- 魚卵のコク
- 焼いた香ばしさ
これが重なって、ごはんにも、豆腐にも、とろろにも、長芋にも合わせやすい珍味になります。
まず作り方を知りたい方はこちら。
真鯛魚卵の西京カラスミ風の作り方|煮付け用魚卵で作る乾燥珍味レシピ
西京カラスミ風の食べ方の基本
基本は、最後に削ることです。
火を入れすぎると香りが飛びやすいので、ごはん、豆腐、とろろ、長芋に仕上げとしてふわっと削るのがおすすめです。
使う道具は、チーズグレーターやマイクロプレイン系のおろし器。
粉のように細かく、でも少しふんわり。
空気を含んだ魚卵フレークになります。
削る量は、最初は少なめで大丈夫。
ただし、一度食べると増えます。
だいたい増えます。
人間の欲というものは、魚卵の前では正直です。
1. 西京カラスミ風ごはん

まずは、白ごはんです。
これは外せません。
炊きたてごはんに、真鯛魚卵の西京カラスミ風をふわっと削る。
それだけです。
でも、これがかなりおいしい。
白ごはんの湯気に、削った魚卵の香りがふわっと立ちます。
味噌の甘み。
紹興酒のコク。
魚卵の旨み。
ふりかけというには贅沢。
カラスミごはんというには、少しやさしい。
これは、西京魚卵ふりかけごはん。
ごはんにかけた瞬間、茶碗の中で静かな事件が起きます。
派手な音はしません。
でも、気づくとごはんがなくなっています。
白ごはん、現場から以上です。
材料
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 炊きたてごはん | 1膳 |
| 西京カラスミ風 | 適量 |
| 刻み海苔 | お好みで少量 |
| 透明醤油 | お好みで1〜2滴 |
作り方
- 炊きたてのごはんを茶碗によそう。
- 西京カラスミ風をチーズグレーターでふわっと削る。
- お好みで刻み海苔を添える。
- 味が足りなければ、透明醤油を1〜2滴だけ。
普通の醤油でもいいですが、かけすぎると西京味噌と紹興酒の甘みが隠れます。
まずはそのままがおすすめです。
2. とろろ西京カラスミ

次は、とろろ。
これもかなり良かったです。
そこに、西京カラスミ風をふわっと削る。
とろろのやさしい口当たり。
梅酢麹のほのかな酸味。
出汁粉の旨み。
そこに西京味噌の甘みと、魚卵のコク。
珍味なのに、朝ごはんにいけます。
ここが大きい。
本物のカラスミほど塩気が強くないので、とろろのやさしさを壊しません。
朝の台所に珍味が現れると、少し緊張感があります。
でもこれは大丈夫。
やさしい顔で、ごはんを進めてきます。
材料
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 長芋、または大和芋 | 適量 |
| 梅酢麹 | 少量 |
| 出汁粉 | 少量 |
| 西京カラスミ風 | 適量 |
作り方
- 長芋、または大和芋をすりおろす。
- 梅酢麹と出汁粉で軽く味をつける。
- 器に盛る。
- 西京カラスミ風をふわっと削る。
味付けは控えめで大丈夫です。
西京カラスミ風に甘みとコクがあるので、とろろ側はやさしく整えるくらいがちょうどいいです。
3. とうふ西京カラスミ

西京カラスミ風は、冷たい豆腐にもよく合います。
豆腐にふわっと削り、透明醤油を少しだけ。
さらに大葉を添えると、見た目も味もすっきりまとまります。
普通の醤油だと色がついて、いつもの冷奴に寄ります。
でも透明醤油なら、豆腐の白さをそのまま生かしながら、旨みだけを足せる。
この「色がつかない」というのが大事です。
白い豆腐。
淡い西京カラスミ風。
青い大葉。
かなりきれいです。
冷奴が少しだけ、よそ行きの顔をします。
豆腐界の小さな正装です。
材料
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 豆腐 | 適量 |
| 西京カラスミ風 | 適量 |
| 透明醤油 | 少量 |
| 大葉 | 適量 |
作り方
- 豆腐の水気を軽く切る。
- 器に盛る。
- 西京カラスミ風をふわっと削る。
- 大葉をのせる。
- 透明醤油を少しだけかける。
透明醤油は、かけすぎないのがポイント。
豆腐と西京カラスミ風の淡い雰囲気を残します。
4. 長芋スライスの西京カラスミ風がけ

