皮パリ鶏もも肉の中華風カチャトーラ|オイスターソースと黒酢の旨み煮

皮パリ鶏もも肉をカットしてきのこと中華風カチャトーラソースを盛り付けた小皿 おつまみ・酒肴
カットして器に盛ると、きのこと中華風ソースが鶏もも肉にからみます。

ひとくちメッセージ

カチャトーラと聞くと、トマトで煮込んだイタリアの鶏料理を思い浮かべるかもしれません。

でも今回作るのは、トマトソースのカチャトーラではありません。

味の中心は、オイスターソース、紹興酒、黒豆麹、黒酢、鶏ガラスープ。
そこにミニトマトの酸味と果実味、花椒の香りを重ねた、くん式の中華風カチャトーラです。

鶏もも肉は、塩をして3日間冷蔵庫で乾燥。
冷たいフライパンから弱火でじっくり焼き、皮はガラスのようにパリッと。
身は臭みがなく、ジューシーに仕上がります。

煮込みなのに、皮パリ。
トマトは入るけれど、トマト煮ではない。

カチャトーラ発祥の地トスカーナから、オイスターソースの広東へ。
鶏もも肉、ずいぶん長い旅に出ました。

しかも旅先で、皮はちゃんとパリパリです。


このレシピで解決できること

鶏もも肉を焼くと皮がぶよっとする。
トマト煮にすると鶏皮がふにゃっとする。
いつもの鶏肉レシピに飽きてきた。
中華調味料を買っても、使い道がワンパターンになる。

そんなときにおすすめなのが、今回の中華風カチャトーラです。

ポイントは、鶏もも肉を最初から煮込まないこと。

先に皮目をパリッと焼き、ソースは別で作る。
最後に鶏を戻して、軽く煮詰める。

つまり、

鶏皮は焼き物として完成させる。
ソースは煮込みとして完成させる。
最後に短時間だけ合流させる。

この流れです。

会社の会議も、このくらい短時間で合流してくれたら助かるのですが、そこはなかなか難しい。
鶏もも肉の方が、よほど話が早いです。


今日の料理

皮パリ鶏もも肉の中華風カチャトーラ

鶏もも肉を3日間冷蔵庫で乾燥させ、冷たいフライパンから弱火で皮パリに焼きます。

そのあと、にんにく、新生姜、長ねぎ、きのこを炒め、紹興酒、オイスターソース、黒豆麹、黒酢、鶏ガラスープ、ミニトマト、花椒で中華風の旨みソースに。

トマトは主役ではありません。
あくまで酸味と果実味の担当です。

主役は、オイスターソースのコク、黒酢のやさしい酸味、黒豆麹の発酵感。
そして、最後まで堂々としている皮パリの鶏もも肉です。


材料

2人分

鶏もも肉 1枚
塩 鶏もも肉の重量の約1%
にんにく 1片
新生姜 1かけ
長ねぎ 1/2本
きのこ たっぷり
※しめじ、えのき、舞茸、マッシュルームなど
ミニトマト 6〜8個
紹興酒 大さじ2
オイスターソース 大さじ1〜1と1/2
黒豆麹 小さじ2〜大さじ1
黒酢 小さじ1〜2
鶏ガラスープ 150〜200ml
花椒 適量
油 少量

