ひとくちメッセージ
和牛ランプを低温調理でステーキにしました。
今回は 57℃で2時間。
以前は55℃で仕上げたことがありますが、今回比べてみてわかったのは、
55℃は赤い。57℃はピンク。
そして、57℃の方が断面にサシが見えやすい。
たった2℃。
人間なら「ちょっと暑いかな?」くらいの差ですが、和牛ランプにとってはなかなか大きな2℃です。
肉は黙っていますが、断面でかなりしゃべります。
今回はそこに、トリュフ醤油ソースを合わせました。
赤身の旨み、和牛のサシ、醤油の香ばしさ、トリュフの香り。
低温調理器の中で静かに火を入れ、最後にフライパンで香ばしく仕上げる。
台所でできる、ちょっとレストラン顔の一皿です。
今日の料理
和牛ランプの低温調理ステーキ
57℃2時間・トリュフ醤油ソース仕上げ
付け合わせは、じゃがいもと青菜。
ソースは、肉を焼いたあとの旨みを使って、醤油、バター、トリュフの香りでまとめます。
55℃と57℃、どちらが正解?

結論から言うと、どちらも柔らかいです。
ただし、仕上がりの印象が違います。
以前作った55℃の和牛ランプは、断面の赤みが強く、赤身肉らしい艶がありました。
見た目としては、かなりレア寄り。
塩で食べると、肉そのものの甘みや赤身の香りがまっすぐ出ます。
一方、今回の57℃は、赤というよりピンク。
火入れに少し安心感が出て、断面も落ち着いて見えます。
さらに面白かったのが、57℃の方がサシが見えやすかったこと。
おそらく、脂が少しゆるみ、肉の中のサシの存在が見えやすくなったのだと思います。
55℃は赤身の艶。
57℃は和牛らしいピンクとサシ。
この違いは、かなり大きいです。
つまり使い分けるなら、こんな感じ。
55℃がおすすめ
塩、わさび、柚子胡椒、透明醤油などで、肉そのものをシンプルに味わうとき。
57℃がおすすめ
トリュフ醤油ソース、赤ワインソース、バター醤油、黒胡椒ソースなど、香りや濃度のあるソースを合わせるとき。
今回はトリュフ醤油ソースなので、ボクとしては57℃で正解でした。
ソースの厚みに、肉のピンクの火入れがちゃんと受け止めてくれます。
以前作った55℃寄りの和牛ランプ低温調理ステーキはこちら。
塩でシンプルに食べるなら、55℃の赤みもかなり魅力的です。

材料
和牛ランプの低温調理ステーキ
- 和牛ランプ 1枚
- 塩 肉の重量の0.8%前後
- 黒胡椒 少々
- オリーブオイル 少量
- にんにく 好みで少量
- バター 少量
トリュフ醤油ソース
- 肉を焼いたあとのフライパン
- 醤油 小さじ2
- 赤ワイン 大さじ1〜2
- みりん 小さじ1
- バター 5〜10g
- トリュフペースト、トリュフオイル、トリュフ塩など 少量
- 黒胡椒 少々
赤ワインがなければ、紹興酒でもおもしろいです。
醤油と紹興酒の組み合わせは、和牛ランプに少し中華の色気が出ます。
ただし今回はトリュフを合わせるので、赤ワインの方がまとまりやすいです。
作り方
1. 和牛ランプに塩をする
和牛ランプの表面の水分をキッチンペーパーで軽く拭きます。
塩は肉の重量の0.8%前後。
100gなら0.8gくらいです。
塩をしたら、黒胡椒を軽く振ります。
香りを強くしたい場合は、にんにくを少量入れても良いですが、今回はトリュフ醤油ソースが主役なので、にんにくは控えめがおすすめです。
ここでにんにくが前に出すぎると、トリュフが少し遠慮します。
台所にも、香りの席順というものがあります。
2. 保存袋に入れて空気を抜く

