粉蒸肉という料理があります。
中国料理では、豚バラ肉などに米粉や香辛料をまとわせて、じっくり蒸す料理です。
肉汁を吸った米粉が、むっちりと肉に絡む。
揚げ物ではないのに、妙に満足感がある。
煮込みではないのに、味が深い。
ボクはこれを見て思いました。
これ、ソーキで作ったらどうなるんだろう。
豚バラではなく、ソーキ。
つまり豚軟骨です。
普通に煮るだけでも時間がかかる。
でも、マイヤーハイプレッシャークッカーなら、軟骨までぷるぷるにできる。
そこに、くんの白い醤油麹。
自家製辣油。
辣油を作ったあとに残る辣カス。
さらに、自家製五香粉。
台所に並ぶ材料を見ていると、まるで小さな中国料理研究会です。
しかも全員、ちょっと香りが強い。
ただし、今回の主役はあくまでソーキです。
白い醤油麹は旨みを入れる係。
自家製辣油は香りを立てる係。
炒った米は、全部を受け止める係。
結果から言うと、ソーキ粉蒸肉は、かなりおいしいです。
そして大事な検証結果があります。
ソーキの軟骨までぷるぷるにするなら、加圧45分。
最初は25〜30分でもいけると思っていました。
でも、ソーキの軟骨はそう簡単には心を開きません。
人見知りの部長くらい、少し時間が必要です。
マイヤーハイプレッシャークッカーで加圧45分。
ここでようやく、軟骨がぷるっとほどけるような食感になりました。
ソーキ粉蒸肉とは?豚バラではなく豚軟骨で作る理由
粉蒸肉は、豚肉に米粉や香辛料をまとわせて蒸す中国料理です。
一般的には豚バラ肉で作ることが多い料理ですが、今回はソーキ、つまり豚軟骨で作りました。
理由は、ソーキには豚バラとは違う魅力があるからです。
- 加圧すると軟骨がぷるぷるになる
- コラーゲン感があり、米粉とよく絡む
- 豚の旨みが濃い
- 白い醤油麹や辣油の香りを受け止める力がある
豚バラで作る粉蒸肉は、脂の甘みが主役。
ソーキで作る粉蒸肉は、脂だけではなく、軟骨のぷるぷる感まで主役になります。
つまりこれは、豚バラの代用品ではありません。
ソーキだから成立する粉蒸肉です。
今回の結論|ソーキ粉蒸肉は加圧45分が正解でした
今回の一番大事なポイントはここです。
ソーキ粉蒸肉は、加圧30分では少し足りない。
軟骨までぷるぷるを狙うなら、加圧45分。
加圧25〜30分でも、肉としては食べられます。
ただ、ソーキらしい軟骨のぷるぷる感を出すには、もう少し時間が必要でした。
マイヤーハイプレッシャークッカーで、
- 加圧45分
- 自然減圧
これで、ソーキの軟骨までやわらかくなりました。
炒った米は、白い醤油麹だれとソーキの脂を吸って、むっちり。
ところどころ米の粒が残って、ぷちっとした食感もあります。
粉蒸肉の“粉”は、ただの粉ではありません。
旨みを逃がさない、小さな受け皿です。
材料|白い醤油麹と自家製辣油のソーキ粉蒸肉
材料 2〜3人分
- ソーキ/豚軟骨:500g
- さつまいも:1/2本
- 炒った米:大さじ5〜6
さつまいもは、里芋、じゃがいも、かぼちゃでも作れます。
今回はさつまいもを使いました。
ソーキの脂、白い醤油麹の旨み、辣油の香りが下に落ちるので、さつまいもがそれを受け止めます。
つまり、下に敷いたさつまいもは脇役ではありません。
終盤に急に存在感を出してくる助演俳優です。
ソーキの下ゆで用
- 水:適量
- 生姜スライス:2〜3枚
- 酒:大さじ1
下ゆでは、臭みや血のにごり、余分な脂を落とすために行います。
ここで完全にやわらかくする必要はありません。
たれの配合|ソーキ500g分
- くんの白い醤油麹:大さじ3
- 紹興酒:大さじ2
- 甜菜糖:小さじ2
- 太白胡麻油:大さじ1
- 自家製辣油:小さじ1
- 辣カス:小さじ1〜2
- おろし生姜:小さじ1
- おろしにんにく:小さじ1/2
- 自家製五香粉:小さじ1/4
- 花椒:少々
今回は豆板醤は入れません。
自家製辣油と辣カスがあるので、辛味と香りは十分。
豆板醤まで入れると、白い醤油麹のやさしい旨みが少し隠れてしまいます。
今回の狙いは、辛さで押す料理ではありません。
白い醤油麹の旨み、自家製辣油の香り、五香粉の奥行きで食べさせる粉蒸肉です。
自家製五香粉の配合
今回は五香粉も自家製にしました。
作りやすい少量配合