黒豆麹がない場合

黒豆麹がない場合は、豆豉を細かく刻んで使ってもおいしく作れます。
ただし豆豉は塩気が強いので、オイスターソースや鶏ガラスープの塩分は少し控えめにしてください。

黒豆麹を使うと、豆豉よりも塩気がやわらかく、米麹の甘みと黒豆のコクが加わります。
今回のソースに丸みが出たのは、この黒豆麹の力が大きいです。

豆豉が「中華の発酵パンチ」なら、黒豆麹は「中華の発酵クッション」。
パンチだけでは人は座れません。
ソースにも、たまにはクッションが必要です。


作り方

1. 鶏もも肉に塩をして冷蔵庫で乾燥させる

塩をして3日間冷蔵庫で乾燥させた鶏もも肉と紹興酒ときのこ
鶏もも肉に塩をして3日間冷蔵庫乾燥。皮パリの準備はここから始まります。

鶏もも肉に塩をふり、冷蔵庫で乾燥させます。
今回は3日間置きました。

皮の表面の水分が抜けることで、焼いたときにパリッと仕上がりやすくなります。
さらに、鶏肉特有の臭みも抜け、身の味わいが締まります。

時間がない場合は、一晩でも大丈夫です。
もっと短時間なら、皮の表面をキッチンペーパーでしっかり拭き、冷蔵庫で数時間置くだけでも変わります。


2. 冷たいフライパンから皮目を焼く

フライパンに少量の油を入れ、鶏もも肉の皮目を下にして置きます。
火をつける前、冷たいフライパンから始めます。

弱火でじっくり焼き、鶏の脂を出していきます。

熱いフライパンに入れて強火で焼くと、表面だけ焦げて、皮の水分が抜けきらないことがあります。
今回は焦らず、じっくり。

鶏皮と向き合う時間です。
人生で言えば、少し長めの面談です。
ただし相手は鶏皮なので、こちらが一方的に見守ります。

鶏もも肉を冷たいフライパンに皮目から入れて弱火で焼く様子
冷たいフライパンから弱火でじっくり。鶏皮の脂をゆっくり出していきます。

3. 皮をガラスのようにパリッと焼く

皮目がこんがり色づき、パリッとしたら裏返します。
身側は軽く焼く程度で大丈夫です。

ここで完全に火を通しきらなくても、あとでソースに戻して軽く火を入れます。

目指すのは、ガラスのような皮パリ。
箸で触ったときに、表面がカリッとしていれば成功です。

この時点で、かなりうれしいです。
台所でひとり、少しだけ得意げになります。
誰にも見られていないのに。

皮目がガラスのようにパリッと黄金色に焼けた鶏もも肉
ガラスのように焼けた鶏皮。今回の料理の勝負どころです。

4. 香味野菜ときのこを炒める

鶏もも肉をいったん取り出します。

フライパンに残った鶏の脂で、にんにく、新生姜、長ねぎを炒めます。
香りが出て、少し色づいてきたら、きのこを加えます。

きのこには軽く塩をして炒めます。
塩をすることで水分が出て、きのこの香りと旨みがソースに入りやすくなります。

今回のカチャトーラは、中華風とはいえ、きのこの存在がかなり大事です。

カチャトーラらしい山の香り。
中華料理らしい旨みの厚み。
この両方を、きのこが担当します。

きのこ、地味に見えてかなり仕事をしています。
職場にいたら、たぶん一番信頼されるタイプです。


5. 紹興酒、オイスターソース、黒豆麹、黒酢、トマト、鶏ガラスープを加える

きのこがしんなりしてきたら、紹興酒を加えます。
アルコールを飛ばしながら、フライパンに残った鶏の旨みをこそげ取ります。

そこに、オイスターソース、黒豆麹、黒酢、ミニトマト、鶏ガラスープを加えます。

ここで大事なのは、今回の料理はトマトソースではないということです。

トマトは入れます。
でも、味の中心はトマトではありません。

中心にいるのは、オイスターソースのコク。
そこに黒豆麹の発酵感、紹興酒の香り、黒酢のやさしい酸味、鶏ガラスープの旨みが重なります。

ミニトマトは、明るい酸味と果実味を足す役です。

言ってみれば、トマトは照明係。
主演ではないけれど、いないと舞台が暗い。
ミニトマト、助演酸味賞です。

きのこ、ミニトマト、黒豆麹、オイスターソース、黒酢、紹興酒で作る中華風カチャトーラソース
オイスターソース、紹興酒、黒豆麹、黒酢、鶏ガラスープで作る中華風旨みソース。トマトは酸味と果実味の役です。

