夏の天ぷらを作りました。
ゴーヤに冬瓜、枝豆。
ここまでは、実に爽やかな夏野菜の皆さんです。
ところが、お皿の奥に何やら肉らしいものが座っています。
57℃で2時間、低温調理した牛ハツです。

夏野菜だけの涼やかな集まりだと思っていたところへ、急に牛ハツが出席してきました。
しかも、かなり堂々としています。
今回は、
- ゴーヤのほろ苦さ
- 冬瓜のとろける食感
- 牛ハツのムッチリとした旨味
- 枝豆と黒ばら海苔の甘味と磯の香り
この4種類を、鰹出汁入りの「魚屋のてんぷら粉」でサクッと揚げました。
天つゆは、いつもの透明醤油めんつゆ。
色は涼しげですが、旨味については夏休みを取っていません。

57℃低温調理の牛ハツと夏野菜の天ぷら

今回の盛り合わせは、写真の左側から順番に、
- ゴーヤ
- 冬瓜
- 57℃で2時間低温調理した牛ハツ
- 枝豆と黒ばら海苔のかき揚げ
となっています。
仕上げに塩を添え、透明醤油めんつゆも用意しました。
まずは塩で素材の味を確かめ、その後で天つゆへ。
いきなり全員を天つゆへ入れるのではなく、まずは一度、個別面談を行います。
材料|2人分の目安
- ゴーヤ……1/2本
- 冬瓜……150〜200g
- 低温調理した牛ハツ……150g程度
- むき枝豆……60〜80g
- 黒ばら海苔……ひとつかみ
- 魚屋のてんぷら粉……適量
- 冷水……商品の表示に合わせて適量
- 揚げ油……適量
- 塩……少々
- 透明醤油めんつゆ……適量
分量は、作りやすい目安です。
天ぷらという料理は、材料が少しくらい増えても「では、もう一つ揚げましょう」と受け入れてくれます。
その結果、予定より盛り合わせが大きくなることもあります。
今回は、そうなりました。
牛ハツは57℃で2時間低温調理
牛ハツは、あらかじめ下処理をして、57℃で2時間低温調理したものを使いました。
ハツは加熱しすぎるとギュッと締まりやすい部位ですが、低温でゆっくり火を入れることで、しっとり、ムッチリとした食感に仕上がります。
低温調理後は袋から取り出し、表面の水分をキッチンペーパーでしっかり拭き取ります。
ここは大切です。
水分が残っていると衣が剥がれやすく、油の中も少々にぎやかになります。
料理中のにぎやかさは会話だけで十分です。
牛ハツは食べやすい厚さに切り、薄くてんぷら粉をまぶしてから衣をつけます。
すでに低温調理で火が入っているので、天ぷらでは衣をサクッと仕上げる程度に短時間で揚げます。
生の牛ハツを使う場合は、同じ短時間の揚げ方ではなく、中心まで十分に加熱してください。
ゴーヤは半月切りにして、ほろ苦さを楽しむ
ゴーヤは半月切りにして、種とワタを取り除きます。
厚さは1cm前後。
薄すぎるとゴーヤらしい食感が弱くなり、厚すぎると火の通りに時間がかかります。
衣をつけて揚げると、外側はサクッ。
噛むと中から、ゴーヤの青々とした香りとほろ苦さが広がります。
この苦味が、塩とよく合います。
夏は苦いものがおいしい。
大人になってよかったと思う瞬間ですが、子どもの頃の自分に説明しても、おそらく納得してもらえません。
冬瓜は、揚げると中がとろり
冬瓜は皮とワタを取り除き、食べやすい大きさに切ります。
冬瓜は水分が多いので、切った後は表面の水分をしっかり拭き取ってください。
さらに、衣をつける前に薄くてんぷら粉をまぶしておくと、衣が密着しやすくなります。
揚げた冬瓜は、外側がサクッ。
中は水分を含んだまま、やわらかく、とろりとした食感になります。
煮物では静かに出汁を受け止めている冬瓜ですが、天ぷらになると急に表情が変わります。
普段は穏やかな人が、カラオケで急に立ち上がったような変化です。
枝豆と黒ばら海苔は、磯香るかき揚げに
今回、特に香りがよかったのが、枝豆と黒ばら海苔のかき揚げです。
枝豆の甘味とホクホクした食感に、黒ばら海苔の濃い磯の香り。
噛むほどに海苔の旨味が広がり、後から枝豆の甘味が追いかけてきます。
作り方は、むき枝豆と黒ばら海苔をボウルへ入れ、少量のてんぷら粉をまぶします。
そこへ衣を少しずつ加え、全体がまとまる程度に混ぜます。
衣を入れすぎると、枝豆と海苔のかき揚げというより、枝豆と海苔が入った大きな衣になります。
主役と背景が入れ替わらないよう、衣は控えめで大丈夫です。
スプーンでひと口分ずつすくい、油の中へ静かに落とします。
海苔の細かな部分が油へ散りやすいため、盛り合わせの最後に揚げるのがおすすめです。
衣は「魚屋のてんぷら粉」
今回使ったのは、浜口水産の魚屋のてんぷら粉です。
鰹出汁が入っていて、卵を用意しなくても衣を作れる便利なてんぷら粉。
衣そのものに旨味があるため、冬瓜のような淡い味の野菜にも、牛ハツのような力強い素材にもよく合います。
特に、枝豆と黒ばら海苔のかき揚げとは好相性。
鰹出汁の旨味と、海苔の磯の香りが重なります。
魚屋のてんぷら粉と黒ばら海苔。