- 八角:1個
- 花椒:小さじ2
- フェンネル:小さじ1
- シナモン:小さじ1/2〜1
- クローブ:3〜4粒
八角を強くしすぎると、いかにも中華の香りになります。
それもおいしいのですが、今回は白い醤油麹と自家製辣油を活かしたいので、八角は1個にしました。
クローブも強いスパイスです。
入れすぎると、豚軟骨が急に歯医者さんの待合室へ向かいます。
3〜4粒で十分です。
五香粉の作り方



- 八角、花椒、フェンネル、シナモン、クローブを弱火で1〜2分乾煎りする。
- 香りが立ったら火を止め、完全に冷ます。
- ミルで細かく粉砕する。
- 茶こしでふるう。
ソーキ500gに使う量は、まず小さじ1/4です。
自家製五香粉は香りが強いので、入れすぎない方がまとまります。
もっと香りを出したい場合は、次回から小さじ1/3へ。
炒った米を粗く砕く|粉蒸肉らしい食感のポイント
粉蒸肉は、市販の米粉でも作れます。
でも今回は、炒った米をミルで粗く砕いて使いました。
この方が、仕上がりに粒感が出ます。
完全な粉にしすぎず、米の粒を少し残すのがポイントです。
この粒が、蒸している間に白い醤油麹だれとソーキの脂を吸います。
すると、むっちり。
ところどころ、ぷちっと。
この食感が、今回のソーキ粉蒸肉の大きな魅力です。
炒った米と自家製五香粉を合わせて粗く砕くと、米そのものにも香りが入ります。
米がただの衣ではなく、香りを抱えた衣になる。
ここが粉蒸肉の面白いところです。
作り方
1. ソーキを下ゆでする
鍋にソーキ、水、生姜スライス、酒を入れて火にかけます。
沸いたら弱火にして、5〜10分ほど下ゆでします。
アクが出たら取り、ザルに上げます。
表面を軽く洗い、水気をしっかり拭きます。
ここでやわらかくする必要はありません。
目的は、臭み、血のにごり、余分な脂を落とすことです。
2. 白い醤油麹だれを作る

ボウル、または計量カップに、たれの材料をすべて入れて混ぜます。
- 白い醤油麹
- 紹興酒
- 甜菜糖
- 太白胡麻油
- 自家製辣油
- 辣カス
- おろし生姜
- おろしにんにく
- 自家製五香粉
- 花椒
ここで大事なのは、辣油と辣カスの役割を分けることです。
辣油は、香りの油。
青ねぎ、にんにく、花椒、唐辛子の香りが移っています。
辣カスは、香りを持った旨みの粒。
これをたれに混ぜることで、炒った米に香りが移ります。
辛くするためというより、香りを仕込む使い方です。


