ひとくちメッセージ
ムール貝が「パチッ」と開く音で、今日の夜が始まる。
香草パン粉の香ばしさ、ねぎの青い香り、そしてトマトのやさしい酸味。
すべてがゆるやかにつながっていく夜は、
ワインの栓を開ける音まで、いい音に聞こえる。
今日の献立
・三陸産ムール貝のマリナーラ風
・真鯛のカルパッチョサラダ・トマトドレッシング
・アジと茄子の香草パン粉焼き
・九条ねぎのスパゲッティ(ムール貝のソース仕立て)
今日のエッセイ
冷蔵庫の隅で、三陸産のムール貝が静かに待っていた。
「今日、君にしよう」とつぶやいて白ワインを取り出す。
オリーブオイルとにんにくの香りが立ち上がると、
キッチンの空気が一気に“海辺”になるから不思議だ。
ムール貝がパカッと開く音は、まるで小さな拍手。
ぶーちゃんが足元で首をかしげるたびに、
こっちまで笑ってしまう。
香草パン粉をかけたアジと茄子がオーブンの中で色づき、
九条ねぎを加えたパスタにマリナーラソースを絡める。
同じソースが違う料理で生まれ変わる瞬間って、
ちょっとした奇跡みたいで、好きだ。
料理は、整える時間。
慌ただしい一日が終わっても、
“今日もちゃんとおいしかった”と思えることが、
いちばんの回復かもしれない。
三陸産ムール貝のマリナーラ風
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| ムール貝(三陸産) | 400g |
| にんにく(みじん切り) | 1片 |
| オリーブオイル | 大さじ2 |
| 白ワイン | 100ml |
| 自家製トマトソース | 大さじ3 |
| 塩・黒こしょう | 各少々 |
| イタリアンパセリ | 適量 |
作り方
- ムール貝はよく洗い、ひげを取る。
- フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ、香りが出たらトマトソースを加える。
- 白ワインとムール貝を入れて蓋をし、3〜4分蒸す。
- 塩・こしょうで味を整え、パセリをパラリ。
我が家のトマトソースレシピはコチラからご覧になれます
栄養メモ
タウリンと鉄分が豊富で、疲労回復と代謝促進に◎。
トマトのリコピンは抗酸化力が高く、オリーブオイルと合わせることで吸収率UP。
翌朝の肌がちょっと明るくなる、“おいしい美容液”。
真鯛のカルパッチョサラダ・トマトドレッシング
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 真鯛(刺身用) | 100g |
| ミニトマト(粗みじん) | 3個 |
| フリルレタス | 適量 |
| オリーブオイル | 大さじ1 |
| レモン汁 | 小さじ1 |
| 塩(フルール・ド・セル)・黒こしょう | 各少々 |
| ピンクペッパー | 少々 |
作り方
- トマト・オリーブオイル・レモン汁を混ぜてドレッシングに。
- 皿に真鯛を並べ、フルール・ド・セルを振り、レタスをのせてドレッシングを回しかける。
- ピンクペッパーを散らして完成。
栄養メモ
高たんぱくで低脂質。胃にやさしく、体を軽く整える白身魚。
トマトとレモンの酸味でビタミンCも補われ、代謝が上がる。
“おいしく整う白身魚”、堂々の一皿。
アジと茄子の香草パン粉焼き
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| アジ(三枚おろし) | 1尾分 |
| 茄子 | 1本 |
| 自家製香草パン粉(作り方👉) | 大さじ3 |
| オリーブオイル | 大さじ1 |
| パセリ(みじん切り) | 小さじ1 |
| ハーブ類・ニンニク・アンチョビなど | 少々 |
| 塩・黒こしょう | 各少々 |
作り方
- パン粉、パセリ、ハーブ、アンチョビ、オリーブオイルなどを混ぜて香草パン粉を作る。
- アジと半分に切った茄子に塩・こしょうをふり、香草パン粉をのせる。
- 200℃のノンフライオーブンで10分ほど焼く。
我が家ではノンフライオーブンが大活躍です!