肉を保存袋、または真空袋に入れます。
オリーブオイルを少量入れると、熱の当たりがやわらかくなります。
できるだけ空気を抜いて密封します。
低温調理は、肉に静かに火を入れる料理です。
袋の中に空気が多いと、肉が浮いたり、火の入り方にムラが出やすくなります。
3. 57℃で2時間、低温調理する

低温調理器を 57℃ に設定します。
今回は 2時間。
鍋のお湯に袋ごと沈め、肉全体がお湯に浸かるようにします。
浮いてくる場合は、重しを使うと安定します。
ここで大事なのは、焦らないこと。
低温調理は、肉を急かす料理ではありません。
むしろ、肉が湯せんの中で静かに考えごとをしている時間です。
「このあとボクは、トリュフ醤油ソースをまとって皿に出るのか……」
肉もきっと、うすうす気づいています。
低温調理で大事なのは、温度を安定させること。
55℃と57℃の違いを楽しむなら、温度管理できる低温調理器があるとかなり便利です。
和牛ランプやローストビーフをしっとり仕上げたい人に。温度を1℃単位で管理できる低温調理器があると、55℃・57℃の火入れ比較もしやすくなります。
袋の中に空気が残ると、肉が浮いて火入れが安定しにくくなります。
低温調理をよくするなら、真空パック器や低温調理対応の袋があるとかなり楽です。
4. 取り出したら表面をしっかり拭く
2時間たったら袋から肉を取り出します。
ここで必ず、表面の水分をしっかり拭きます。
低温調理後の肉は、中心まで火が入っています。
あとは表面を香ばしく焼くだけ。
水分が残ったままだと、焼くというより蒸されてしまいます。
せっかくの和牛ランプが、フライパンの上で「湿度の高い会議」に参加してしまいます。
焼く前は、しっかり水分を拭く。
ここがかなり大事です。
5. フライパンで表面だけ焼く
フライパンをしっかり熱し、オリーブオイルを少量入れます。
肉を入れたら、表面を短時間で焼きます。
目安は片面30秒〜1分ほど。
中まで火を入れようとしなくて大丈夫です。
中はもう57℃2時間で仕上がっています。
フライパンの役目は、あくまで表面に香ばしさをつけること。
低温調理で整えた肉に、最後の上着を着せるような作業です。
ここで長く焼きすぎると、せっかくのピンク色が遠ざかります。
焼けたら取り出して、数分休ませます。
6. トリュフ醤油ソースを作る
肉を焼いたフライパンに、赤ワインを入れます。
フライパンについた旨みをこそげながら、軽く煮詰めます。
そこに醤油、みりんを加えます。
火を弱めてバターを溶かし、全体にとろみを出します。
最後にトリュフペースト、トリュフオイル、トリュフ塩などを少量加えます。
トリュフの香りは、最後に入れるのがポイントです。
煮詰めすぎると、せっかくの香りが飛びます。
トリュフは主張が強そうに見えて、意外と繊細です。
舞台袖では堂々としているのに、本番で照明が強すぎると少し引っ込むタイプです。
7. 肉を切ってソースをかける
肉を食べやすい厚さに切ります。
断面は赤ではなく、きれいなピンク。
55℃のときよりも少し落ち着いた色で、サシも見えやすくなっています。
器に盛り、トリュフ醤油ソースをかけます。
付け合わせに、じゃがいもや青菜を添えると、皿全体のバランスがよくなります。
青菜の苦みと香りが、ソースの余韻を切ってくれます。
じゃがいもは、ソースを受け止める係。
地味ですが、こういう役がいると皿が安定します。
料理界の名脇役です。
仕上がりの感想