3. ソーキを漬ける

ソーキをたれに入れ、よく揉み込みます。
今回は保存袋に入れて漬け込みました。
漬け時間の目安は、
- 最低:30分
- おすすめ:2〜3時間
- しっかり:一晩
ソーキは肉がしっかりしているので、できれば2〜3時間以上置きたいです。
一晩置くと、白い醤油麹の旨みが入り、香りもなじみます。
ここで冷蔵庫の中に入れた保存袋を見て、少しうれしくなります。
明日の自分に、仕込み済みの料理がある。
これはもう、小さなボーナスです。
4. 米を炒って粗く砕く
フライパンや小鍋に米を入れ、弱火で炒ります。
ほんのり色づき、香ばしい香りが出てきたら火を止めます。
冷ましてから、ミルで粗く砕きます。
ここで完全な粉にしすぎないのがポイントです。
細かい粉と、少し残った米粒。
この両方があることで、蒸し上がりにむっちり感と粒感が出ます。
今回は、この炒った米に自家製五香粉の香りも重ねました。
5. 漬けたソーキに炒った米をまとわせる
漬けたソーキに、粗く砕いた炒り米を加えます。
目安は大さじ5〜6です。
全体にしっかりまとわせます。
状態としては、ソーキの表面に米がしっとり張りついているくらい。
粉っぽすぎる場合は、紹興酒か水を小さじ1〜2足します。
逆にゆるすぎる場合は、炒った米を少し追加します。
ここで、炒った米がたれを吸い始めます。
白い醤油麹、紹興酒、自家製辣油、ソーキの脂。
全部を抱え込もうとする米。
なんだか仕事を増やされているのに、文句も言わない米です。
えらい。
6. 器にさつまいもを敷く


さつまいもを1cm厚さに切ります。
耐熱の器の底に、さつまいもを敷きます。
その上に、米をまとわせたソーキをのせます。
さつまいもを下に敷く理由は、かなり大事です。
蒸している間に、ソーキの脂とたれが下に落ちます。
それを、さつまいもが受け止めます。
つまり、さつまいもは敷物ではありません。
旨みの受け皿です。
7. マイヤーハイプレッシャークッカーで加圧する

マイヤーハイプレッシャークッカーに水を入れます。
水の目安は300〜400ml。
蒸し台をセットし、器をのせます。
器にはアルミホイルをかぶせました。
水滴が入りすぎるのを防ぐためです。
蓋をして、加圧します。
加圧45分 → 自然減圧
今回の検証では、これが一番よかったです。
25〜30分でも肉としては食べられます。
でも、ソーキの軟骨までぷるぷるにするには、45分が必要でした。
ソーキは急ぎません。
こちらが急いでも、軟骨には軟骨の都合があります。
8. 蒸し上がりを確認する


自然減圧が終わったら蓋を開けます。
器を取り出し、アルミホイルを外します。
炒った米がたれと脂を吸い、ソーキのまわりでむっちりとまとまっていれば成功です。
箸で持ち上げたときに、米の粒がまとわりつき、肉がほろっとしていればかなり良い仕上がりです。
軟骨までぷるぷる。
ここまで来たら、今日の台所は勝ちです。
9. 容器を皿にひっくり返す。

仕上げに、自家製辣油を少し回しかけます。
- 自家製辣油:小さじ1〜大さじ1
- 青ねぎ:適量
- 白ごま:適量
- 追い花椒:好みで少々
今回は青菜を添えました。
ソーキ粉蒸肉が濃厚なので、青菜の苦みや青さがあると、全体が締まります。
合言葉はこれです。
辣カスは中に仕込む。
辣油は最後に香らせる。
仕上がり|ソーキはぷるぷる、炒った米はむっちり