長芋スライスも、とても合います。
長芋を細切りにして、上から西京カラスミ風をふわっと削る。
これだけで、小鉢になります。
長芋のシャキシャキした食感。
みずみずしさ。
そこに、魚卵のコクと西京味噌の甘み。
醤油はなくても大丈夫です。
むしろ、まずはそのままがおすすめ。
味が足りないときだけ、透明醤油を1〜2滴。
長芋が急に、料亭の小鉢みたいな顔をします。
さっきまで台所でスライスされていたとは思えません。
出世が早い。
材料
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 長芋 | 適量 |
| 西京カラスミ風 | 適量 |
| 透明醤油 | お好みで1〜2滴 |
| 大葉、刻み海苔 | お好みで少量 |
作り方
- 長芋は皮をむき、細切りにする。
- 器に盛る。
- 西京カラスミ風をふわっと削る。
- お好みで透明醤油、大葉、刻み海苔を添える。
長芋の水分が、西京カラスミ風のコクをやさしく受け止めます。
5. 長芋ステーキの西京カラスミ風がけ

冷たい長芋スライスに合うなら、焼いた長芋はどうか。
やってみたら、これもかなり良かったです。
長芋を焼くと、表面は香ばしく、中はほくっと、少しねっとり。
そこに、西京カラスミ風をふわっと削る。
焼いた長芋の香ばしさ。
西京味噌と紹興酒の甘み。
魚卵のコク。
冷たい長芋スライスは、みずみずしい小鉢。
温かい長芋ステーキは、ぐっとおかず感と酒肴感が出ます。
長芋、受け止め力がすごい。
えらい。
台所界の聞き上手です。
材料
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 長芋 | 適量 |
| 太白胡麻油、または米油 | 少量 |
| 塩 | ほんの少し |
| 西京カラスミ風 | 適量 |
作り方
- 長芋は皮をむき、1〜1.5cm厚さの輪切りにする。
- フライパンに油を少量ひき、長芋を並べる。
- 両面にこんがり焼き色がつくまで焼く。
- 塩をほんの少しふる。
- 器に盛り、西京カラスミ風をふわっと削る。
醤油は基本なしで大丈夫です。
足すなら、透明醤油を1〜2滴くらい。
6. 西京カラスミ風スライス

乾燥させて冷やした西京カラスミ風は、削るだけではありません。
薄くスライスして、そのまま食べてもおいしいです。
見た目も食感も、かなりカラスミに近い。
でも、本物のカラスミほど塩気は強くありません。
味噌と紹興酒の甘みがあるので、朝ごはんにも合わせやすい。
つまり、
もはやカラスミ。
でも、朝ごはんにもいけるカラスミ風。
この立ち位置が、とてもいいです。
背伸びしすぎない珍味。
でも、ちゃんと特別感はある。
こういう料理は、冷蔵庫にあると少しうれしいです。
食べ方
- 薄くスライスしてそのまま
- 白ごはんに添える
- 大根おろしに合わせる
- 日本酒のつまみにする
- お茶漬けの具にする
スライスする場合は、しっかり冷やしてから薄く切ると扱いやすいです。
パスタにも合います
西京カラスミ風は、パスタにもよく合います。
- 大葉とトマトの西京カラスミ風パスタ
- きゅうり古漬けと大葉の発酵バター西京カラスミ風パスタ
- ケールと西京カラスミ風のカルボナーラ
大葉とトマトの西京カラスミ風パスタ|軽やかな初夏の和イタリアン
1品目は、大葉とトマトの西京カラスミ風パスタ。
オイルベースのパスタに、刻んだトマトと大葉を合わせ、仕上げに真鯛魚卵の西京カラスミ風をたっぷり削りました。
トマトの酸味、大葉の青い香り、オイルパスタの軽さ。そこに、西京味噌と紹興酒の甘みをまとった魚卵のコクがふわっと重なります。
本物のカラスミパスタほど塩気は強くありません。だからこそ、トマトや大葉の香りを邪魔せず、やさしく旨みを足してくれます。
青い器に盛ると、淡いパスタにトマトの赤、大葉の緑、西京カラスミ風の淡い黄色が映えて、見た目にも楽しい一皿になります。
カラスミパスタというより、くんのごはんらしい“西京カラスミ風の和イタリアン”。軽いのに、ちゃんと記憶に残るパスタです。