今回の57℃2時間は、かなり良かったです。
55℃と比べると、どちらも柔らかい。
ただ、見た目はかなり違いました。
55℃は赤みが強く、レア感があります。
塩でシンプルに食べるなら、55℃の色気はかなり魅力的です。
57℃はピンク色で、火入れの安心感があります。
そして、和牛らしいサシが見えやすい。
トリュフ醤油ソースのような、香りとコクのあるソースを合わせるなら、57℃の方がまとまりやすいと感じました。
低温調理は、温度を1℃、2℃変えるだけで表情が変わります。
55℃と57℃。
数字だけ見ると小さな差ですが、断面を見るとかなり違う。
台所では、2℃が事件になります。
ニュース速報までは出ませんが、肉の断面はしっかり報道していました。
失敗しないポイント
表面の水分は必ず拭く
低温調理後の肉は、袋から出すと水分がついています。
このまま焼くと、香ばしさがつきにくくなります。
焼く前にしっかり拭く。
これだけで仕上がりが変わります。
焼きすぎない
中はもう火が入っています。
フライパンでは表面だけ焼きます。
長く焼きすぎると、57℃で作ったピンク色が消えてしまいます。
低温調理ステーキは、最後の焼きで欲張らないことが大事です。
ソースは最後に香りを入れる
トリュフオイルやトリュフペーストは、最後に入れます。
香りを飛ばさないためです。
醤油、赤ワイン、バターでソースの土台を作ってから、最後にトリュフ。
これで香りが残ります。
55℃の記事との違い
以前の和牛ランプ低温調理ステーキは、55℃寄りで作りました。
そのときは、塩でシンプルに味わう仕上げ。
今回は57℃で2時間。
トリュフ醤油ソースを合わせるため、少しだけ火入れを安定させています。
55℃は、赤身の艶を楽しむステーキ。
57℃は、ソースと合わせるピンクのステーキ。
どちらが上というより、食べ方で選ぶのが良いと思います。
シンプルに塩なら55℃。
ソースで仕上げるなら57℃。
この使い分けができると、低温調理のステーキはかなり楽しくなります。

ソムリエのひとこと
この和牛ランプの低温調理ステーキには、赤ワインが合います。
ただし、重すぎる赤よりも、香りがきれいで酸のある赤が良いです。
トリュフ醤油ソースがあるので、樽香が強すぎるワインや、アルコール感が強すぎるワインだと、少し重たく感じるかもしれません。
おすすめは、ピノ・ノワール、ネッビオーロ、熟成感のあるサンジョヴェーゼあたり。
和牛ランプは脂で押し切る部位ではなく、赤身の旨みがある部位。
そこにトリュフ醤油ソースがかかるので、ワインには香りの奥行きと酸がほしいです。
たとえば、ブルゴーニュのピノ・ノワール。
または、少し熟成したバローロやバルバレスコ。
イタリアなら、キアンティ・クラシコ・リゼルヴァも良いです。
赤身、醤油、トリュフ、バター。
ここにワインの酸が入ると、皿全体が一段軽くなります。
ぶーちゃんのひとこと
ぶーちゃんは、低温調理器の前で静かに待機。
57℃で2時間。
人間にとっては料理時間。
ぶーちゃんにとっては、ただの「いい匂いがする長めの待ち時間」です。
肉を切った瞬間の視線は、かなり鋭い。
まるで審査員です。
ただし、トリュフ醤油ソースは人間用。
ぶーちゃんにはあげられません。
「ソースなしでいいですけど?」
という顔をしていましたが、そこは台所のルール。
ぶーちゃん、今日は香りだけでお願いします。
まとめ
和牛ランプの低温調理ステーキは、57℃2時間でかなりきれいに仕上がりました。
55℃と57℃は、どちらも柔らかいです。
ただし、見た目と合わせ方が違います。
55℃は赤みが強く、塩でシンプルに食べるとおいしい。
57℃はピンク色で、サシが見えやすく、ソースとの相性が良い。
今回のトリュフ醤油ソースには、57℃がよく合いました。
赤身の旨み、和牛らしいサシ、醤油の香ばしさ、トリュフの香り。
家庭の台所でも、低温調理を使えばかなりレストラン寄りの一皿になります。
たった2℃。
でも肉にとっては、大きな2℃。
和牛ランプは、温度で表情が変わります。
そしてその違いを見比べるのも、低温調理の楽しさです。

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