完成したソーキ粉蒸肉は、かなり良い仕上がりでした。
ソーキはぷるぷる。
炒った米は、白い醤油麹だれとソーキの脂を吸って、むっちり。
さつまいもは、甘じょっぱくなって、静かに主役を奪いに来ます。
粉蒸肉という料理は、見た目は派手ではありません。
でも、食べるとわかります。
米が旨みを抱えている。
肉がほろっとほどける。
香りが奥から出てくる。
これは、辛さで押す料理ではありません。
香りと食感で食べる料理です。
味の調整ポイント
もっと辛くしたい場合
- 辣カスを小さじ2にする
- 仕上げの辣油を大さじ1にする
- 花椒を少し増やす
さらに四川寄りにしたい場合は、豆板醤を小さじ1/2足しても良いです。
やさしく仕上げたい場合
- 辣カスを小さじ1にする
- 仕上げの辣油を小さじ1にする
- 五香粉は小さじ1/4までにする
白い醤油麹の甘みとソーキの旨みが前に出ます。
味が薄い場合
蒸し上がりに、以下を少量だけ混ぜて回しかけます。
- 透明醤油:小さじ1
- 紹興酒:小さじ1
- 太白胡麻油:小さじ1
ただし、かけすぎると米がゆるみます。
少しだけで大丈夫です。
今回の黄金比
覚えるなら、この比率です。
- ソーキ:500g
- 白い醤油麹:大さじ3
- 紹興酒:大さじ2
- 甜菜糖:小さじ2
- 太白胡麻油:大さじ1
- 自家製辣油:小さじ1
- 辣カス:小さじ1〜2
- 自家製五香粉:小さじ1/4
- 炒った米:大さじ5〜6
- 加圧:45分
このバランスなら、白い醤油麹の旨み、自家製辣油の香り、ソーキのぷるぷる感、炒った米のむっちり感がまとまりやすいです。
ソムリエのひとこと|合わせるなら辛口ランブルスコ
このソーキ粉蒸肉には、辛口のランブルスコがよく合います。
豚軟骨の脂とコラーゲン感。
白い醤油麹の甘じょっぱさ。
自家製辣油と五香粉の香り。
炒った米のむっちりした食感。
ここに重すぎる赤ワインを合わせると、少し渋みが前に出ます。
でも、辛口ランブルスコなら、泡が脂を流し、赤い果実味が紹興酒や辣油の香りに寄り添います。
冷やして飲める赤というのも、中華には使いやすいです。
ほかに合わせるなら、バルベーラも良いです。
酸がしっかりあり、タンニンが強すぎないので、ソーキの脂と合います。
おすすめワイン
- ランブルスコ・セッコ
- ランブルスコ・ディ・ソルバーラ
- バルベーラ・ダスティ
- バルベーラ・ダルバ
- 少し色の濃い辛口ロゼ
ボクなら、まずは冷やした辛口ランブルスコです。
湯気の立つソーキ粉蒸肉に、冷たい赤い泡。
これはかなり楽しいです。
まとめ|ソーキ粉蒸肉は、加圧45分で化ける
今回のソーキ粉蒸肉は、かなり良い検証になりました。
粉蒸肉は豚バラで作るもの。
そう思っていましたが、ソーキでもしっかり成立します。
むしろ、ソーキだからこそ出る魅力があります。
- 軟骨までぷるぷるになる
- 炒った米が肉汁を抱える
- 白い醤油麹で旨みが入る
- 自家製辣油と辣カスで香りが立つ
- 自家製五香粉で中華の輪郭が出る
そして、今回の結論ははっきりしています。
ソーキ粉蒸肉は、マイヤーハイプレッシャークッカーで加圧45分。
これで軟骨までぷるぷる。
炒った米はむっちり。
さつまいもは、旨みを吸って甘じょっぱい。
地味に見えるかもしれません。
でも食べると、かなり深い。
白い醤油麹、自家製辣油、自家製五香粉。
そしてソーキ。
台所で少しずつ作ったものが、最後にひとつの器でまとまる。
こういう料理は、食べる前から少しうれしいです。
ぶーちゃんが横にいたら、きっとこう言います。
「それ、米も肉も芋も全部ずるい。」
うん。
全部ずるいです。

コメント