6. 鶏もも肉を戻して軽く煮詰める

ソースがなじんできたら、焼いた鶏もも肉を戻します。

このとき、皮目は上にします。
皮をソースに沈めすぎないようにするのがポイントです。

皮を下にしてしまうと、せっかくのパリパリが弱くなります。
煮込み料理ですが、今回は皮パリを守ります。

皮は上で堂々と構える。
ソースは下から香りをまとわせる。

立ち位置が大事です。
料理も人間関係も、立ち位置を間違えると少し大変です。

軽く煮詰めながら、鶏もも肉にソースの香りをまとわせます。
長く煮込みすぎず、短時間で仕上げます。

皮パリに焼いた鶏もも肉をオイスターソースと黒酢の中華風ソースに戻す様子
皮目を上にして鶏もも肉を戻します。煮すぎず、皮パリを残すのがコツ。

7. 花椒を加えて仕上げる

最後に花椒を加えます。

花椒は、しびれだけでなく、柑橘のような香りがあります。
この香りが、鶏皮の香ばしさ、きのこの風味、黒酢の酸味、黒豆麹の発酵感をつないでくれます。

入れすぎると花椒が主役になってしまうので、最初は控えめに。
余韻にふわっと残るくらいが上品です。

皮パリ鶏もも肉の中華風カチャトーラの完成写真
皮パリ鶏もも肉の中華風カチャトーラ。オイスターソース、黒酢、黒豆麹、花椒が香ります。

おいしく作るコツ

鶏もも肉は、できれば一晩以上乾燥させる

今回の鶏もも肉は、3日間冷蔵庫で乾燥させました。

そのため、余分な水分が抜けて臭みが少なく、焼いたときに皮がパリッと仕上がりました。
身は締まりながらも、食べるとジューシーです。

ただし家庭では、必ず3日間置かないといけないわけではありません。
一晩でも効果はあります。

大事なのは、皮の表面をしっかり乾かすことです。

冷たいフライパンから弱火で焼く

皮パリにするには、冷たいフライパンから焼くのがおすすめです。

弱火でじっくり加熱することで、鶏皮の脂がゆっくり出て、表面が薄くパリッと焼けます。

強火で急ぐと、焦げやすくなります。
鶏皮は、急かされるのが苦手です。
たぶん人間もそうです。

ソースはトマトソースにしない

今回の中華風カチャトーラは、トマトソースではありません。

ミニトマトは入れますが、主役はオイスターソース、黒酢、紹興酒、黒豆麹。
トマトは、酸味と果実味でソースを軽くする役です。

トマトを入れすぎると、普通のトマト煮に寄ってしまいます。
今回は、あくまで中華の旨みソースを目指します。

黒酢は最後の輪郭を作る

黒酢を入れることで、オイスターソースの甘じょっぱさや鶏皮の脂が重くなりすぎません。

トマトの酸味が明るい酸味なら、黒酢は深い酸味。
この二つの酸味が重なることで、ソースに奥行きが出ます。

黒酢は入れすぎると主張が強くなるので、小さじ1〜2くらいから調整してください。


味の感想

鶏もも肉は、3日間冷蔵庫で乾燥させたことで、臭みがなく、皮はパリッと、身はジューシーな仕上がりになりました。

ひと口食べると、まず鶏皮の香ばしさ。
そのあとに、にんにく、新生姜、長ねぎの香味野菜の風味が広がります。

きのこは香りだけでなく、食感も良いアクセント。
そこにミニトマトの明るい酸味が加わり、ソース全体を重くしすぎません。

味の中心は、オイスターソースのコク。
そこに黒豆麹の発酵感が重なり、最後に黒酢のやさしい酸味が全体をキュッと引き締めます。

トマトは入っているけれど、これはトマトソースの煮込みではありません。
オイスターソース、紹興酒、黒豆麹、黒酢で作る、中華の旨みソースです。

カチャトーラ発祥の地トスカーナから、オイスターソースの広東へ。
鶏もも肉が、ずいぶん長い旅をしてくれました。

しかも到着した先で、皮はちゃんとパリパリ。
旅慣れた鶏です。

皮パリ鶏もも肉をカットしてきのこと中華風カチャトーラソースを盛り付けた小皿
カットして器に盛ると、きのこと中華風ソースが鶏もも肉にからみます。
箸で持ち上げた皮パリ鶏もも肉ときのこの中華風カチャトーラ
皮パリ、身はジューシー。オイスターソースと黒酢の旨みがからみます。