パスタに使うと、カラスミパスタより塩気がやさしく、味噌と紹興酒の甘みがある和イタリアンになります。
材料 1人分
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| パスタ | 80〜100g |
| トマト | 小1個、または適量 |
| 大葉 | 3〜5枚 |
| にんにく | 少量 |
| オリーブオイル | 大さじ1 |
| パスタのゆで汁 | 適量 |
| 西京カラスミ風 | たっぷり |
| 塩 | 適量 |
作り方
- トマトは小さめに切り、大葉は細切りにする。
- パスタをゆでる。
- フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ、弱火で香りを出す。
- ゆで上がったパスタ、ゆで汁を加えてなじませる。
- トマトを加えて軽く合わせる。
- 火を止めて大葉を加える。
- 器に盛り、西京カラスミ風をたっぷり削る。
合わせたい飲み物
日本酒
まず間違いないのは日本酒です。
味噌の甘みと魚卵の旨みには、やわらかい純米酒が合います。
冷酒よりも、常温〜ぬる燗もおすすめです。
特にスライスで食べるなら、日本酒がかなり寄ってきます。
向こうから来ます。
白ワイン
白ワインなら、甲州、ミュスカデ、樽が強すぎないシャルドネ。
味噌の甘みがあるので、酸が鋭すぎるワインより、少し丸みのある白が合います。
豆腐や長芋に合わせるなら、甲州がかなり自然。
魚卵の旨みと、和の食材の間をうまくつないでくれます。
お茶
朝ごはんで食べるなら、温かいお茶もいいです。
ごはん、とろろ、西京カラスミ風。
そこに温かいお茶。
派手ではありません。
でも、かなり強い朝です。
ソムリエのひとこと
西京カラスミ風は、本物のカラスミほど塩気が強くありません。
その代わり、西京味噌の甘み、紹興酒の香り、魚卵のコクがあります。
ワインで合わせるなら、強い樽香や重たい赤よりも、旨みを受け止める白が向いています。
おすすめは甲州。
特に、少し熟成感のある甲州なら、味噌の甘みと魚卵の旨みに寄り添いやすいです。
豆腐や長芋のようなやさしい素材には、ワインも強く当てすぎない方がいい。
料理の静かなところに、静かなワインを合わせる。
ただし、白ごはんに削った場合は、ワインを語る前に茶碗が空になる可能性があります。
ソムリエとしては、少し忙しい展開です。
西京味噌床記事へ
くんの定番・紹興酒入り西京味噌床の作り方はこちら



ぶーちゃんのひとこと
ぶーちゃん
「白ごはんが減る音、聞こえました」
ボク
「それは気のせいです」
ぶーちゃん
「いや、とろろも緊張してました」
ボク
「とろろにも合ったね」
ぶーちゃん
「豆腐がよそ行きの顔をしていました」
ボク
「透明醤油のおかげです」
ぶーちゃん
「長芋は聞き上手ですね」
ボク
「何をのせても受け止めるね」
ぶーちゃん
「西京カラスミ風、出世しましたね」
ボク
「煮付け課から活用部長へ昇進です」
まとめ
真鯛魚卵の西京カラスミ風は、作って終わりではありません。
むしろ、ここからが楽しいです。
白ごはんに削れば、やさしいカラスミごはん。
とろろにふれば、朝ごはんにも合う一品。
豆腐にのせれば、透明醤油で上品な冷奴。
長芋スライスにかければ、みずみずしい小鉢。
長芋ステーキにかければ、香ばしい温菜。
薄くスライスすれば、もはやカラスミのような珍味感。
本物のカラスミほど塩気が強くないので、日常のごはんに使いやすいのが魅力です。
西京味噌の甘み。
紹興酒の香り。
魚卵のコク。
この3つがあるから、ごはんにも、豆腐にも、とろろにも、長芋にも合います。
冷蔵庫に入れておくと、ちょっと削るだけで一皿になる便利な自家製珍味。
煮付け用の魚卵が、ここまで広がるとは。
料理というのは、やっぱり予定表通りにいかない方が面白いです。
冷蔵庫の中で静かに待っている西京カラスミ風。
次にフタを開けたとき、たぶんこう言います。
「今日は、何に削りますか?」

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