ぶーちゃんのドライフードもこれで美味しく仕上がります。
栄養メモ
アジのDHAとEPAが血液をさらさらに。
茄子のナスニンは抗酸化作用が高く、
オリーブオイルと合わせると吸収率がアップ。
「罪悪感ゼロで満足できる焼きカツ気分」。
九条ねぎのスパゲッティ(ムール貝のソース・香草パン粉)
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| スパゲッティ | 160g |
| 九条ねぎ(3cm幅) | 1束 |
| ムール貝のマリナーラソース(残り) | 約100ml |
| 自家製香草パン粉(作り方はコチラ) | 適量 |
| オリーブオイル | 小さじ1 |
作り方
- パスタを茹でる。
- フライパンでムール貝のソースを温め、九条ねぎを加える。
- パスタを投入して軽く和える。
- 香草パン粉をふって完成。
栄養メモ
九条ねぎの硫化アリルが血流を促進し、体を温める。
ムール貝ソースのアミノ酸とミネラルが疲労を和らげ、
胃に重くない“温活パスタ”。
🍷 ソムリエのひとこと
ムール貝の旨味には、南イタリアの白「ファランギーナ」。
トマトの酸味と海のミネラルが溶け合う瞬間に、
“料理とワインの境界線”が消える。
アジと茄子の香草パン粉焼きには、シチリアの赤「ネーロ・ダヴォラ」。
少し冷やして飲むと、ハーブの香りと一体化して軽やか。
九条ねぎのスパゲッティには、ジュラの「シャルドネ・スー・ヴォワール」。
ナッティな香りがソースの旨味を包み込み、夜がまるく締まる。
🍇 おすすめワインリスト
以前に私が営んでいたイタリアンや都内の某高級中華レストランでペアリングに使用したワインをご紹介します。
海の香り、香草の余韻、そして夜の静けさ。
それぞれの皿に寄り添いながら、
味わいがゆるやかにつながっていくように選んだ5本です。
塩味と酸味、旨味と香り——。
“料理が音になって響く”ようなワインたちをどうぞ。
🍅 三陸産ムール貝のマリナーラ風 × ファランギーナ・デル・サンニオ(イタリア)
レモンや青りんごの香りをまとった南イタリアの白ワイン。
海のミネラルを思わせる軽い塩味が、ムール貝の旨味とぴたりと重なる。
トマトの酸味をやわらかく包み、飲み進めるほどにソースの甘みが引き立つ。
“マリナーラにワインが溶けていく”感覚を楽しめる、まさに海辺の一杯。
🐟 真鯛のカルパッチョサラダ・トマトドレッシング × ヴェルメンティーノ・ディ・サルデーニャ(イタリア)
サルデーニャ島の潮風を感じる爽やかな白ワイン。
グレープフルーツやハーブの香りが真鯛の繊細な脂に寄り添い、
レモン汁とトマトの酸味をスマートに引き立てる。
ひと口飲むごとに海のそよ風が吹くような、
軽やかで透明感のあるマリアージュ。
🍆 アジと茄子の香草パン粉焼き × ネーロ・ダヴォラ(イタリア/プラネタ)
南シチリアを代表する赤ワイン。
ブラックベリーの果実味とやさしいスパイスの香りが、
香草パン粉の焼き香と驚くほどよく合う。
アジの旨味を包み込みながら、茄子とオリーブオイルのコクをスッと引き締める。
軽やかに冷やして飲むと、ワインが料理の“余韻の部分”になる。
🌿 九条ねぎのスパゲッティ(ムール貝のソース・香草パン粉) × シャルドネ・スー・ヴォワール(フランス/ジュラ地方)
“ヴォワール=ヴェールをかぶせて酸化熟成させた”独特のシャルドネ。
ナッツやバター、塩キャラメルのような香りが特徴。
ムール貝の塩味、ねぎの甘み、香草パン粉の香ばしさ──
それらを丸ごと受け止めて、余韻にやさしい旨味を残す。
冷やしすぎず14〜15℃がベスト。
“シメのパスタが一段上のごちそう”に変わる魔法の白。
🥂 食前・食後に合わせたい泡 × ピエール・ジモネ ブラン・ド・ブラン(フランス/シャンパーニュ)
シャルドネ100%のシャンパーニュ。
青りんごと白い花の香りが、カルパッチョにもマリナーラにも軽やかに寄り添う。
泡が優しく口を洗ってくれるので、
食前にも食後にも使える万能な1本。
“今日のごはん、よくできたね”の乾杯にぴったり。
🐾 ぶーちゃんのひとこと
「パン粉のカリカリの音がしたら、ごはん完成の合図🐾
でもぼくは香りだけで満足できるタイプです。」
✨ まとめ
ひとつのソースが、4皿の物語に。
海の香りと野菜の滋味がゆるやかに続く夜は、
“整える時間”がちゃんとおいしい。
今日も、食卓から心が回復していく。