アレンジ

豆豉でより中華らしく

黒豆麹の代わりに豆豉を使うと、より本格的な中華の発酵感が出ます。
ただし塩気が強くなりやすいので、量は控えめにしてください。

自家製辣油を少し加える

辛さを足したい場合は、仕上げに自家製辣油を少し加えるのもおすすめです。

煮込み中に入れるより、最後に加えた方が香りが立ちます。
オイスターソースと黒酢のソースに、香ばしい辛味が加わります。

残ったソースはごはんにも合う

このソースは、白いごはんにもよく合います。

きのこの旨み、オイスターソースのコク、黒酢の酸味、黒豆麹の発酵感。
これがごはんに絡むと、かなり危険です。

「少しだけ」のつもりが、茶碗をもう一度見つめることになります。
見つめても、ごはんは増えません。
でも、よそえば増えます。

パスタにしてもおいしい

残ったソースは、パスタに絡めてもおいしいです。

ただし、トマトソースパスタではありません。
オイスターソースと黒酢の中華風パスタです。

太めのスパゲッティやリングイネに合わせると、きのことソースがよく絡みます。


ソムリエのひとこと

この料理は、鶏皮の香ばしさ、オイスターソースのコク、黒酢の酸味、黒豆麹の発酵感、花椒の香りがあります。

そのため、濃くて渋い赤ワインより、酸があり、タンニンが強すぎないワインが合います。

合わせたいワイン

バルベーラ
酸がしっかりあり、黒酢やミニトマトの酸味と合わせやすいワインです。タンニンが強すぎないので、花椒ともぶつかりにくいです。

ガメイ
軽やかな赤い果実味があり、鶏もも肉ときのこに寄り添います。少し冷やして飲むと、花椒の香りともきれいに合います。

サンジョヴェーゼ
カチャトーラのイタリア感を残したいなら、サンジョヴェーゼも良いです。トマトの酸味と相性がよく、料理の出発点であるトスカーナの雰囲気も感じられます。

ロゼワイン
中華の香味、鶏皮の香ばしさ、黒酢の酸味をまとめやすい万能型です。迷ったらロゼもかなりおすすめです。

オレンジワイン
黒豆麹や紹興酒の発酵感に寄り添うなら、オレンジワインも良いです。香りに厚みがあり、花椒の余韻とも合います。

濃厚なカベルネ・ソーヴィニヨンやタンニンの強い赤は、花椒のしびれや黒酢の酸味とぶつかることがあります。
この料理には、軽やかさと酸のあるワインが合います。


おすすめの道具と調味料

ここからは、今回の中華風カチャトーラを作るときにあると便利なものです。

皮パリに焼きたいなら、マイヤーのフライパン

鶏もも肉の皮をパリッと焼くには、熱が安定するフライパンがあると便利です。
冷たい状態から弱火でじっくり焼き、鶏の脂を引き出すことで、皮がパリッと仕上がります。

紹興酒・黒酢・オイスターソースは中華の基本セット

今回のソースは、紹興酒、黒酢、オイスターソースが味の柱です。

紹興酒で香りを出し、オイスターソースでコクを作り、黒酢で味を引き締める。
この3つがあると、中華風の煮込みや炒め物の幅が一気に広がります。

花椒は少量で料理が変わる

花椒は、入れるだけで香りの輪郭が変わります。
しびれを強くするというより、余韻に中華らしい香りを残すイメージです。

麻婆豆腐だけでなく、鶏肉、きのこ、黒酢系の料理にもよく合います。

黒豆麹作りには、発酵温度を保てる道具が便利

今回使った黒豆麹は、自家製の発酵調味料です。
蒸した黒豆、米麹、塩、黒豆の蒸し汁を合わせて作ります。

発酵調味料を安定して作るには、温度を保てる調理家電があると便利です。
白い醤油麹やひよこ豆味噌など、くんのごはんの発酵調味料にも応用できます。

黒豆麹味噌の作り方|エペイオス60℃8時間で作る、黒いうま味の発酵調味料
黒豆と米麹で作る自家製黒豆麹味噌。マイヤー圧力鍋で黒豆を蒸し、エペイオス60℃8時間で発酵。ドレッシングや中華料理にも使える黒いうま味の発酵調味料です。


ぶーちゃんのひとこと

皮パリの音がした瞬間、
ボクは台所の空気が変わったのを感じました。

くんが真剣な顔をしていました。
あれは料理人の顔です。

ただ、ボクから見ると、
「それ、少し落ちてこないかな」
という顔にも見えます。

花椒と黒酢はボクにはいりません。
でも鶏の香りは、かなり気になります。

くん、床はいつでも空いてます。


まとめ

今回は、鶏もも肉で中華風カチャトーラを作りました。

カチャトーラといえば、イタリアの鶏肉煮込み。
でも今回は、トマトソースではありません。

味の中心は、オイスターソース、紹興酒、黒豆麹、黒酢、鶏ガラスープ。
そこにミニトマトの酸味と果実味、花椒の香りを加えています。

鶏もも肉は3日間冷蔵庫で乾燥させ、冷たいフライパンから弱火でじっくり焼くことで、臭みがなく、皮はパリッと、身はジューシーに仕上がりました。

トスカーナから広東へ。
イタリアの猟師風が、中華の旨みソースに出会った一皿です。

煮込みなのに、皮パリ。
トマトは入るけれど、トマト煮ではない。

これは、くん式の中華風カチャトーラです。

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