魚介関係者同士の連携が、非常にスムーズです。
サクッと仕上げる揚げ方
- ゴーヤ、冬瓜、牛ハツの表面水分を拭き取ります。
- 材料へ薄くてんぷら粉をまぶします。
- てんぷら粉を冷水で溶きます。
- 油を170℃前後に温めます。
- 冬瓜、ゴーヤの順に揚げます。
- 牛ハツは少し高めの温度で短時間、衣が色づくまで揚げます。
- 最後に枝豆と黒ばら海苔のかき揚げを揚げます。
- 網やバットへ取り出し、しっかり油を切ります。
衣は混ぜすぎず、少し粉が残る程度で止めます。
よく混ぜたくなる気持ちは分かります。
しかし天ぷら衣に関しては、話し合いを重ねるほどまとまりが悪くなる場合があります。
天つゆは、いつもの透明醤油めんつゆ
今回の天つゆは、いつもの透明醤油と無添加だしで作るめんつゆです。
一般的な濃い色の天つゆとは違い、見た目がとても涼しげ。
天ぷらをつけても素材の色を茶色く覆いにくく、ゴーヤの緑や冬瓜の淡い色を楽しめます。
もちろん、透明だからといって味が薄いわけではありません。
魚介、昆布、干ししいたけなどの旨味が入り、牛ハツにも負けない味わいです。
詳しい作り方はこちらの記事で紹介しています。
塩と天つゆ、どちらで食べる?
おすすめは、まず塩です。
ゴーヤは、塩をつけることでほろ苦さと甘味の輪郭がはっきりします。
牛ハツも最初は塩で。
ムッチリとした食感と、肉そのものの濃い旨味を楽しめます。
冬瓜は、透明醤油めんつゆがおすすめ。
とろりとした冬瓜の中へ、澄んだ出汁の旨味が染み込みます。
枝豆と黒ばら海苔のかき揚げは、塩でも天つゆでも正解です。
つまり、結論としては両方用意してください。
料理の記事で最も便利な結論ですが、実際に両方おいしいので仕方がありません。
素材ごとに変わる、4つの食感
この盛り合わせの面白さは、すべて天ぷらなのに食感がまったく違うことです。
- ゴーヤ……サクッ、シャキッ、ほろ苦い
- 冬瓜……サクッ、とろり、瑞々しい
- 牛ハツ……サクッ、ムッチリ、旨味が濃い
- 枝豆と黒ばら海苔……サクッ、ホクホク、磯の香り
同じ衣、同じ油を使っているのに、中身が変わるだけでこれほど表情が違います。
天ぷらは、衣を着せて全員を同じ姿にしておきながら、中身の個性はきちんと残してくれます。
見た目は制服。
食べると全員、性格が違います。
おいしく作るためのポイント
材料の水分をしっかり拭く
冬瓜や低温調理後の牛ハツは、表面に水分が残りやすい食材です。
衣をつける前にキッチンペーパーで丁寧に拭き取ります。
衣をつける前に粉を薄くまぶす
打ち粉をしておくと、食材と衣が密着しやすくなります。
特に冬瓜と牛ハツには効果的です。
牛ハツは揚げすぎない
低温調理済みの牛ハツは、衣を仕上げるための揚げ工程です。
長く揚げると、せっかくのムッチリした食感が締まってしまいます。
黒ばら海苔のかき揚げは最後に
細かな海苔が油へ散るため、最後に揚げると油をきれいに使いやすくなります。
ソムリエのひとこと|夏の天ぷらに合わせるワイン
今回の盛り合わせに一本合わせるなら、ヴェルディッキオがおすすめです。
柑橘を思わせる爽やかさと、ほのかなハーブ感、後味に感じる心地よい苦味。
ゴーヤの青い香りとほろ苦さ、枝豆の甘味、黒ばら海苔の磯の風味に自然と寄り添います。
透明醤油めんつゆの出汁とも合わせやすく、適度な厚みがあるため、牛ハツの旨味も受け止めてくれます。
もう少し牛ハツを主役にするなら、よく冷やした辛口のランブルスコも面白い組み合わせです。
泡が衣の油を流し、穏やかな赤い果実味と軽い渋味が牛ハツに合います。
ただし、最初の一杯にビールを選ぶ判断も、まったく間違っていません。
むしろ写真を撮り終えるまでビールを我慢できたなら、それだけで高く評価されるべきだと思います。
今回使ったおすすめ商品
今回の天ぷら作りに使った、または相性のよかった商品です。
まとめ|夏野菜の天ぷらに、牛ハツを入れてもいい
ゴーヤ、冬瓜、枝豆と黒ばら海苔。
夏らしい野菜と磯の香りを楽しむ天ぷら盛り合わせに、57℃で2時間低温調理した牛ハツを加えました。
ゴーヤは、ほろ苦くサクッ。
冬瓜は、サクッとした衣の中がとろり。
牛ハツは、外は軽く、中はムッチリ。
枝豆と黒ばら海苔は、ホクホクとした甘味に濃い磯の香りが重なります。
そして全体をまとめるのが、透明醤油めんつゆ。
見た目は涼やかですが、出汁の旨味はしっかり。
夏野菜の天ぷらとして始まり、途中から牛ハツが主役になり、最後は黒ばら海苔の香りでお酒が進みます。
野菜だけでも十分おいしい。
しかし、そこへ牛ハツが加わると、夕食としての説得力が急に増します。
夏野菜だけだと思ったら、牛ハツがいた。
この少し意外な組み合わせ、ぜひ透明醤油めんつゆと一緒に楽しんでみてください。

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